公共交通機関を使った通勤に
甘えるバカ

 今週、北陸地方は久方ぶりの大雪に見舞われた。お蔭で、JRなどの鉄道、路線バスなどの公共交通機関が大幅に乱れたんだんだけど、通勤通学にこれら公共交通機関を利用してたひとたちが会社・学校に定刻までにたどり着けない...という事態を招いた...。
 東京や大阪などの大都市に籍を置く企業の中には、鉄道会社が発行する遅延証明書をもらってくれば遅刻を『不可抗力』とみなし、遅刻を認め...要は定時出勤と同じ扱いにして...出勤簿を汚さないように配慮するようだ。私の勤めてる会社も東証2部上場を狙って本社の東京移転をマジで考えてたくらいだから、社内就業規則だけは大都市仕様だ(笑)。だから、公共交通機関を利用しての遅刻は容認されることになっている。ただし、マイカー通勤の場合の遅刻はいかなる理由があろうとも容認されないんだけど。
 私の職場は工場で、従業員の殆どはマイカー出勤してる。マイカー出勤してないのは自宅から歩きか自転車で来れる至近距離に住んでるひとくらい。工場の前の県道を走ってた路線バスは乗客減で廃止されて久しく、公共交通機関を利用して会社に来ようと思ったら、工場脇を走る富山地方鉄道線の電車を使うしかない。最寄りの駅から工場まで徒歩5〜6分ってとこだろうか。この電車を使って通勤してる社員がひとりだけ居る。それが私と同じ職場の『某』なんだけど...。
 去年の12月から富山地方鉄道線の電車はダイヤを改正した。お蔭で私と同じ職場の『某』の出勤時間が始業時間ギリギリになった。いつも乗って来てた列車の時間が遅くなったのか、新しい列車が新設されたのか解らないけど。そんな時にこの大雪だ...。いきなりドカッ!と雪が降った月曜日(1/15)は富山地方鉄道線は列車の故障で動いてなかったらしい。朝のローカル・ニュースで報道されてたのを見て、この『某』は駅まで行くのもムダだと思い、9時まで家に居て、列車の復旧の頃合いを見計らってから家を出たらしい。『某』が職場に着いたのは11時。「雪のお蔭で電車が止まってて定刻出勤できませんでした。遅刻を認めて下さい」と要求。さすがに、職場の始業時間を廻った9時まで家に居たことがネックになって、遅刻は認められなかったケドさ...。
 翌日の火曜日(1/16)も雪がドカっと降ったけど、富山地方鉄道線の列車は動いてはいた。だけど大幅に遅れてたのは言うまでもない。『某』が職場に着いたのは30分以上遅れ。ただしこの日は「公共交通機関の乱れによる不可抗力の遅刻」として、遅刻が認められた。
 その翌日の水曜日(1/17)も雪がドカっと降ったけど、富山地方鉄道線の列車は動いてはいた。だけど大幅に遅れてたのは言うまでもない(笑)。『某』が職場に着いたのはこの日も30分以上遅れ。この日も「公共交通機関の乱れによる不可抗力の遅刻」として、遅刻が認められた。が、流石にこうも遅刻が続くと職場の風当たりは強くなる。私の先輩社員がとうとうブチ切れ! ウチの会社が「公共交通機関の乱れによる不可抗力の遅刻」を認めてることに対し、「東京とか大都会の列車が遅れるのは年に何回もあるかァ〜? 富山のようにいったん雪が降ったら列車の遅れが日常化するところで大都会と同じ規定を設けるところがそもそもの間違いなんだ!」と批判、さらに返す刀で「そういう規定に甘えてる『某』も許せん! 雪が無い通常の時でさえ始業時間ギリギリに出勤してるのに、ちょっとでも雪降ったら始業時間に間に合わなくなるのは分かり切った話だろう? 『不可抗力の遅刻』でもなんでもありゃしない! 『確信犯的遅刻』だ! 少なくとも乗る列車を1本早めるのが常識だろう?」と『某』のことをバッサリ!
 そういう職場の空気を『某』が察知してるのかどうか解らないけど、その翌日の木曜日(1/18)も、富山地方鉄道線の列車は遅れて運転されていたお蔭で『某』が職場に着いたのは20分ほど遅れて。この日も「公共交通機関の乱れによる不可抗力の遅刻」として、遅刻が認められた。が、職場の空気は冷めてく一方...。昼間の富山のローカル・ニュースで街頭インタヴューを受けていた高校生がこう言っていた。「雪で交通機関が乱れてるの判ってたから、学校に遅れないように家を早く出ました」。高校生でも解ってることが『大のおとな』が解ってないのね(苦笑)。
 そのまた翌日の金曜日(1/19)も、富山地方鉄道線の列車は遅れて運転されていた(笑)。『某』が職場に着いたのは雪の無い標準時と比べると10分ほど早い出勤。さすがに職場の冷た過ぎる空気に気付いて、乗ってくる列車を1本早めたらしい(笑)。週の終わりの5日目になってようやく気がついたか! もっと早く気付けよ!
 で、いったい何が言いたいかというと、都会の大企業と同じ就労規則をなにも考えずに取り入れると、こーゆーふーに勘違いするバカが現われるってこと。

('01.1.20)

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