「指輪ごとき」って...。

 11月6日付『中京スポーツ』の1面トップを飾る見出しがこれでした。

『真紀子外相仰天カラオケ』『これが外務省で大流行の痛烈替え歌』

 その「痛烈替え歌」の歌詞を載せましょか(笑)。1982年の大ヒット曲、あみん の『待つわ』の替え歌だそうです。

庶民のふりして真紀子
うそをつくもんだねと
言われ続けたあの頃
生きるのがつらかった

行ったり来たり食い違い
真紀子の国会答弁
いつかどこかで
うそがばれるってことは
永久の夢

不祥事続きの外務省
真紀子のものではないわ
会談のひとひらのうそ
流して流されて

わたし真紀子いつまでも真紀子
たとえ小泉が振り向いてくれなくても
真紀子いつまでも真紀子
いつか真紀子が小泉に切られる日まで

 ...といった替え歌を歌って、外務官僚たちはウサを晴らしてるのですね(笑)。
 田中真紀子外務大臣と外務官僚の間の軋轢は、真紀子大臣就任以来ずっとのことで、今に始まったことではありませんが、外務官僚だけにとどまらず世論までもを敵に廻しそうなところまで問題化したのが、真紀子外務大臣が指輪なくして秘書官に捜させたり買いに行かせたりしてる間ず〜っとイラン政府からの特使を待たせた...といういわゆる『指輪事件』。今まで何か問題起こし(まくって)ても真紀子大臣の肩を持つような論調をとおしてたマスコミの報道も、真紀子大臣を批判する側に廻った印象を持ちます。ただ今回の真紀子批判において、「指輪ごときのために大事なお客さま待たせるなんて!」とか「たかだか指輪のために〜」って論調をよく見掛けるんだけど、これについては最初に耳にした時点でかなり違和感感じてました。いちお断っておきますが、真紀子大臣がイランの特使を30分待たせたことに対する批判に異論を挟む気は毛頭ございません。ただ、真紀子大臣を批判する際に用いられた「ごとき」とか「たかだか」っつう些細な表現がちょっと引っ掛かったんだよなぁ...。この胸のうちのモヤモヤの正体を明らかにしてくてたのが、↑上↑の替え歌が載ってた11月6日付『中京スポーツ』に載ってる『サンデー毎日』編集長・北村肇氏へのインタヴュー記事(『今週のトークバトル』)。「田中バッシングの裏にある官僚たちの『女性差別主義』」というタイトルが打たれたインタヴューで北村氏は、「記者になって27年、私は数え切れないほどの官僚を取材してきた。その体験上言えるのは、多くの官僚は『女性差別主義』だということだった。(中略) しかし、よく観察すると、その官僚のほとんどは『マザコン』で『小心』。そのうえ『頭脳が弱い』。優秀な女性と1対1で戦ったら負けてしまうので、その恐怖感から逃れるために『オレは男だ!』と胸を張っているに過ぎないのだ」と語ってるんだけど(笑)、これ読んで、「指輪ごとき」とか「たかだか指輪」の表現の裏に込められた意味が解ったワ(笑)。これらの表現には男性優位主義的意味が込められてるのですね。現実はともかくとして、タテマエ上は今の世の中は『男女平等』な世界ってことになってます。特に政治やお役所の世界こそ、現実と理想を近付けるべく世間に対して範を示す必要があります。そんな『政治やお役所の世界』に関する報道で男性優位主義まるだしな表現を耳にしたものだから、何か引っかかりを感じたのですね、私はきっと(笑)。「指輪ごとき〜」とか「たかだか指輪〜」って表現は男性的な価値観にあふれてるもんね。つまり、男性的価値観を押し付けてるワケだ。すなわち「指輪ごとき〜」とか「たかだか指輪〜」って論調が討とうとしてるのは田中真紀子本人だけじゃなくって、女性全体ってこと。
 私はオトコなんで(笑)世の女性たちが指輪に持つコダワリや思い入れは子細には解りませんけど、少なくとも男性よりも女性のほうが指輪をありがたがってることぐらいは解ります(笑)。
 そういえば、昔、島田荘司の『切り裂きジャック百年の孤独』っていう小説を読んだことを思い出しました。あの小説では、大事な指輪を汲み取り式トイレの便器に落としてしまった女性の話が出て来ます。この女性は大事な指輪を拾うために便壷の中に降りてクソまみれになりながら、指輪を拾います。「指輪っていうものは世の女性たちにとってはそれほど重要なものなんだよ」っていうのがこの小説の重要なキィポイントでした。この小説読んでから、女のひとってみんな指輪に執着するんだって、ずっと思ってました(苦笑)。
 え? 官僚たちの『女性差別主義』よりも、私の女性観のほうが数倍ネジ曲がってるって???(笑) ははは、どうも失礼しました(ぺこり)。
 話は戻りますが、女性のみなさんは「指輪ごとき」とか「たかだか指輪」って論調についてどうお思いなのでしょうか?

 え? 私が真紀子大臣のことどう思ってるかって??? 猛獣の放し飼いしてるサファリ・パークって楽しそうだね。猛獣がこちらを襲ってこないって分かっている限りにおいては(笑)。

('01.11.7)

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