日記が独り歩きするぞ...と脅されても

『盗んだ日記「300万円で買え」』

 女性会社員宅から盗んだ日記帳を三百万円で買い取らせようとしたとして、警視庁葛西署は二十七日までに、埼玉県朝霞市××町一、無職、××××容疑者(35)を恐喝未遂容疑で逮捕した。
 調べによると、××容疑者は一月三日、埼玉県志木市の三十代の女性会社員宅に空き巣に入り、現金などとともに日記帳を盗んだ。同十四日から二十五日にかけて計四十回にわたり、女性の携帯電話などに電話し、「日記帳を三百万円で買い取れ。日記が独り歩きするぞ」などと脅迫した疑い。女性の電話番号は日記帳に記されていた。
 葛西署は、女性の携帯電話の通話記録のほか、現金の振込先として指示された郵便局の口座の入金状況を調べる××容疑者の姿が防犯カメラに映っていたことなどから、同容疑者を割り出した。調べに対して。「金が欲しくてやった」と容疑を認めているという。

(日本経済新聞2月28日付朝刊・13版39面より)

 ...という記事が新聞に載ってました。捕まった男は盗んだ日記をよく読んで「この内容なら、『一般公開するぞ!』って脅せばおとなしくカネを払うぞ」と思ったんでしょう。男にそう確信させるだけの内容が日記帳に綴られていたことになります。いったいどんなことが日記に書かれていたんでしょーか?..と興味がありますが、残念ながら私にはその内容を知る術はありませんが(苦笑)。
 この『B級ニュース』のひとことで片付けられそうな事件の記事をみて、いろいろ考えさせられました。それは、「日記とはなにか?」という問題です(笑)。私が思うに、日記とはこの事件で捕まった男が考えたように「他人に公開されたら困るような、『300万円出せ』って脅されたら素直に従うしかないような秘密が記されたもの」。少なくとも、他人には読まれたくないもの、自分自身のみを読者として想定された書き物をさす...と私は考えます。交換日記なら、相手と自分自身のみを読者として想定し、カンケーない第三者の目に触れることなど考えもしない文章が綴られたものでしょう。え、アタリマエのこと書くなって?(笑)
 ところが、ネット上には、自分の日常を綴った文章を「日記」(または「Diary」)と銘打って一般公開してるひとがたくさんいます。先に述べた日記の定義によると、自分以外の不特定多数の目に触れることを厭わないこれらの文章は日記ではないことになります。
 日記といえば、このサイトでも「ヒロくんの日記」と銘打って『GRACE UNDER PRESSURE』というコーナーをやっておりますが、勿論アレは日記ではありません!(笑) ネット上で一般公開してる以上、一般の目に触れたらマズい部分は最初から書いてないし、一般人には何が起こったか知られたくないけど書かずに居られないような出来事については、何重にもオブラートに包んで何が起こったか理解されないようにしてあります。じゃあ、『GRACE UNDER PRESSURE』というコーナーは日記じゃないなら、何なんだ? あれは、このサイトを見に来るお客さまをもてなすために書かれた『日記ふうに仕立て上げた読み物、エンターテインメント』です。そもそも、どうして『GRACE UNDER PRESSURE』というタイトルがつけられているかというと、これは『日記ふうに仕立て上げた読み物』を毎日書き続けてる作者である私・ヒロくんが、読者である皆さんの存在をバシバシ意識しながら(すなわち、プレッシャー感じながら)書いてますよ..という意味が込められてるワケです。毎日「こう書いたら、これ読んだひとはこーゆーふうに解釈するだろうな」などと考えながら、毎日楽しく(笑)更新させてもらってますが、不特定多数の目に触れることを前提に書かれているから、バレて困るようなことや、ホントの恥や、心の黒いホンネなどはみんなオミットされております。仮にこの『GRACE UNDER PRESSURE』というコーナーを全部ダウンロードした者が私の正体を突き止め、「この日記を独り歩きさせていいのか!? イヤなら300万円払え」と脅してきても、私は「どーぞ、お好きなよーに独り歩きさせてください」としか、答えようがないです(苦笑)。会社の者の悪口書いてるけど、ふだんから悪口言いまくってるので、それがバレたくらいに思えばいいワケだし...(苦笑)。
 私の『GRACE UNDER PRESSURE』というコーナーに限らず、ネット上で日記を公開してるひとたちはみんな(御自身で意識されてるかどうかは知りませんが)独り歩きされても大丈夫な内容、ダウンロードされても「300万円払え!」と脅されることのないような『日記ふうに仕立て上げた読み物』を提供してるものと思います。でも、それって日記じゃないだろ?(笑)
 そういえば、『週刊朝日』か『AERA』だったかの電車の吊り広告で、「ネット上で日記を公開する人たちの自意識」みたいな見出しがありましたが、あれは「ネット上で自分の日記を公開するとは自意識過剰なヤツら」っていう内容の記事や特集でも載ってたんでしょうか? 残念ながら雑誌じたいを読んでないのでどんな意味合いの記事が載ってたのか知りませんが、もし、「ネット上で自分の日記を公開するのは、自意識過剰なマスかき野郎どもがやる行為だ!」って貶められてたとしたら、私はこう答えるしかないですね。「みんな最初から日記を載せてるつもりがないから、公開してるんじゃないのお?」って(笑)。
 『GRACE UNDER PRESSURE』では、バレたらマズいことを婉曲した表現でイロイロ書いてます。たとえば、今の会社に籍があるのにコッソリ転職活動して「おことわり」されたこととか(笑)。ちゃんと書かれてますよ。捜せば解ります(笑)。でも、ホントの日記って「××××××の入社試験受けた」ってキッチリ書けるものでしょう? ××××××って社名も伏せ字にせずに書けるものこそ、日記の本来あるべき姿です。だから、『GRACE UNDER PRESSURE』は日記じゃなくて、あくまでも「日記の体裁整えた読み物」に過ぎないワケです。でも、あの欄にはウソは書かれてません。誤解を招く表現...は多いかもしれませんが(苦笑)。例えば、私自身が誤解した情報書いたとしても、後日その記述を直すことはないので、結果としてウソを書いてるように見えるかもしれませんが。「誤解してた自分」の姿も記録しておきたいのでね(苦笑)。
 で、今回の事件みてね、やっぱり日記とは「他人に公開されたら困るような、『300万円出せ』って脅されたら素直に従うしかないような秘密が記されたもの」であるべきだと思ったのですよ。で、そんなものでもないのに日記を名乗るのはいろんな誤解を招く恐れがあるので、今日(2/28)限りで日記はやめます(笑)。ちょうど2月も今日で終わりでキリがいいし(笑)。

 あ〜、こんなに長い文章書くんじゃなかった。「『読者の目』を意識し過ぎるあまり、『女のコとコンサートに行った。コンサートの後は一緒に食事した』などとストレートに書けないような『日記』なんて日記じゃないから、そんなもんやめてやる!!!」って書いて終わりにすれば良かったよ(笑)。

 

('02.2.28)

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