『rockin' on』表紙誤植に思うこと

 2009年6月1日発売の楽雑誌『rockin on』7月号の表紙に載ってた「ROLLING STONES」と「JIMI HENDRIX」の英語表記にスペルミスがあったとのことで、次号となる『rockin on』8月号(7月1日発売)の編集長コラム「しのたんの五代目ですが何か?」で、編集長の粉川しの(以下、しのたん)が読者に対して平謝りに謝ってた。曰く、「表紙に刻まれる文字が持つ意味の大きさ、バンドに対する責任と愛情を誰よりも強く意識しているべき立場にありながら、その当然のことが出来ないまま皆さんのもとに自分の雑誌を届けることになってしまいました。ストーンズやジミ・ヘンドリックスの音楽をリスペクトし、記事を書き、雑誌を作ってきた者として、同じように彼らの音楽を愛し、ロッキング・オンを愛読してくださっている読者の皆さんの信頼を裏切ることになってしまったことを思うと、本当に恥ずかしいです。
 私はこの謝罪文を目にするまで、前号の表紙にそんなスペルミスがあったことすら気が付かなかったんだけど(苦笑)、他の読者からの反響はけっこう大きかったようで、
しのたんのブログをみると、7月号が店頭に並んですぐの6月1日付で早くも しのたんが謝罪文を書いている。しかも、内容は8月号に載ってるのとまるっきり一緒(苦笑)。
 今回の誤植は、ひと昔だったら起こり得ないミスと私は思ってる。じゃあ、その「ひと昔だったら起こり得ないミス」がどうして今回起こってしまったのか? それは、しのたんが真っ先に謝罪文をブログに書いていることで自ずから明白になってしまったんじゃないかと私は思ってる。要は、今の『rockin' on』が活字メディアじたいを大切に思っていないのが、ミスの根本の原因と考える。
 昔、音楽雑誌の編集者は、雑誌のことだけを考えていればよかった。ところが、情報の発信技術が発達してくと、音楽雑誌の編集者も活字メディアだけではなく、ネットでも情報を配信するようになった。そうでもしないと、『TOWER RECORDS』など大手のレコード・チェーンが大々的にネットで音楽情報を提供してるのには太刀打ちできない。この変化は時代の流れ上仕方ないのかもしれない。活字メディアではひと月に1冊(1回)しか配信できないのに比べ、ネットでは月に何回でも情報を発信できる。この便利さに、ついつい活字メディアを軽んじる意識が少しでも芽生えなかったか?
 また、私自身、こうしてネット上でサイトを運営し情報発信する一方で、会社の仕事では印刷物の校正などに携わる機会があるためよ〜〜〜く解るが、ネットでは間違いや誤報があってもすぐに修正できるけど、活字媒体はそうはいかないってこと。ブログ等で漢字の変換ミスがあったとすれば、気が付けば即座に直せる一方、活字媒体の場合、一旦自分の手元を離れてしまったらそうはいかない。回収や告知を行うにしても、実質、修正や取り消しは不可能だ。間違いがあってもすぐに修正できるネットでの情報配信に慣れてしまい、活字媒体の怖さを忘れてしまった...ということは流石にないだろうけど、心に隙があったんじゃないのか?
 しのたんが謝る相手は「ロッキング・オンを愛読してくださっている読者の皆さん」ではなく、自らが好きでその世界に足を踏み入れた活字メディアそのものじゃないのか...と、私は思う。雑誌編集者のくせに、ネットでの発信に心奪われてゴメンナサイって(苦笑)。
 そもそも、8月号のコラムの謝罪文を、新たに書き下ろすのではなく、ブログからの転載(コピペ)である時点で、活字メディアを舐めてる...と思う。せっかくの謝罪文もブログに乗せた時点には籠ってたハズの心も、ひと月経っちゃうとどこかへ消えてしまうよ。

('09.7.3)

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