東京・赤坂BLITZでザ・シーホーセズを観た翌日の11月3日の文化の日、私は大阪に移動し、心斎橋クラブ・クアトロに出没していた。この日はロン・セクスミスのライヴ〜!
この6月にリリースされた2ndアルバム『アザー・ソングス』を引っ提げての再来日となる今回のツアー。新作のセールスの好調さを証明するように、会場はほぼフルハウス状態。観客は「オレはアメリカまでニール・ヤングを観に行ったことがある~!」と女のコにウンチクたれてる中年のオヤジから10代の女のコまで年齢にバラツキがあり、老若男女・国籍を問わずホントに『ロンの歌に魅せられた』という客ばかりが集まっていたようだ。
7時を少し廻った頃、ステージに現われたオープニング・アクトの町支寛二さん。あくまでも『前座』だからフル・メンバーでの登場とはいかなかったようで、キーボードとベースを加えた3人編成。ロン目当ての客を前にまず挨拶をした町支さん、「ロン、すっごくイイよ。ま、この後彼の演奏を実際に聴けば解るけどサ」と言うと、バック・メンバーのかたが「ロン(論)より証拠」とダジャレをブチかました。「このシャレ、言うと思った...」と、観客に呆れられていた町支さん御一行は全部で5曲演奏してステージを去った。この後、セット・チェンジがあり、ロンが登場する頃には8時ぐらいになっていた。
ファンの大声援に迎えられたロン、関西弁で「オオキニ」と応え、より大きい歓声を客から引き出してからアコースティック・ギターを構えて演奏し出した曲は新作からの“So
Young”。曲が終わると拙い日本語で「ブンカノ ヒ!」と叫んだロンにまたも観客から歓声がとんだ。そんな声援に“Honest
Mistake”を披露し応えたロン、続いて1stから“Summer Blowin'
Town”を演った後、バンド・メンバーの紹介。ロンの右隣にはドラムのドン・カー、左隣には優男のベースのウィリアム・ボンクが居て、ギター担当のロンを含め3人による演奏。(ロンの紹介によると、ドン・カーはナッシュヴィル、ウィリアムはL.A.から来たそうだ。ロン自身はカナダのトロント) 超シンプルなドラムセット(ノー・タム!)でとてもユニークなプレイを披露していたドン・カーは、曲によっては小太鼓を小脇にかかえて叩いたり、様々な打楽器を用いたり...と観客を楽しませていた。“Lebanon,
Tennessee”までこの編成でプレイした後、“While You're
Waiting”から数曲はドン・カーがチェロ、ウィリアムがピアノをプレイ。後は曲によっては元の編成に戻ったり、ウィリアムがアコーディオンを担当したり、“Wastin'
Time”ではロン自身がピアノの弾き語りを披露したり...と、曲に合わせていろいろな編成で曲を披露していった。(多分)カヴァー曲もたくさん披露してくれたロン、ベースのウィリアムに日本語で「彼ハ、熱イ」と囃し立てられたロンが演ったのは、な、何とヴァン・ヘイレンの“Jump”! 調子に乗ったロン、エディー・ヴァン・ヘイレンのギター・ソロのフリマネまでしてくれた! まさかロンのライヴでヴァン・ヘイレンの曲が聴けるとは思ってもみなかった(笑)。このようなファン・サーヴィスも有難いが、やはりファンは、ロンの魅力である楽曲の良さと声の美しさ(優しさ)を目の前で体験することを望んでた訳で、そのようなファンの要望に、“Secret
Heart”などの名曲群を余すことなく披露することで応えたロン、全部で24曲披露して、一度はステージを去った。が、観客のアンコールの手拍子にすぐさま呼び戻された。
アンコール1曲目はロンのギターの弾き語りで“Speak With The
Angel”。曲の途中でドン・カーとウィリアムが戻って来て、それぞれチェロとベースの音色をロンの歌に足していた。(多分)カヴァー曲を演った後、私が一番聴きたかった曲“There's
A
Rhythm”が披露された。この曲を待ち望んでたのは私だけではなかったようで、ロンがギターでイントロを演奏し始めると観客から拍手が起こった。“There's
A
Rhythm”を披露してロンはライヴを締めくくった...ハズだった...が...。“There's
A
Rhythm”を聴いた以上、もうこれでライヴが終わってもいいと私は思っていたが、私が今まで関西で観たどのライヴとも同じように観客の熱狂は凄まじく、アンコールの手拍子の嵐を再び巻き起こし、ロンを再び呼び戻した。まず、ロンのギターだけで“
Words We Never Use”を演奏。続く“From A Few Streets
Over”の演奏途中からドン・カーとウィリアムも戻って来て演奏に加わり、最後に“
It Never
Fails”を披露した。曲が終わるとロン、そしてドン・カーとウィリアムも最前列の観客と次々と握手を交し、多くのファンと気の済むまでふれあってからステージを後にした。が、関西のひとたちはまだ聴き足りないらしく、またアンコールの手拍子...。流石にロンはもうステージには戻って来てくれなかったが...。
ナマで聴いたロンの歌はCDで聴かれるよりも声質が荒いような気もしたが、ホントに素晴しかった。ただ残念なのは私のほうにロンの素晴しい歌を楽しむ精神的余裕が無かったこと。前座がついたお蔭でライヴ開始が8時で、全部で30曲!!!も演るヴォリューム満点のライヴだったため、帰りの電車の時間が気になって気になってロンの歌の深いところまで楽しむことが全く出来なかった...。挙句の果てには、ライヴ終了と同時に会場を脱兎の如く抜け出し新大阪駅に向かったものの、予定の列車を逃してしまった...oh
my god !
【SET LIST】...'97.11.3
心斎橋クラブ・クアトロ
1. So Young
2. Honest Mistake
3. Summer Blowin' Town
4. Thinly Veiled Disguise
5. ( ? )
6. In Place Of You
7. Strawberry Blonde
8. At Different Times
9. Lebanon, Tennessee
10. While You're Waiting
11. ( ? )
12. ( ? )
13. Clown In Broad Daylight
14. ( ? )
15. Wastin' Time
16. Pretty Little Cemetery
17. Heart With No Companion
18. Average Joe
19. Secret Heart
20. ( ? )
21. Jump (ヴァン・ヘイレンのカヴァー)
22. First Chance I Get
23. Nothing Good
24. Thinking Out Loud
(encore 1)
1. Speak With The Angel
2. ( ? )
3. There's A Rhythm
(encore 2)
1. Words We Never Use
2. From A Few Streets Over
3. It Never Fails