外タレ初の『4大ドーム・ツアー』を行う名誉を手にしたエアロスミス。私が観たのは今回のジャパン・ツアーの初日、3月1日日曜日に行われたナゴヤドームでの公演。私がドーム球場でのライヴに出かけるのはこれが初めて。ゲットしたチケットはアリーナのS席で、良い席のように思われるが、65列目だったため、スタンド席の最前列で観るのと殆ど違いはなく、ステージ上の豆粒ほどのメンバーの姿よりも、ステージの両脇に用意されたスクリーンに写し出される映像のほうについ眼がいってしまうほど後ろの席だった。
開演予定時間の6時を15分ほど廻った頃、照明が暗転した会場にインド宗教のマントラのようなBGMが流れ、突如ステージに巨大なテントが現われた。テントのなかにエアロのメンバーがスタンバる姿が次々とシルエットとなって浮かび上がり、例の『吹き流し』付きのマイク・スタンドを持ったスティーヴン・タイラーのシルエットが浮かび上がると場内に歓声が渦巻き、ジョー・ペリーの弾くギター...“Nine
Lives”のイントロが鳴ると同時に、花火と共にテントが崩れ、エアロスミスの5人が姿を現わした。オープニング曲は勿論“Nine
Lives”。スティーヴンはシルクハットを被りサングラスをして、紫色を基調にしたド派手なジャケット姿。そんなスティーヴンを観て(色使いは異なるが)長野五輪の閉会式の司会の時の欽ちゃんを思い出した(笑)。曲が終わると、シルクハットとサングラスを外したスティーヴン。2曲目は“Love
In An
Elevator”(邦題は“エレヴェーター・ラヴ”)で、ドームの観客は皆、拳を振り挙げ「oh,
yeah~!」の大合唱になった。ステージの右端と左端にはそれぞれ真っ赤な色をしたなまめかしい姿の猫の像があり、その像を撫でながら歌ってたスティーヴン。曲の終わりは1つのマイクでジョー・ペリーとハモリながら締めた。3曲目は“Falling
In
Love”。この頃になると、スティーヴンはもう紫色のド派手なジャケットも脱ぎ、黒のタンクトップ姿になっていた。トム・ハミルトンは黒のジャケット姿、ブラッド・ウィットフォードはライトブルーのジャケットを着ていた。5曲目に演奏されたのは、彼らにとって(チャート上では)最大のヒット曲でありながら「エアロらしさが足りない」との理由でめったに披露しないバラード・ナンバー“Angel”。客席の一部ではこの曲に合わせてペンライトが揺らいでいた。次の曲は“Livin'
On The
Edge”。この曲を歌い終わるとスティーヴンはステージの床に寝そべり、死んでしまったかのようにピクリとも動かない。ここで始まったのが新作『ナイン・ライヴズ』のテーマ...『猫に九生あり』と『インド趣味』...のエッセンスを凝縮したかのような曲“Taste
Of
India”で、この曲のイントロに合わせスティーヴンも『死』から復活(笑)し、“Taste
Of India”をパワフルに激唱。続いて“Janie's Got A Gun”、“Rag
Doll”といったヒット曲を連発で披露。この後、ステージに美人女性がひとり現われ、スティーヴンにシルクハットとピンク色のレイを手渡した。このシルクハットとレイで『おめかし』したスティーヴンがハーモニカを吹いて始まったのは、最新ヒット曲の“Pink”。曲が終わるとスティーヴンはシルクハットとピンク色のレイを外した。次の“Draw
The
Line”では今度はジョー・ペリーが『死んだふり』をしてステージに横たわった。そんなジョー・ペリーが『死』から復活してリード・ヴォーカルを取った“Falling
Off”では、バック・コーラスに徹し、ジョー・ペリーを盛り立てていたスティーヴン。ジョー・ペリーによるメンバー紹介!!!を挟み、ジョー・ペリーがもう1曲(私には曲名が判らない)リード・ヴォーカルを取ったが、この時はスティーヴンはハーモニカ奏者に徹し、サポート・メンバーの女性キーボード・プレイヤー(Russ
Irwin ? )の熱演とジョー・ペリーの熱唱の引き立て役になってた。
前々から「ドーム球場のコンサートは音が悪い!!!」との悪評を何度も耳にしていたが、実際にドームでのライヴを体験して、どーゆー意味なのかよぉぉぉ〜く判った。音は割れるわ、ミョーな反射して響いてくるわ、ホント最悪。『パーマネント・ヴァケーション』以降の第2次黄金期からのファンの私には、リアルタイムで聴いてる最近の曲でこそどんなに音が悪くてもそれと判るが、あまり馴染みのない'70年代の第1次黄金期の曲はこの音の悪さじゃあ、判らんわ...。14曲目にプレイされた曲は実際には“Back
In The
Saddle”だったようだが、私にはそれと判らなかった。エアロの超有名曲“Walk
This
Way”でさえ、印象的なギター・リフが潰れて聴こえ、サビの歌詞でようやく“Walk
This
Way”だと判るほど。ホント、音がヒドかった(笑)。次の曲も第1次黄金期の曲で、スティーヴンが「この曲『ロックス』に入ってる曲だったよな?」とジョーイ・クレイマーに確認してから「アルバム『ロックス』からの曲だぁ~!」と観客にMCするボケをカマしてからプレイした“Nobody's
Fault”。続くはデビュー作からの大ヒット・バラード“Dream
On”、『ゲット・ア・グリップ』から“Cryin'”、最後は“Dude”を披露。ステージに巨大な毒蛇型風船を『2匹』登場させ、観客のド肝を抜いてライヴを締め括り一度ステージを去ったエアロスミス。だけど当然観客のアンコール要求の手拍子に呼び戻された。白のシャツに着替えてステージに舞い戻ったスティーヴン、観客の声援の大きさに「オマエらの声援の大きさ、合格だゼ!!!」とばかりに指でOKサインを作ってみせ、御褒美に“Full
Circle”、“What It Takes”、そして“Sweet Emotion”
(???だと思う)の3曲をプレイした。
ドーム球場のため音がモノ凄く悪かったが、「さすが!!!」と唸らせる貫祿のステージング。特にスティーヴンのシャウト「ウキャキャキャ」は声量充分、迫力満点で衰えを全く感じさせず、とても今年で50になる親父のものには聴こえなかったッスよ、ホント...。
【SET LIST】...'98.3.1
ナゴヤドーム
1. Nine Lives
2. Love In An Elevator
3. Falling In Love (Is Hard On The Knees)
4. Monkey On My Back
5. Angel
6. Livin' On The Edge
7. Taste Of India
8. Janie's Got A Gun
9. Rag Doll
10. Pink
11. Draw The Line
12. Falling Off
13. ?
14. Back In The Saddle
15. Kiss Your Past Good-bye
16. Walk This Way
17. Nobody's Fault
18. Dream On
19. Cryin'
20. Dude (Looks Like A Lady)
(encore)
1. Full Circle
2. What It Takes
3. Sweet Emotion (←たぶん)