アメリカではデビュー作『FUSH
YU
MANG』が100万枚売れ、ここ日本でも、全くの無印で音楽メディアから無視されてたにもかかわらず楽曲の持つ魅力だけで人気にドッカ〜ンと火が点いてしまったスマッシュ・マウス...略して、スマシュマ(←こんな略称、いったい誰が考えたんだあ?)。そのスマシュマがこの度初来日ツアーをおこなった。私が観たのは7月5日日曜日、クラブ・クアトロでの名古屋公演。何と今回の名古屋公演、チケットがSOLD
OUTになっており、開演時間の30分前には会場はスマッシュマン(←スマッシュ・マウスのファンのこと。アルバム・タイトルに引っかけている。これもいったい誰が考えたんだあ?)たちであふれかえってた。まさかスマシュマがこんなに人気があるとは想像だにしていなかったので、あまりの観客の多さに目を剥いた私。現在、日本じゅうで大ヒット中の
“Why Can't We Be
Friends?”(邦題は“ビー・フレンズ!~仲間よ目をさませ”)の効果がもの凄く大きいのだろう。そして特筆すべきは観客の客層。スマシュマというと、ムサ苦しいオッサン4人組なので、野郎どもばかり居る男臭いライヴになると思っていたが、フタを開けて見たら約半数は女のコ! グリーン・デイのライヴか?と見紛うほどの観客の男女比率だった。きっと女のコたちにとって、スマシュマは『友達になろう!...と歌うカワいい。オジサンたち』なのだろう。
BGMとしてずっと場内に流れてたフー・ファイターズの曲がフェイド・アウトしたのは7時10分過ぎだったろうか、“Walkin'
On The
Sun”のリミックス・ヴァージョンみたいなBGMに導かれ、ヴォーカルを除くスマシュマの3人+サポート・キーボーディストが登場し、ライヴのイントロダクションとおぼしきインストをプレイ。このインスト曲が終わると、いよいよヴォーカルのオッサン(スティーヴ・ハーウェル)がステージに登場。最初彼の姿が視界に入ってきた時、『魔人ブウ』(←漫画『ドラゴンボール』の登場キャラクター)でもやって来たか?...と思ってしまった(笑)。ハッキリ言ってデブで、白のVネックのTシャツに短パンというドン臭い姿のヴォーカルのスティーヴを交えての1曲目は“Beer
Goggles”。ライヴはまだ始まったばかりなのに、観客はサビの部分で大合唱になるわ、『人上水泳』する者は出るわ...で大騒ぎ。続く“Nervous
In The Alley”の後、あまりの観客の盛り上がりぶりに呆れ果て、「you're
fxxkin'
crazy!!!」と何度も言い、目を剥いてみせたスティーヴ。そんなスティーヴ、演奏途中はステージ上をヨタヨタ動き回ったり、マイクをスタンドごと観客に差し出し歌わせようとしたり、黙々とギターを弾いてるギターの兄さん(グレゴリー・キャンプ)が演奏中で身動き取れないのをいいことに彼のメガネを外し、したたる汗をタオルでフキフキしてあげるなど、お茶目な仕草をみせていた。
グレゴリーとベースの兄さん(ポール・デ・リール)の2人がバック・コーラスも担当してたが、彼らのコーラスが無くてもいいくらい、観客はどの曲でもサビの部分で大合唱。ギターのグレゴリーは浅黒い肌をした小柄なひとで、中田英寿を思わせるニヒルな雰囲気を漂わせていた。そんな彼の見せ場となったのが“Padrino”。この曲を演る前にスティーヴは「コイツのギターに注目だあ〜!」と観客に紹介。グレゴリーはどこかの国の民謡みたいなフレーズでスマッシュマンにはすっかりおなじみの“Padrino”のイントロを披露し、客から歓声を集めていた。スマシュマの曲のなかで一番『バカ』な曲(と、私は思ってる)“Padrino”が終わった後もグレゴリーが主役で、彼がリード・ヴォーカルを取る新曲(?)を披露。その間、ヴォーカルのオッサンことスティーヴは、踊りと観客の煽り役に徹してた。グレゴリーもポールも、そしてメガネをしたドラマーのケヴィン・コールマンも「兄貴」といった感じで、スマシュマが『オッサン4人組』と呼ばれてしまうのは、ただ一人オッサン体型のスティーヴ(彼もホントは若いハズ)に拠るところが大きいと思う。
ライヴがホントに佳境に入ったのは、11曲目にヒット曲“Walkin' On The
Sun”が披露された頃から。この時には、既にステージから観客にミネラル・ウォーターが振り撒かれ、『水入り』に。“Disconnect
The
Dots”ではステージの袖に一旦引っ込んだスティーヴ、突如観客がひしめき合うフロアに現れ、観客の間でモミクチャにされた。スティーヴがステージに戻ってから披露したのが、誰もが待ち望んでいた現在日本で大ヒット中の曲“Why
Can't We Be Friends?”。勿論、会場全体が♪why can't we be
friends〜 why can't we be friends〜 why can't we be friends〜 why
can't we be
friends〜と大合唱。500人以上の客が「どうして友達になれないんだい?」と歌う姿は実に感動的だった。最後は(ラジオ・エディットのシングル・ヴァージョンではなく)アルバムで聴かれるのと同じように徐々に演奏がフェイド・アウトしてゆき、場内には観客による♪why
can't we be
friends〜の合唱のみがこだました。この感動的なエンディングでライヴが終わるかと思いきや、スマシュマの4人(とサポート・メンバー1名)は“Push”を披露。アルバムとは違い、ボサノヴァっぽいアレンジが施されていたので最初何の曲なのか解らなかったが、歌詞を聴いてようやくそれと解った。他の観客もこの曲が“Push”と解るのに時間が掛かったようだが、それと解るとみんなサビを合唱。途中からアルバムどおりのアレンジに変わり、観客を大いに盛り上げた後、スマシュマの皆さんはステージを去った。
勿論、観客がこのままライヴが終わるのを許すワケがなく、アンコール要求の手拍子が会場に沸き上がった。この要求に応え、ステージに戻ってきたスマシュマの4人。アンコールでは“Flo”と“
Pet Names”を披露した。(これでアルバム『FUSH YU
MANG』収録曲は全部演奏したことになる) 最後にスティーヴとグレゴリー、ミネラル・ウォーター(缶ビールの中身も?)を汗ダクの観客に振りかけていった。私の居たところにはグレゴリーが水をブッ掛けに来たが、身をよじって何とか直撃を避けた私(←ノー・ダウトの時でコリている:笑)。6月20日の日本vs.クロアチア戦があった時の新宿・歌舞伎町のコマ劇場前を切り取って持ってきたような(笑)異様な盛り上がりをみせ、みんな汗ダクで死にそうになり、約50分という時間の短さを一切感じなかったライヴだった。
【SET LIST】...'98.7.5
名古屋クラブ・クアトロ
1. (intro...instrumental)
2. Beer Goggles
3. Nervous In The Alley
4. The Fonz
5. ?
6. Heave-Ho
7. Padrino
8. ?
9. Let's Rock
10. ?
11. Walkin' On The Sun
12. Disconnect The Dots
13. Why Can't We Be Friends?
14. Push
(encore)
1. Flo
2. Pet Names