AC/DCが19年振りに演奏しに日本にやって来た。19年前といえば、ちょうどアルバム『悪魔の招待状』が全米No.1に輝いた頃で、私・ヒロくんが洋楽を聴き始めた時期にも相当する。当時の『オール・ジャパン・ポップ20』(文化放送のラジオ番組。今の『全国ポピュラー・ベスト10』)には、“Let's
Get It
Up”がランクしてたもんなァ〜。私の洋楽リスナー歴19年がスッポリと納まる長い間日本に来なかったAC/DCを2月22日、大阪で観て来た。
会場の大阪城ホール前の広場では、アンガス・ヤングの衣装...ブレザー、ネクタイ、半ズボン...姿をしたコスプレ軍団が記念撮影してた(笑)。オフィシャル・グッズ売り場で、Tシャツやパンフレットの他に売られてたのが、赤いツノ(笑)。このツノ、光が点滅する仕掛けになっていて、ほぼ満員の客の入り会場内ではこの赤いツノがあちらこちらで点滅してた。開演前のBGMはストーンズだ。開演時間の7時を廻りしばらくすると、客電が落ち、ローディーのオッサンが出て来て、バンド紹介をする。「AC/DC〜!!!」 黒色のブレザーと半ズボンを着たアンガス・ヤングがステージに現れ、観客に向かってぺこりとおじぎした。
メンバーがそれぞれ持ち場に就いたところで演奏始まった曲は、アルバム『バック・イン・ブラック』収録の“You
Shook Me All Night
Long”(邦題は“狂った夜”)。ヴォーカルのブライアン・ジョンソンはトレード・マークの帽子をかぶり、黒い半袖シャツ姿で、『鬼太郎の目玉オヤジ声』(笑)で熱唱。アンガスは右足を上げ、左足だけで跳び跳ねながらギターを弾く。うぉ〜! 本物だ!!!(笑) ステージから観客の居るアリーナ席に向け、20
m
ほどの花道が用意されていて、ライヴ中何度もこの花道に出てきてはファンと握手してたアンガスとブライアン。ステージ後方には巨大スクリーンが用意され、アンガスやブライアンの姿が映し出されてた。曲が終わると「thank
you,
Osaka〜!!!」てな感じのMC入れるブライアン、「次の曲はニュー・アルバムからの曲だ。“Stiff
Upper Lip”!」と英語で曲紹介。“Stiff Upper
Lip”の演奏中、巨大スクリーンが真ン中から分割され2つになり、その間に現れたのが、巨大なアンガス・ヤングの銅像。新作『スティッフ・アッパー・リップ』のジャケットの銅像がそのまま巨大化したシロモノ。“Shot
Down In
Flames”(邦題は“ショット・ダウン”)が披露されると、ブライアン、ファンに「みんな一緒に歌ってくれ!」ってな感じのMCを入れる。ここでアンガスが弾き始めたのは“Thunderstruck”のイントロ。ファンがみんな「thunder
!」と掛け声を入れてる間に、アンガス像は、目を光り輝かせ、口からスモーク吐いてた。マルコム・ヤングとクリフ・ウィリアムスは動き廻ることなく演奏に専念。フィル・ラッドは独特のフォーム(特に左腕が)でタイコ叩いてた。
ステージのスクリーンは、一つになったり分割して2つで使ったり、可動な優れモノ。メンバーの姿を映すのは勿論のこと、観客のファンの姿を大映しにしたり、“Hard
As A
Rock”では、動物の交尾シーンを時折挿入するユーモラスな映像を流したりしてた。
今回のAC/DCのライヴ、音楽雑誌『BURRN!』の'00年11月号と'01年3月号に都合2度載ったワールド・ツアーのリポートを見て、パッケージ・ツアーだと分かってた。事実、演奏曲目もショウの流れもほぼ事前情報どおりだったけど、新作『スティッフ・アッパー・リップ』からの“Safe
In New York City”が披露されるハズのところで、何故か“Sin
City”(邦題は“悪徳の街”)がプレイされた。ステージのアンガス像の背後は夜の街並風景に変わって、『スティッフ・アッパー・リップ』のジャケットが再現されてるというのに...。新作のなかでも“Safe
In New York
City”を特に気に入ってた私はこれにはガッカリ...。次は“Bad Boy
Boogie”。この曲の中盤から『お約束』のアンガスのストリップ・ショウに突入〜! ギターをローディーに預けたアンガス、まずはブレザーを脱ぎ捨て、次にネクタイを解いて放り投げる。Yシャツも脱いで上半身裸になったところで、いよいよファンの誰もが期待する『尻見せ』にかかる(笑)。ところが、なかなか見せないんだな〜(笑)。勿体つけるだけ勿体つけて、半ズボンを下ろしたアンガス。期待してた『日の丸トランクス』じゃなくて、何か日本語の文字が書かれたトランクスがスクリーンに大映しになった。勿論、昔のように『ナマ尻』は見せやしない(笑)。アメリカでは『星条旗トランクス』、英国では『ユニオンジャック・トランクス』を見せてたというアンガス。この例に倣うと日本では『日の丸トランクス』のハズだけど、やっぱり「日の丸柄のトランクスはマズイ!」との配慮を働かせた者が周りに居たんだろう。その代わり、フィル・ラッドのドラムセット後方に日の丸が掲げられ、それがスクリーンに大映しになった。その後、上半身裸のままでギターを構えたアンガス。シャツを脱いで黒のタンクトップ姿になったブライアンもステージに戻って来て“Bad
Boy
Boogie”の続きを演奏。曲が終わると、それまで天井に吊り上げられていたAC/DCのロゴが入った鐘がスルスルと降りてきて、スポットライトが当たる。その鐘に向かって花道を駆けて来たブライアンが、鐘から下がる縄に飛び付いて鐘を鳴らす。ボ〜〜〜ン!...と。実はこれは効果音で、必死に鐘にぶら下がるブライアンのドタバタした動きを無視し、この後も鐘は秩序よくボ〜〜〜ン!ボ〜〜〜ン!と鳴り響くのだった(笑)。ブライアンは1分ほど鐘にぶら下がってから花道に降りた。ここでプレイされた曲は勿論“Hells
Bells”(邦題は“地獄の鐘の音”)だ。この曲の演奏中、アンガスの銅像は目をメラメラ燃やし、アタマに赤いツノを生やしてた。ちょうどファンがつけてるみたいに。“Hells
Bells”に続いて、“Get It
Hot”(邦題は“熱くやろうぜ”)を披露。確かここでだったと思うけど、アンガスがブライアンの帽子を取って自分のアタマの上に載せた。帽子をとったブライアンの姿を初めて観たゾ(笑)。「オレが帽子をかぶってるのはハゲてるからじゃないぜ!」と、ブライアンはよく言ってるが、そう豪語するほど無かったような気がする(笑)。ブライアンの頭をじっくり確認する間もないまま場内は暗転、次に場内に灯りが点いた頃にはもうブライアンは元どおり帽子をかぶってた。「今度はbitchについての曲だ。みんな歌ってくれ!」てな感じのMCをブライアンが入れて始まった“The
Jack”。スクリーンには会場のファンの姿...それも主に女のコ...が映し出された。何故か作り物のオッパイを掲げるファンも居て、その作り物のオッパイも何度もスクリーンに映し出された。
ユル〜い“The Jack”の後は、代表曲5連発! まずは“Back In
Black”、続いて“Dirty Deeds Done Dirt
Cheap”(邦題は“悪事と地獄”)。“Highway To
Hell”(邦題は“地獄のハイウェイ”)では曲のエンディングで火柱がボ〜ッと何本も上がり、ファンのド肝を抜いた。花火じゃなくて、火焔放射機による炎が4,5
m
くらいの高さまで上がったんだから、驚いて当たり前だが...。この頃になるとクールにベース弾いて、コーラス入れるだけのクリフ・ウィリアムスのシャツにも汗がにじんでる。暗闇のなか、聴き覚えのあるギター・リフが刻まれる。ライヴ・アルバムなどでツボを心得たファンが「アンガス! アンガス!」とアンガス・コールを入れる。“Whole
Lotta
Rosie”だ。場内が明るくなると、アンガスの銅像の左横にいつの間にか豊満な体つきしたパツキン女性の巨大バルーンがあった! アンガス像と同じくらいの大きさだ。ブラジャーにパンティー、ガーターベルトにストッキング姿のこの『女性』、単なる風船じゃなく、曲に合わせてなまめかしい動きをみせる。この『女性』の動きに目を奪われてるうちに曲は終わり、場内が暗転。灯りが点くと見事なまでに『女性』が居なくなっている。その代わり、曲間は長めだったけど...。この日のライヴは全般的に曲間が長め。演出の切り替え・準備に時間がかかるのは解るけど...。もしかして、メンバーの年齢的な問題? ここで始まった曲は“Let
There Be
Rock”(邦題は“ロック魂”)。曲中、アンガスが花道の先端の円形部分に来ると、その円形部分がスルスルと上へ上がっていく。高さ7,8
mくらいまで上がったろうか? その高みでギターをかき鳴らし、さらにその円形台のなかで寝そべって2回転くらいしてギターをかきむしったアンガス。台が元の位置まで降りると、花道からステージに戻ったアンガス、しばらくギターをかき鳴らした後、ステージ左手に秘かに用意されていたゴンドラに載って、今度は10
m
くらいの高みからギターをかき鳴らす。アンガスの姿はスクリーンで何度もアップで映されてるんだけど、ホントに老けたねェ〜。佐藤 慶か寺田 農かと思った(笑)。特に...アタマが薄くなってきてる...。兄のマルコムには老いを感じないけど、アンガスは...。しばらくギターをかき鳴らしてからゴンドラを降りると、他のメンバーも加わって曲の続きに戻る。最後にアンガス像はド派手にスモークを吐き、ステージでもあちこちからスモークの柱が上がった。「thank
you〜! good
night〜!」ってな感じでブライアンがファンに声を掛けると、AC/DCの面々はステージを去った。
ファンの熱心なアンコール要求に手拍子に応え、やがて、ステージ中央にモクモクとスモークが上がる。スモークが消えたところにアンガスがギターを構えて立っている。アンコール1曲目は“T.
N. T.”。ブライアンのヴォーカルに合わせてファンが♪T. N.
T.!〜と拳を突き上げた“T. N.
T.”のエンディングでは、アンプに額をこすりつけるかのような体勢でギターを弾いてたアンガス。その頭上に大砲が迫り出してくるのをファンは目ざとく見つけ、歓声を上げる。ステージ上に全部で6門の大砲が登場。大砲が登場したからには次は当然、“For
Those About To Rock (We Salute
You)”(邦題は“悪魔の招待状”)。曲の後半以降は、サビの部分でブライアンが「fire〜!」と叫ぶ度に大砲がブッ放される。ファンも一緒になって「fire〜!」って叫んでた。曲のエンディングでは大砲が連発で鳴り響き、金色の紙吹雪がバ〜ッと(それもおびただしい量)降り注ぎ、2時間に亘るライヴは終了。
新作からは、わずか1曲! 全20曲演奏したうち、前回の'82年の来日以降に出したアルバムからの曲はわずか3曲!!! 過去にコダワリ過ぎの気がしないでもないが、19年間の空白を無かったことにする選曲ということにしておこう(苦笑)。演出の数々も楽しめたし(笑)。
【SET LIST】...'01.2.22
大阪城ホール
1. You Shook Me All Night Long
2. Stiff Upper Lip
3. Shot Down In Flames
4. Thunderstruck
5. Hell Ain't A Bad Place To Be
6. Hard As A Rock
7. Shoot To Thrill
8. Rock And Roll Ain't Noise Pollution
9. Sin City
10. Bad Boy Boogie
11. Hells Bells
12. Get It Hot
13. The Jack
14. Back In Black
15. Dirty Deeds Done Dirt Cheap
16. Highway To Hell
17. Whole Lotta Rosie
18. Let There Be Rock
(encore)
1. T. N. T.
2. For Those About To Rock (We Salute You)