鹿児島出身のハタチそこそこの女のコ、ユウちゃんとアッコと、男性ドラマー・ターキーの3人組・GO!GO!7188が1stマキシ“太陽”でデビューしたのは10ヶ月前のこと。彼女たちの音楽を言い表わすと、『歌謡パンク』。いつまでも芸能界のしきたりから脱皮できない日本のメジャーどころのロック・バンドの体質を揶揄するのに『歌謡ロック』という表現が使われたりするけど、彼女たちの音楽は文字どおり黄金期の日本の歌謡曲からの影響が顕著に現れてる。それは“ひょっこりひょうたん島”や“恋のフーガ”などのカヴァーを演ることからも解るけど、ザ・ピーナッツやピンキーとキラーズふうの曲をパンク風に演るという彼女たちのサウンドはある意味斬新だった。だって、今まで日本のロックはそれら歌謡的なモノから脱却を目指して発展してきたんだから(笑)。黄金期の日本の歌謡曲を恥ずかしいモノとしてフタをするのではなく、積極的に音に取り入れたところに彼女たちの新しさがある。勿論、彼女たちのサウンドは黄金期ニッポン歌謡だけからの影響だけじゃないけど、ユウちゃんのヴォーカル・スタイルがザ・ピーナッツやピンキーとキラーズふうだから、そうでない曲までそのように聴こえてしまう(笑)。デビュー後、4枚のマキシ・シングルとフルアルバム『蛇足歩行』をリリース。ライヴの数もこなし、成長著しいGO!GO!7188の『とのさまツアー』を5月19日、東京・日比谷野外大音楽堂で観た。
日比谷野外大音楽堂はその名のとおり屋外にある。5月19日は晴れの天気だったんだけど、東京は午後4時くらいから雷を伴う激しい雨に見舞われた。「野外コンサートなのに冗談じゃねェよ!」と思ってたら、開場時間の5時45分頃には雨は上がった。なにしろ、雨天決行だからね。雨降ってるよりも止んでたほうが快適にライヴ観られるでしょう?
日比谷公園の西南部にある大音楽堂はキャパ2,000人規模の会場。当日券も出てたけど、客席はほぼ満席状態。なかには前のツアーの『BU☆SA☆I☆KU』Tシャツ着てるファンも居る。GO!GO!7188は自称・ブサイクだからねェ〜(笑)。ハタチ前後の客が多く、ほぼ男女半々。なんか場違いな場所に来てしまった...と今さら思ってももう手遅れ(笑)。
開演時間をちょっと過ぎると、往年のTV時代劇のテーマ曲(何のだったかは、失念)が流れ、ステージに流れると、ステージに金髪になったブサイク(笑)と、黒髪のブサイク(笑)と、ドラマーのターキーが現れた。それぞれ楽器の準備が整うと、黒髪のブサイクがマイクに向かいぶっきらぼうに叫ぶ。「“ロック”!」 始まった曲は“ロック”(笑)。いきなり「ロック!」って叫ぶものだからいかにもロケンロールしたMCだなァ〜と思ってたら、単なる曲紹介だった(笑)。ステージ向かって右側に居てギターを構えて歌ってるのが『金髪になったブサイク』ことユウちゃん。向かって左側でベース弾いてるのが『黒髪のブサイク』アッコだ。アッコは想像してたよりもスリムだったものだから、最初はどっちがユウちゃんでどちらがアッコなのか、分からなかった(苦笑)。続いて“西部”を演奏すると、MC入れたアッコ。またぶっきらぼうに曲紹介。「“行方不明”!」 紹介どおりに“行方不明”が始まる。みんな♪いらないいらないみんな消えてなくなれ〜って歌ってたような気がする。“行方不明”が終わると、そのまま“ゆげ”に突入〜!!!。
熱心なファンには周知の事実だったんだろうけど、私はこのライヴ観て初めてユウちゃんが金髪にしたこと知った(苦笑)。そんなユウちゃんは黒のタンクトップにジーンズ姿。スラリと長い脚にはベルボトム(?)が似合う?(笑) ユウちゃんと同じく黒のタンクトップにジーンズ姿のアッコがまたも曲紹介。「“パパパンツ”!」 “パパパンツ”の演奏中から雨がたま〜にポツリポツリと落ちてきた。ゲッ! ヤバイ〜!!! “パパパンツ”が終わると、アッコのMCタイム。お気楽にも、ファンに「雨止んでよかったね」って声をかける。当然ファンは雨降ってることを身ぶりで示す。これ見て、アッコ、「エッ! 降ってんの? 知らなかった! だって屋根があるからさァ〜」とステージの屋根を見上げる。さらにアッコ、ファンに「みんなカッパ持って来てる? カッパ着てる姿見るのって面白いよね。ドシャ降りにならないかなァ〜」などとトンデモないことを言い出す! オイオイ、シャレにならんからそんなこと言うのヤ・メ・テ・ク・レ!...アッコの発言には他のファンからもブーイングがとんだハズ(笑)。そこでアッコが次に演る曲を紹介。「“彼女と私”」 待ってましたッ! 私の大好きな曲。だけど演奏始まった“彼女と私”、出だしはテンポ遅いし、どこかキレがニブい。「うえっ! サイアク...」って思ったら♪今すぐマンネリ〜からの高音部からは本来のキレが戻ってきた。これなら大丈夫だ。“彼女と私”って曲の魅力は♪今すぐマンネリ〜以降のユウちゃんの高音ヴォーカルの開放感にあることを再認識。この“彼女と私”の演奏中から雨粒の落ちてくる頻度が高まり、たまらずカッパを着込むファンもチラホラ。結果的にはこれ以降は雨が止んでいったケド。アッコが見たい!と言った『観客みんなカッパ姿』というサイアクの事態は回避(笑)。
“彼女と私”の後、波の音のSEが流れ、ベンチャーズふうのインスト曲をプレイ。そして王道歌謡曲、ザ・ピーナッツの“恋のフーガ”のカヴァーを演った。“恋のフーガ”が終わると、またも場内に波の音のSEが流れ、「海に行きたいよね」と言うアッコ。ここで加山雄三の“君といつまでも”を歌詞無しで演奏!!! 有名な「幸せだなァ〜」のセリフが入る部分にさしかかると、ターキーが「幸せだなァ〜。この日比谷野音でオマエらと一緒に過ごす時が一番幸せなんだ。オレは死ぬまでオマエらのことを放さないからな!」とセリフを入れ、大ウケするファン(笑)。インスト版“君といつまでも”の後、新曲を披露した3人。曲が終わると、アッコが「今のはね、“あぁ青春”っていう新曲」と紹介を忘れない。ここで、せっかくの日比谷野音ってことでスペシャル・メニュー。ユウちゃんとアッコが用意された座布団に座り、2人でアコースティック・セッション。“かみなりが鳴ってたくさん雨が降る夜”という新曲をマイクなしでプレイ。ちょうどこの曲のリハーサルをやってた時に、先のドシャ降りの雨だったそうで、「この曲にピッタリ!」とはアッコの弁(笑)。1曲アコースティックでプレイした後は、ターキーも戻って来て新曲の“考えごと”
。新曲が次々と出来てるようだ。頼もしィ〜。最新シングルの“ドタン場でキャンセル”と“ぬかるみ”を演ると、アッコ「後半戦だァ〜! みんな準備はいいか〜!」などと叫ぶ。演った曲の量から考えると、後半戦どころか結果的には『残り1/4』という塩梅だったんだけど(笑)、ここで曲紹介された曲は後半戦突入にふさわしい曲。「“ジェットにんぢん”!」 “ジェットにんぢん”で会場は一気にヒートアップ! みんな一緒に歌ってた。♪昔はやった歌手の名前は〜ジッタリン・ジン!...って(笑)。さらにデビュー曲の“太陽”でたたみかける。♪ギ〜ラギラ〜太陽〜照〜らされたいよ〜...。アッコの「“文具”!」っていうぶっきらぼうな曲紹介で始まった“文具”の後は、“パンク”。“パンク”で最後、大きな盛り上がりを見せると、3人はステージを去った。
3人がステージを降りると、会場のファンの間から沸き上がる「ブ〜サイク」コール。邦楽のコンサートに付き物のアンコール・コールの代わり(笑)。この「ブサイク」コールに応え、ステージに再び戻って来た3人はみんな今回の『とのさまツアー』のツアーTシャツに着替えての登場。アッコが言う。「あのね、私はアンコールってものがあまり好きじゃないんですけど...今日は演るけどさ...。あのね、言い訳させてくれる? アンコール好きじゃなかったんだけどサ、みんなの楽しそうな顏見てたらサ、アンコールってものも悪くはないかなァ〜...って思えるようになった。アッコも大人になった(笑)」 この後、ユウちゃんとアッコの間で、2人とも親が観に来てるって話をしてた。開演前になって初めて親が観に来てることを知ったそうで、ライヴの前に母親と電話で話したら母親が「家に居るよ」って言うから、鹿児島の家に居るのか...と思ったら、母親が「東京のね」って付け足してきたそうだ(笑)。さらに話題は3人が着てるツアーTシャツにも及び、今回のツアーでは、メンバー3人ひとりずつ合計3種類のTシャツ作ったので、売り上げがメンバーの人気投票になっている...という話になった。「一番人気が無かったひとは...メンバー脱退?」と女性陣がハナシを持っていったけど、それじゃあ辞めるのターキーだね(笑)。私は『ユウちゃんTシャツ』買いました(笑)。ターキーは自分のTシャツ着てたけど、ユウちゃんは『アッコTシャツ』、アッコは『ユウちゃんTシャツ』着てた。そのことについてアッコは「私が『ユウちゃんTシャツ』着て、ユウちゃんが『アッコTシャツ』着てるのは、この2人は実はつき合ってるからです! ホントだよ〜!」などと言う。そしてホントに2人は、ファンの目の前でブッチュ〜!!! 「奪っちゃった」と勝ち誇るアッコ。「奪われちゃった...」とどこか気落ちしたようなユウちゃん(笑)。女性陣のトークが延々と続いた後、ファンから「ターキーも喋って!」と声がかかったけど、ターキーは喋らず仕舞いなのでした(笑)。長いトークの後、アッコがアンコール1曲目を紹介。「“こいのうた”」。ファンの間でも評価が高い“こいのうた”が終わると、「これがホントに最後の曲です。みんなも一緒に歌ってね」とアッコが言って始まった“ひょっこりひょうたん島”。パンク・ヴァージョンにアレンジされた“ひょっこりひょうたん島”で盛り上がると、アッコはいちどステージから客席に降りてファンと交流をはかり、ステージに戻ってユウちゃんと共にステージを後にした。ターキーはドラム・スティックを次々ステージに投げ入れてからステージを去った。
アルバム1枚しか無く、音楽性もガレージ寄りだから短いモノを想像してたけど、新曲たくさん演ったり、いろんな見せ場作ったりしたサーヴィス精神あふれる楽しいライヴ。演奏力も問題ナシ。特にアッコのステージ上でのふるまいは貫禄十分。ホントに21?(笑)
【SET LIST】...'01.5.19
日比谷野外大音楽堂
1. ロック
2. 西部
3. 行方不明
4. ゆげ
5. C7 (新曲)
6. パパパンツ
7. 彼女と私
8. 蒼い星くず (加山雄三のカヴァー、インスト・ヴァージョン)
9. 恋のフーガ
10. 君といつまでも (加山雄三のカヴァー、インスト・ヴァージョン)
11. あぁ青春 (新曲)
12. かみなりが鳴ってたくさん雨が降る夜 (新曲)
13. 考えごと (新曲)
14. ドタン場でキャンセル
15. ぬかるみ
16. ジェットにんぢん
17. 太陽
18. 文具
19. パンク
(encore)
1. こいのうた
2. ひょっこりひょうたん島