アラスカの天然少女・ジュエルのコンサートを3月30日に中野サンプラザで観て来た。
会場の客電が消えたのは、6時6分。ステージにバンド・メンバー5人が現れ、それぞれの持ち場に就き演奏始めたのが、新作『ディス・ウェイ』からの“I
Won't Walk
Away”。この曲のイントロに招かれるかのようにステージに現れたジュエルをファンが拍手でお出迎え。ジュエルは、黒いキャミソールに黒のミニスカートでヘソ出しルック。さらに黒革のロングブーツ履いてる。御存知のとおり、ジュエルってブロンドのロング・ヘアだから、絵に描いたようなロリロリファッション(笑)。次は新作のアタマを飾る“Standing
Still”。ここまでジュエルは歌に専念してたんだけど、ここからはエレキギターを構えて“Do
You Want To
Play?”。ジュエルがエレキギターを弾く時、ギターの位置がとても低い。ムキ出しの膝小僧のちょっと上あたりにまでギターが下にきてた。バンドのギタリストやベーシストと並んでるのをみると、ジュエルのギターの位置の低さが際立ってる。次の曲は“Hands”で、前作『スピリット』からのヒット曲の登場にファンの間から歓声が上がる。バック・バンドはギター2本、ベース、ドラム、キーボード...という編成。ギタリスト2人とキーボード奏者がバック・コーラスも担当。バック・コーラスで一番貢献してたのは...キーボード奏者(笑)。ジュエルの歌は勿論のこと、バック・コーラスももうひとりバック・シンガーが居るのかと思ったくらいCDと同じように聴こえる完璧さ(笑)。
ジュエルは曲によってエレキギターを弾いたり、弾かなかったりしてた。歌に専念した“Break
Me”が終わると、ステージにアコースティック・ギター(以下、アコギ)が2本運び込まれる。ジュエルひとりによるアコギ弾き語りタイムだ。「周囲をしんとさせる歌」...これはジュエルの国内盤ライナーノーツで中安亜都子さんがよく使う表現だけど、この日のライヴでも曲が終わってひと通り拍手が終わると、会場全体がしーんと静まり返ることが幾度となくあった。次にジュエルが何を演るのか聴き逃すまいと、ファンはみんな身構えてた?(笑) 会場に漂う空気は、ポピュラー・ミュージックのコンサートというよりもクラシックのコンサートみたいで、ジュエル自身もこれに気付いたのか、「quiet」って笑いながらギターを構える(笑)。エレキの場合と違って、アコギの場合はギターの位置はフツウでした(笑)。弾き語りタイムではまず“You
Were Meant For Me”と“Little
Sister”を演奏。ジュエルにのみスポット・ライトが当てられたステージで、バンド・メンバーたちが持ち場に着いたまま暗がりのなかで待機させられてるのは何とも気の毒というか...(苦笑)。ジュエルが観客にリクエストを募る。ファンがいろんな曲名を挙げるなか、「“Grey
Matter”!」と叫ぶ声が一番大きかったようで、「O.K.、“Grey
Matter”」と言ってこのリクエストを採用したジュエル、“Grey
Matter”を演奏。「初めて演奏するカントリー・ソング」みたいなことを言って、おそらくカントリー・ソングのスタンダード・ナンバーを演ってから、また観客からリクエストを募ると、“Near
You Always”と“Morning Song”の人気が伯仲。ジュエルが“Near You
Always”と“Morning
Song”のどちらが聴きたいか観客に拍手させたところ、“Morning
Song”のほうが「勝った」ので“Morning
Song”を演奏(笑)。ここでジュエルの弾き語りコーナーはおしまい。
今まで暗がりのなかで待機してた(笑)バンド・メンバーも加わって“Life
Uncommon”と“Serve The
Ego”の新作からの曲を演奏。ここまでは「ライヴ」というよりも「コンサート」っていう感じで、ヘタに席から立ち上がろうものなら「見えないから座ってくれませんか」と後ろから言われちゃうくらい。ところが、新作の中で一番カントリー・ロック調の曲“Love
Me, Just Leave Me
Alone”が演奏されると、状況は一変! このロックした曲の演奏途中に「come
on〜!」ってジュエルが煽ったものだから、観客はみんな総立ちになり、多くのファンが自分の席を放棄してステージ前まで駆け下りていく。「コンサート」から「ライヴ」へと、会場の空気が一変した。この“Love
Me, Just Leave Me
Alone”では、マリア・マッキーを彷佛とさせるシャウトを披露、ファンを沸かせたジュエル。次の曲もロック調のノリのある“Everybody
Needs Someone
Sometime”で、ファンは手拍子して応えて会場の熱気はそのまま温存。次に“The
New Wild
West”を演奏すると、黒人ベーシストがファンに耳馴染みなリフを弾き出す。“Who
Will Save Your
Soul”だ。だけど、このベーシストはベース弾きながらおどけてみたり、ジュエルも踊ったりしてなかなか歌に入らなかった(笑)。この“Who
Will Save Your
Soul”を歌い終えると、ジュエルはステージを後にし、残りのメンバーも演奏が終えてステージを去った。
ファンがアンコールを求める手拍子を始めると、まもなくキーボード奏者がステージに戻ってきて耳馴染みなピアノの旋律を弾き始める。“Foolish
Games”のイントロだ! ファンが悲鳴のような歓声を上げたところにジュエルがステージに現れ、もっと大きいファンの歓声を引き出す。“Foolish
Games”が終わると、「thank you for coming
tonight〜!」とファンに御礼を述べたジュエル。アコギ弾き語りで“Angel
Standing
By”を披露。この曲をもって、この夜のジュエルの美しいパフォーマンスはすべて終了した。
新作で従来のアコギ弾き語りのスタイルからバンド・フォーマットによる演奏へと移行し、音楽性が変化したとされるジュエル。私は過去の来日公演を観たことがないのでなんとも言えないんだけど、昔は狭いハコでの演奏だったから、弾き語りスタイルでも観客と一体となったライヴが出来た。だけど、1,000万枚もCD売っちゃうともう狭いハコでの演奏はムリ。どうしても今回の中野サンプラザのような広いホールにブッキングされる。となると、観客と一体となったライヴをするためにはロック色を強めて、ノリを重視するのが手っとり早い。ジュエルの新作での音の変化はノリの良いライヴを想定したうえでのもののような気がする。だって、会場が静まり返った時、その静寂を一番気にしてたのも、「come
on〜!!!」ってファンを煽ってステージ前に殺到させたのもジュエルだし(笑)。
【SET LIST】...'02.3.30
中野サンプラザ
1. I Won't Walk Away
2. Standing Still
3. Do You Want To Play?
4. Hands
5. Till We Run Out Of Road
6. This Way
7. Break Me
8. You Were Meant For Me
9. Little Sister
10. Grey Matter
11. Dont Wanna Be Loved By Anybody But You
(カントリー・ソングのカヴァー?)
12. Morning Song
13. Life Uncommon
14. Serve The Ego
15. Love Me, Just Leave Me Alone
16. Everybody Needs Someone Sometime
17. The New Wild West
18. Who Will Save Your Soul
(encore)
1. Foolish Games
2. Angel Standing By