澄んだ空気を思わせる清涼感あふれるガールズ・ポップがウリのアメリカ西海岸のインディー・ギターポップ・バンド、ディア・ノーラと、オリンピアの『K』レーベルの秘蔵っ子、Mirahのジョイント・ライヴが、富山でギタポ・クラブ・イヴェントを催す『Beagle
scout』の皆さんの尽力により実現したので、4月9日の火曜日に会場のFROM
THE SOUTHへ観に行って来た。ふだんは喫茶&スナックと思われるFROM
THE
SOUTHの狭い店内はギタポ大好きな皆さんで満員になっている。殆どが20代前半(笑)。その狭い店内の入口付近に、申し訳程度のステージが設置されている。5人組のバンドは乗れないくらい狭い。省スペースのため、ドラムも必要最低限のセット。
ディア・ノーラとMirahの演奏に先立って、高岡のギタポ/オルタナ・シーンの牽引役である『バブルホイッスル』レーベル主宰者・Sau'Beachのホウノキ君のバンド、FELDMANがわざわざこの日のために東京から駆け付けて演奏した。FELDMANは、ヴォーカルのホウノキ君の他、ギター、ベース、ドラム...の4人編成。“Blue
Blue Blue
Sky”など、ディア・ノーラと同じような清涼感あふれるギターポップを披露。このFELDMANというバンド、年季の入ったバンドなのか急ごしらえのプロジェクトなのかは解らないけど、ホウノキ君は歌詞を覚えておらず、堂々とカンニング・ペーパーを見ながら、バッキング・トラックがベル・アンド・セバスチャンの“The
Boy With The Arab
Strap”ソックリな曲(笑...ただし、歌メロは別モノ)や、Sau'Beachのカヴァー曲などを歌ってた。途中でベーシストとドラマーは『お役御免』になり、代わりにステージにはオーブン・トースターが持ち込まれる。「第2部では、世界初の音楽とクッキングの融合を試します。“ピザ・トースト・チーズ・トースト”という曲」などと紹介したホウノキ君、ステージ上で食パンやトマトケチャップ、スライスチーズなどを持ち出し、クッキング。「曲が終わる時にクッキングも出来上がります。出来上がったトーストを食べたい方居ませんか? ちゃんと手洗ってあるので...」などと言うと「ウソつけ!」と横から鋭いツッコミが...(笑)。こうしてホウノキ君とギタリストの2人で始めた“ピザ・トースト・チーズ・トースト”という曲の演奏が終わった時、まだオーブン・トースターは稼働中だったんだけど、あわててダイアルを廻し「チン☆!」と言わせて強引にクッキング終了させる『お約束』(やると思ってた...笑)もあった。この後、「音楽と風船の融合を試します。バルーン・ファイト」などと言い、ドラムセットに座って風船を4つ括りつけたホウノキ君(彼はTreesloungeではドラムやってる)、ドラム演奏しながら曲に合わせて風船を割っていった(笑)。「音楽と風船の融合を試し」た後、「ロウの“Sunflower”って曲を演ります」などと言ったはいいけど、カンニング・ペーパーが散逸してて見当たらず、「歌詞が見つからないので、これで終わります」などという実にしまらない終わりかたでステージを降りた(苦笑)。
この後、『K』レーベルからアルバム『Advisory
Committee』をリリースしたばかりのMirahが登場。Mirahはメガネ掛けた金髪の女のコで、後から登場するディア・ノーラの2人に比べると、太め(笑)。彼女ひとりでエレキギターのチューニングが出来ず、演奏開始に随分手間取ったけど、結局日本人スタッフの力を借りてギターのチューニングを済ませた。まず、Mirahと、ディア・ノーラのケイティとマリアンヌの3人でアカペラで1曲歌った。ここでディア・ノーラの2人はステージから下がり、ここからはギターを構えたMirahが弾き語りで曲を矢継ぎ早に披露してく。Mirahの歌聴いてたら、ジュリアナ・ハットフィールドあたりを思い出した。曲の合間に「thank
you〜!」というだけで次々に曲を披露していったMirah、“Cold Cold
Water”を披露したところで、ギターをアメリカ人スタッフに渡した。ここでもうMirahの演奏は終わりか...と思っていたら、もう1人のスタッフもドラムキットに座る。Mirahがここで歌だけに専念して披露したのは、ブルース・スプリングスティーンの“Dancing
In The
Dark”。1コーラスだけじゃなくて、フルコーラス全部歌いきってくれました! 私のような'80年代を青春時代としてリアルタイムに体験したひとにはウケたけど...会場埋めてる20代前半のみなさんには分かったかな、コレ???(苦笑) なんか、私ひとりでウケてたよーな...(汗)。
この後、セットチェンジが行なわれる。演奏準備が済んだところで、ディア・ノーラのケイティとマリアンヌに、先ほどのお返しとばかりに、Mirahも加わって1曲軽く歌う。ここで、Mirahはお役御免。ディア・ノーラの演奏が始まる。ディア・ノーラは、180
cmは絶対あると思う長身のギタリスト/ヴォーカリストのケイティ・デイヴィッドソンとドラマーのマリアンヌ・リッチーの2人を中心とする3人組。女性2人は先ほどのMirah同様、メガネかけた金髪娘。ベースの(恐らく)ライアン・ワイズは長髪・ヒゲ面でムサ苦しい風貌。今回はもうひとり男性ギタリストを加えての4人編成での演奏だった。ディア・ノーラの演奏を生で聴いて思ったのが、ケイティの歌声の透明感...あれはウィーン少年合唱団を思い出すくらい澄んでる。女性ヴォーカルっつうよりも、少年モノみたいに響きました(笑)。それにドラム叩きながらバック・コーラスつけるやんちゃなマリアンヌ、彼女のコーラスもイイね! そのマリアンヌ、何度も「私たちの曲で踊ってくれなきゃ、嫌よ。いいわね、踊ってね! これ、約束よ!」といった感じで観客を煽ってたのが印象深かった(笑)。が、悲しいかな、観客はあまり盛り上がってなかったような...。って、私は最前列に居たので(爆笑〜!!!)後ろに居た観客の反応が分かってなかったりするけど(苦笑)、ケイティに至っては「ホントにみんなディア・ノーラのファンなの?」って訊いてたよーな...(苦笑)。でも、この反応のニブさはある程度仕方ない。というのは、アルバム『ウィル・ハヴ・ア・タイム』の曲、殆ど演らないんだも〜ん(苦笑)。創作活動が順調で曲がたくさんあるのはそれはそれでいいことなんだろうけど、唯一リリース済みのアルバムからの曲をなかなか演らないのはいかがなものでしょうか? もっとも、観客のみんな、アルバム『ウィル・ハヴ・ア・タイム』持ってるかもアヤしいかも...。あくまでも個人的な感想ですけど、アルバム『ウィル・ハヴ・ア・タイム』からの“'Round
And 'Round”や“Since You Went
Away”が登場した終盤になってからこちらのテンションが上がったような気がする。「ようやく聴きたいディア・ノーラが聴けた!」って(笑)。で、10曲あまり演奏したところで、ディア・ノーラはステージから降りたんだけど、“Rollercoaster”も“When
The Wind Blows”も“From My Bedroom
Window”も演ってくれなかった...(泣)。
ということで、客の集まりの割に、盛り上がりは大人しかったライヴでした。
【SET LIST】...'02.4.9 富山・FROM THE
SOUTH
《DEAR NORA》
1. ?
2. ?
3. ?
4. ?
5. ?
6. ?
7. ?
8. 'Round And 'Round
9. ?
10. Since You Went Away
11. A Lullaby