ヒロくんのLIVE REPORT '02 PART 7 QURULI

 新メンバーを加え、4人編成になった新生くるりのライヴを5月1日に金沢・AZホールで見てきた。前売りチケットがSOLD OUTになっていたためフロアは満員。私が会場入りしたのは、開演時間ギリギリの7時だったため、観る位置は必然的にフロアの一番後ろ。大型連休中ということもあり、関西方面から遠征してきた熱心なファンの姿もあった。
 開演時間を10分くらい廻ったところで会場に、何でもアリな新作『THE WORLD IS MINE』収録の“MIND THE GAP”が流れ、ステージに くるりの4人が登場。いきなり岸田君に女のコたちから「岸田サ〜ン!」って嬌声がとぶ。演奏開始までけっこう間があった後(“MIND THE GAP”を完奏させたかったのかも?)、ようやく演奏始まった曲は新作のアタマを飾る“Guilty”。ステージ中央に陣取る岸田君の右にベースの佐藤君、左に坊主アタマの新加入のギターの大村『先輩』。ステージ奥に、アゴ髭生やしてますます橋本真也化した(笑)ドラマーの森 信行。“Guilty”が終わると、次は“静かの海”。CDで聴かれるとおり岸田君のヴォーカルにはエフェクトがかかっていて、曲名どおり海の底をイメージさせるこの曲を再現するため、佐藤君はステージ向かって右側に移動してキーボードを弾いてたのか? 残念ながら、私の居る位置からはよく見えなかったケド...。
 “静かの海”が終わると、この日初めて岸田君が口を開いた。「こんにちは、くるりです」。簡単にメンバー紹介すると、「“THANK YOU MY GIRL”」と曲紹介。コンパクトな“THANK YOU MY GIRL”が終わると、ダンス・チューンっぽい“水中モーター”、さらにはもっとダンス・カルチャーを呑み込んだ(笑)“WORLD'S ENDS SUPERNOVA”へ。新作からの先行シングルだった“WORLD'S END SUPERNOVA”の人気は高く、この曲の演奏中、会場の中はダンスフロアの如く観客は体を揺らし踊ってた。この“WORLD'S ENDS SUPERNOVA”からアルバムどおりインストゥルメンタルになだれ込んだんだけど、アルバム収録の“BUTTERSAND/PIANORGAN”とは違った感じの曲。佐藤君のベースもベキベキいうし、かなりインプロヴィゼイションの要素が高い。そこらに居るフツウの兄ちゃんたちがやってるバンド...っつうイメージが強い くるりだけど、実はメチャクチャ演奏技術が高かったりして。くるりみたいなバンドなら僕らも出来そう!と思ってたひとは、この演奏観て考えを改めたに違いない(笑)。長いインプロが終わると“GO BACK TO CHINA”。新作からの曲がばんばん披露される。“GO BACK TO CHINA”が終わると、ここでMCタイム。岸田君が「『金沢百万石』って、ワケ分からず『何だか凄い!』と思ってますけど、どーゆー意味ですか? 石を持って行ったら米と交換してくれるとか...」などと言えば、佐藤君も「『一国一城の主』っていう言葉と同じ意味かと思ってたんだけど、字が違うじゃないですか。『石』と『国』」などと言う。でも、この2人の疑問に答える親切なファンは現れず、「反応ニブいな...。次行こか...」。ここで岸田君が「“さよならストレンジャー”」と曲紹介。この日初めて新作以外の曲がプレイされた。新作からの幻想的な“ARMY”を挟み、私の好きな曲“ばらの花”が登場! この曲はスーパーカー・古川美季じきじきの参加での演奏を一度希望します(笑)。この“ばらの花”が終わると休憩タイムで、ミネラルウォーターの水飲んだりするメンバー。ファンからかかる声に関西アクセントの者を発見した岸田君。「関西人は東京行ったらメチャクチャ迫害されますよ。『アホとちゃうか〜』なんて言ったら、『まぁっ! なんて乱暴な! あなたそういうひとだったのね!』って言われるで、ホンマ」などと体験談を語り、ファンの笑いを誘う。この笑いの後、突如ラウドな曲が演奏された。それまで静かでスロウな曲が続いてたのにいきなりラウドな曲を演奏したものだから、サウンド調整が悪かったのか、岸田君のヴォーカルが聴き取れない。でも、『嵐』はこの1曲だけで過ぎ去り、元どおり静かな“虹”が演奏された。次は前作『TEAM ROCK』からの“ワンダーフォーゲル”。この曲の演奏中、ギュウギュウ詰めのフロアの長時間拘束に耐え切れなくなった女性客が転倒。スタッフにおんぶされ、私の目の前を搬出されていく...。フロアの前のほうは盛り上がっていたけど、私はテンションが一気に下がってしまった...。
 ライヴ前半は殆どMC無しで、演奏ばっかりでライヴは進んでたけど、後半になると岸田君と佐藤君のトークが炸裂! 佐藤君が「ステージに居ると、照明がとても熱いんですよ。首筋んとこ火傷してたことがあるくらいなんですよ」というと、岸田君「ライトを発明したのは...ライト兄弟だっけ?」。佐藤君「それは飛行機で飛んだひと」。岸田君「ああそうか...」。その後も、岸田君と佐藤君はエジソンやらフィラメントやらワッツやらの名前を出し、しばらく漫才みたいなボケとツッコミを展開(笑)。この後、岸田君が「こうやってミュージャンやってるけどな、ミュージシャンって半端にアホで半端に知識あるやん。もし、しっかり勉強してたらどーなってたやろな...」とポツリと漏らす。これに一部のファンから「早稲田?」とか出身校を問う声が次々と上がり、気分を害したのか「似たようなもんや!」と吐き捨ててた岸田君。さらに、一部の壊れたファン?がしつこくからむので、「ゆるい奴居るで!」と吐き捨ててた岸田君(笑)。
 岸田君が言う。「今夜、最後の曲」。当然ファンは「エ"エ"ッ〜!!!」 これに岸田君、「時計見てみい! こんなに曲演ってるで〜!」と反論(笑)。ここで披露したのは“男の子と女の子”。この“男の子と女の子”が終わると、くるりの4人はステージを去った。
 ファンのアンコールを求める手拍子にステージに呼び戻された くるりの面々。岸田君は「こうしてツアーで地方廻っても『ミニ東京』化してオモロない街だらけや。だけど金沢はな...イイ!!! 金沢は裏路地に入ったら古い建物が多くてええね。(ファンを指して)このなかに地主のひと居たら、売ってマンションにしたりしたらアカンで。金に目くらんだらアカンで」などと金沢を大絶賛しとりました(笑)。「アンコールはまだ決めてないんや。なんかウサン臭いやろ? セットリストに『EN』とか書いてあるの。ほれ、見てみぃ」と岸田君が掲げたセットリストには、確かにアンコールの欄が無いようで、ファンからは感心する声が上がる。ステージ上でメンバーの話し合いで 演奏曲が決められ、“青い空”がプレイされた。最後にファストな“青い空”で盛り上がったものの、全般的には、静かでスロウな新作のイメージに沿ったライヴだった。

【SET LIST】...'02.5.1 金沢・AZホール
. MIND THE GAP
1. Guilty
2. 静かの海
3. THANK YOU MY GIRL
4. 水中モーター
5. WORLD'S END SUPERNOVA
6. GO BACK TO CHINA
7. さよならストレンジャー
8. ARMY
9. ばらの花
10. ?
11. 虹
12. ワンダーフォーゲル
13. 男の子と女の子 

(encore)
1. 青い空

INDEX