ヒロくんのLIVE REPORT '06 PART 5 東京事変

 東京事変の2006年ライヴ・ツアー『"DOMESTIC!" Just can't help it』を、富山・オーバードホールで観て来た。私が東京事変のライヴを観るのは(林檎のソロ時代)も含めこれが初めて。林檎が富山でライヴするのもおそらく初めてだと思われる。私の席は、5階。高いところからステージを見下ろす格好だ。開演前のステージには十二単姿の女性が描かれた「黒猫堂」の幕が下りていた(実際は、薄い白幕にスライドの絵を映してただけ)。開演予定時間の7時を7〜8分廻ったところで場内の灯りが落ちる。ステージを隠す薄い幕に雪がしんしんと降る映像が映し出され、その薄い幕の向こうに和傘に和服姿の林檎登場〜! オープニング曲は“雪国”。ステージ向かって左からキーボードの伊澤一葉、ベースの亀田誠治師匠、ギターの浮雲、ドラムの刃田綴色が位置し、演奏。曲が終わると、雪を映してた薄い幕は上がり、林檎はスタッフに手伝いしてもらいながら、和服からブルーのドレスに衣装を替える。2曲目は“現実を嗤う”。ステージ上を右に行ったり左に行ったり動き廻る林檎、 曲が終わったところで、「北陸のみなさん、こんばんは。東京事変です」と観客に挨拶。林檎は3曲目でギターを構え、そのまま“歌舞伎”へなだれ込む。ステージの奥のスクリーンには「亀田誠治」や「浮雲」など(笑)次々とメンバーの名前のテロップが流れた。次の曲は、新作『大人』のアタマを飾る“秘密”。ファンから「林檎かっこいい〜!」という歓声が時折とび出すなか、アイク&ティナ・ターナーふう(苦笑)の“その淑女ふしだらにつき”へ。曲の後、林檎は一旦ステージを去り、伊澤がピアノで“現実に於て”ふうの旋律を奏で出す。ピアノ・ソロ(曲のクライマックスで他のメンバーが演奏を加えてたら、厳密にはソロでは無いが)に合わせ、ステージ奥のスクリーンには林檎・作の詩が映し出される。曲の終わりに「Just can't help it」の文字が映し出されたのを観て、「だからこのツアーの名前が『Just can't help it』なのか」と、納得(笑)。
 再びステージに戻った林檎は、ベーシュ色のコートふうの衣装に着替えてた。 “入水願い”が披露されると、亀から「“〜”という曲を聴いて下さい」と曲紹介(曲名は聴き取れず)があり、その曲を演奏。浮雲のギターに林檎が歌を載せて始まった“手紙”が終わると、メンバー全員拡声器を手にし、“サービス”に合わせて踊る(苦笑)。この時、ようやく気付いたけど、他のメンバーも林檎と同じベージュ色系のお揃いの衣装を着てた(笑)。曲の中盤、一旦ステージに幕が下り、林檎以外のメンバーは奥に引っ込んだけど、林檎は「御用提灯」を持った黒子2名と踊り続ける。ステージを隠す幕には「御用提灯」や「東京事変」の文字が書かれた提灯の映像、東京事変のメンバーを指名手配犯に模した「人相書き」などの映像が映し出されていた。幕が上がると、着替えを済ませたメンバーたちとの踊りが続いた(笑)。エンタテインメント色満載の“サービス”が終わると、一同席に就く。林檎から、北陸にはデビュー当時にお世話になったことなどが語られた。そしたら「富山女子短大の学園祭で観ましたぁ〜☆」と林檎に話しかけた観客が居た。どうもそのコは林檎とヤイコを混同してるようだ。これに対し、「私、富山に学園祭で来たことないけど。ヤイコちゃんと間違えたかな?」などとオトナの対応をした林檎(苦笑)。ここでメンバー紹介。キーボードの伊澤はラーメン好きで、来富アーティスト必須?の『富山ブラック』に挑戦したようだ。次はギターの浮雲。「こんなにM.C.がつたない僕に声援を送ってくれてありがとう」と観客に感謝(苦笑)。亀は「ゆで卵を2つ喰うこと」を「2ポク」と表現。「卵は健康にイイけど喰い過ぎるとコレステロールが貯まる」そうな(笑)。ドラムの刃田は、林檎の兄ちゃんの物真似をしてみせたが、あんまりウケなかった(苦笑)。
 メンバー紹介の後、林檎からメンバーが2人も変わったバンドは新しいバンド、2人の新メンバーが入った時の初心を忘れないようにコピーを演奏させて下さいとの申し出があり、バービーボーイズの曲のコピーを演った。(杏子のパートを林檎が歌うのは当然として)KONTAのヴォーカル・パートは浮雲がやってたみたいだ(彼は他の曲でもバック・ヴォーカルで活躍してた)。曲の途中に林檎はステージを抜け出し、曲の残りは男性陣だけで演奏。林檎は(胸のあたりに紺の2本線が入った)クリーム色のワンピースに着替えてステージに舞い戻り、“ブラックアウト”を披露。ここでようやく椎名林檎名義の曲が登場。“本能”だ。客の反応もこの時が一番盛り上がったような気がする。続いて“スーパースター”を演ると、林檎から「“ダイナマイト”」と曲紹介があった。“ダイナマイト”の演奏中は「Dynamite」のネオン(ふうの文字)がステージ後方のスクリーンに映し出された。“修羅場”に続いて披露されたサンバふうの“御祭騒ぎ”では、東京事変の折り鶴マークの入った旗を振った林檎。亀と林檎から時代劇っぽい口上があり“喧嘩上等”へ。曲の中盤、インプロっぽいかけあいがあり、スクリーンには燃えさかる炎の映像が映し出されていた。“喧嘩上等”が終わると、東京事変の5人は一旦ステージから姿を消した。
 ファンからのアンコール要求の手拍子に応えステージに舞い戻った5人。メンバー皆、Tシャツジャージーのようなスポーティーな格好に着替えてた。「新参者が2人も居るバンドにアンコールをしてくれて、ありがとう!」と御礼を言った亀、「透明人間になりたくないか!?」などと、往年のTV番組『アメリカ横断ウルトラクイズ』の福留アナの「ニューヨークへ行きたいか〜!」を思わせる口調で観客を煽る。アンコール1曲目は“透明人間”。この曲では、林檎はまた折り鶴マークの入りの旗を振り、亀はスティックを弾いてた。次の曲は、林檎のアコースティック・ギターで始まった“落日”。この曲が終わると、林檎は「また近いうちに戻ってきます」と北陸のファンに約束し、ギター・ピックを観客に投げ入れ、刃田はドラム・スティックをファンに投げ入れ、ステージを去っていった。
 椎名林檎名義の楽曲は1曲のみ。東京事変というバンドのまとまりに対する林檎のコダワリを感じたライヴでした。個人的には、刃田のドラミングに感銘を受けた。

【SET LIST】...'06.5.8 富山・オーバードホール
1. 雪国
2. 現実を嗤う
3. ? (林檎が ともさかりえ に提供した“少女ロボット”のカヴァーのとの情報あり)
4. 歌舞伎
5. 秘密
6. その淑女ふしだらにつき
7. 現実に於て〜Izawa's piano solo
8. 入水願い
9. ? (浮雲のバンド「ペトロールズ」のカヴァーの“ミラーボール”との情報あり)
10. 手紙
11. サービス
12. (バービーボーイズの“カモン・レッツ・ゴー!”のコピーらしい)
13. ブラックアウト
14. 本能
15. スーパースター
16. ダイナマイト
17. 修羅場
18. 御祭騒ぎ
19. 喧嘩上等

(encore)
1. 透明人間
2. 落日

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