二階堂和美のカヴァー・アルバム『ニカセトラ』に伴う全国ツアー『ニカセトラ発売記念ツアー〜距離の近い人たちへ〜』を観に、富山県黒部市(旧・宇奈月町)の白雪山善巧寺へ行って来た。私がニカさんのライヴを観るのは、'03年の『Bubble
Whistle
Weekender』以来。不勉強なもので知らなかったけど、善巧寺さんは、この日のような『お寺座LIVE』や『雪ん子劇場』など日々文化的な活動を行ってる模様で、ニカさんは過去にも何度か善巧寺へ演奏しに来たことがあるそうだ。ニカさんと善巧寺の接点は、ニカさんが僧侶見習いでもあることを思い浮かべれば、改めて考える必要もないだろう(苦笑)。
開演予定時間は19:00だったのに、18:00だと思ってた私、会場には異様に早く着いた(2番乗り...苦笑)。1階にある喫茶店ふうのラウンジでお茶とお菓子を食べながら待っていると、18:30から受付が始まり、会場である2階のお座敷へと移動。お寺でのライヴらしく、畳敷きの和室に座布団が用意されている。観客は50人ほど。開演時間の19時になると、まずは和尚さんが登場。「二階堂さんから『金沢でライヴで行くから、その時に遊びに行くよ〜』と連絡があって、『どうせなら、ウチでもコンサート演ってよ』という話になり、今回の『お寺座LIVE』が開催されることになりました。事前の案内も殆んどしていないのに、これだけ大勢のみなさんにおいでいただきありがとうございます」などと、この日のライヴが開かれるまでの経緯と、観客への御礼を述べた後、「フツウのライヴハウスと違うので注意事項を...」と前説があり、撮影禁止、録音禁止などフツウのライヴハウスと何ら変わるところのない注意事項が語られた(苦笑)。その後、会場後方からニカさんが登場。観客の拍手を浴びながら『ステージ』(といっても、観客の居る座敷とは同じ平面で、椅子やギターや譜面台が準備されてる)まで歩いていく。真冬というのに、半袖の青の縞しまのワンピースを着たニカさん、座敷なのに、何故か踵の高い靴を履いていた(苦笑)。
観客への挨拶を済ませ、スタンドに立て掛けてあったアコースティック・ギター(以下、アコギ)を構えたニカさんから、この日のライヴは2部構成で行われる旨説明がある。ニカさん曰く、第1部は前座、第2部が本番だそうだ(苦笑)。第1部のほうは演奏曲目を決めていないとのことで、手癖でギターを弾きながら演奏する曲をしばらく思案してる様子のニカさん、ようやく演る曲が決まったようで、演奏始めたのが♪ショッピングブルー〜...のリフレインが印象的な“ショッピンブル”。♪ブル〜ブル〜ブル〜...ん時の唇の動きがニカさんらしい。曲が終わると、「何演ろうかな。カヴァー曲にします」などと、ニカさん。ここで披露されたのは、荒井由実の“卒業写真”。曲が終わると、ニカさんから「卒業つながり」とのコメントがあり、斉藤由貴の“卒業”が歌われた。ここで、観客にニカさんから「何か、リクエストありますか?」と声がかかった。男性客のひとりが「ユーミンつながりで“A
HAPPY NEW
YEAR”」とリクエストしたところ、「あ、その曲は第2部で演ります」とニカさん(苦笑)。さらに観客から別のリクエストを募るニカさん。「誰も手を挙げないようなら、私から“脈拍”か“アイレ可愛いヤ”をリクエストしよう」と思ってたら、私の背後に座ってた男性客から「“脈拍”!」と声が上がった。先を越された! ニカさんもこのリクエストを採用し、「“脈拍”ね。『また
おとしましたよ』というアルバムに入ってます」などと他の観客たちに曲を紹介し、演奏を始めた。私がニカさんの存在を知った時点での最新アルバムに入ってる曲だから、いまだに「二階堂和美=“脈拍”」というイメージがある(苦笑)。そんな代表曲の脈拍を演ると、「今度は、こんな感じはいかがでしょうか」などと言ってからニカさんが演奏し始めた曲は、内山田洋とクールファイブの“長崎は今日も雨だった”! 『声の魔術師』のニカさんだけあって、前川
清のヴォーカル・スタイルを意識した歌唱で、コブシを再現するため顔を上下に振るなど、コダワリがみられるパフォーマンス。そこまでやるか、フツウ(苦笑)。ニカさんはラップの練習するために、笠置シヅ子の曲をよく聴いて研究したそう。その研究の成果を披露するためか、“買物ブギー”をプレイ。ヴォーカルについては殆ど『完コピ』とも言えるパフォーマンスを披露。オリジナルどおり♪ああしんど〜〜〜...で曲を終えたニカさん、「『ああしんど〜〜〜』ってのは笠置シヅ子さんの口癖だったそうですよ」と観客に解説(苦笑)。ここで、松本
隆・作詞、渋谷 毅・作曲の未発表の曲“
つるべおとし”を披露。曲が終わると、「もう1曲渋谷先生の曲を演ります。“初恋の丘”といって、もともと由紀さおりさんの曲で...」などと曲紹介。“初恋の丘”が終わると、「『ニカセトラ』のジャケットにもみかんが映ってますね」などと言って、大竹しのぶの“みかん”をプレイ。「どう、みんな、暑くなってきた?」といった感じで、ニカさんが観客に訊いてから始まったのが、真夏の曲“夏のお嬢さん”(榊原郁恵のカヴァー)。個人的には、『ニカセトラ』の収録曲のなかで一番凄い!と思ったのはこの曲(笑)。CDどおり、♪チューチューチュチュ〜の部分を必要以上にデフォルメしたような歌唱でこの曲の演奏を終えたところで、第1部は終了。ニカさんはアコギをスタンドに立て掛け、一旦、『ステージ』を降りた。
10分以上の休憩を挟んでから始まった第2部では、ニカさんは緑地に黒のセブラ模様のワンピースに着替えて登場。相変わらず半袖なんだけど、ニカさんが半袖でも寒くないのは、『ステージ』でライトを浴びてるせいだと思う(苦笑)。第2部では、一年が始まって、春→夏→秋→冬を経て、再び春に戻るような曲順で曲を披露する趣向になっていること。まずは『ニカセトラ』と同じく、“蘇州夜曲”で幕を開けた第2部。「さぁ、キャンパス・ライフですよ〜」などとニカさんが言って始めた次の曲は、南野陽子の“話しかけたかった”。ナンノが歌う原曲よりも、ニカさんの淡くソフトな歌唱のほうが歌詞のもつイメージに致ってます。「さ、今度は夏。サバンナのゼブラのストライプを思い浮かべて。盛り上がってもいんだよー。私もライヴハウスで『yeah!』とか『ヒュー!』とかやる質なんですよ。何が『yeah!』なのかよく分かりませんが。私も(この曲の)レコーディングの時、手拍子や歓声を全部ひとりで演りましたよ〜」などと軽快なトークで観客の笑いを誘うと、プリンセス・プリンセスの“世界で一番熱い夏”へ。ニカさんの煽りが効いてか、この曲では、観客が曲に合わせて手拍子し、盛り上がった(ただし、『お寺座LIVE』の性質上、みんな座ったままだけど...苦笑)。曲が終わると、「一年は早いね。もう秋だよ」などとニカさんが言い、クレイジーケンバンドの“せぷてんばぁ”を演り、そのまま『また
おとしましたよ』収録の“時が流れても”へ。続いて、山田耕筰の童謡“赤とんぼ”、都市レコードの“日暮れの道”...と、M.C.も挟まずに曲が進む。曲が終わっても、観客が拍手するタイミングを見計らってるうちに次の曲が始まってしまい、結果的に拍手がもらえなかった曲もあった(苦笑)。♪ラッタラッタラッタッタ〜...のリフレインが印象的な“いくつもの花”の後、先ほど観客からリクエストがあった(苦笑)ユーミン・カヴァーの“A
HAPPY NEW
YEAR”、これも音楽の授業でアタリマエのように歌われている“雪の降る街を”、『二階堂和美のアルバム』のアタマを飾る“レールのその向こう”...とさらに曲が続いた。
ニカさんから、「去年の秋に出来たばかりの曲」などと曲紹介があり披露された“めざめの唄”が終わると、近年のニカさんの代表曲(と思ってる)“Lovers
Rock”が演奏された。やっぱ、この曲は外せない。ニカさんから「最後に“思い出のアルバム”という曲を演ります。(中略) 歌詞を少し変えて、ちゃんと作者のかたに...増子とし先生はもうお亡くなりになってて、遺族のかたに...許可をいただいて、歌ってみました」などと曲紹介があった。♪もうすぐみんなは〜一年生〜...“思い出のアルバム”が終わると、ニカさんは「ありがとうございます〜!」などと何度も観客に御礼を言って『ステージ』を去った。
ニカさんが『ステージ』を去ると、すぐに
観客からアンコールを求める手拍子が起こった。すると、それに応えてすぐにニカさんが『ステージ』に戻って来た(笑)。アンコールの1曲目は“あなたと歩くの”という曲で、曲に合わせて♪ナナナナナナナナ〜ナナナナナ〜...の合唱をするよう、ニカさんから観客に指示があり、練習をしてから「本番」に入る。依頼どおり観客が♪ナナナナナナナナ〜ナナナナナ〜...と合唱をしてると、
ニカさんはギター・スタンドを頭上の持ち上げるなど、オーヴァー・アクション(苦笑)。足許をみると、第2部まで履いてた靴もなく、裸足だ(笑)。『ステージ』で大暴れし、息も切れ切れになってるニカさん、最後に“幸せハッピー”という曲を披露。この曲でも、ニカさんが「♪そうだ〜」と歌ったら観客が「♪そうだ〜」と返すようになどと指示があり、ニカさんと「♪そうだ〜」、「♪そうだ〜」、「♪そうさ〜」、「♪そうさ〜」...と掛け合いをやって盛り上がった。この“幸せハッピー”でニカさんも観客もみんな「ハッピー」な気持ちになったところで、この日の『お寺座LIVE』は終わった。
新作(カヴァー・アルバム)『ニカセトラ』を中心に、これまでニカさんが発表してきた『たねI』、『また
おとしましたよ』、『二階堂和美のアルバム』、『ハミング・スイッチ』の各アルバムから2曲ずつチョイス。ライヴならではの未発表のカヴァー、未発表曲・新曲もあり、『ベスト・オブ・ニカさん』とも言える非常にバランスのとれた選曲でした。ニカさんのエキセントリックな部分もきっちり堪能でたライヴでした。
【SET LIST】...'09.1.25
黒部市浦山・白雪山善巧寺
<第1部>
1. ショッピンブル
2. 卒業写真
3. 卒業
4. 脈拍
5. 長崎は今日も雨だった (内山田洋とクールファイブのカヴァー)
6. 買物ブギー (笠置シヅ子のカヴァー)
7. つるべおとし
8. 初恋の丘 (由紀さおりのカヴァー)
9. みかん
10. 夏のお嬢さん
<第2部>
1. 蘇州夜曲
2. 話しかけたかった
3. 世界で一番熱い夏
4. せぷてんばぁ
5. 時が流れても
6. 赤とんぼ
7. 日暮れの道
8. いくつもの花
9. A HAPPY NEW YEAR
10. 雪の降る街を
11. レールのその向こう
12. めざめの唄 (新曲)
13. Lovers Rock
14. 思い出のアルバム
(encore)
1. あなたと歩くの (未発表曲)
2. 幸せハッピー (未発表曲)