ヒロくんのLIVE REPORT '09 PART 5 凛として時雨

 男女ツイン・ヴォーカルがウリの3人組ロック・バンド、凛として時雨のメジャー・デビュー・アルバム(フル・アルバムとしては通算3作目)『just A moment』のリリースに伴う全国ツアー、その名も『last A moment』を観に5月24日に金沢・Eight Hallへ行って来た。
 フロアは500人ほどの観客で満員だ。女のコが多いのか、意外に観客の平均身長は低い。私はステージ向かって右側の機材ケース置き場のほうで開演を待つ。
 開演予定時間の18:00ちょうどにフロアの電灯が消え、場内に不穏なB.G.M.がしばらく流れる。やがて、凛として時雨の3人が、ピエール中野、345、TKの順にステージに登場。ピエールはドラムセットに就き、ステージ向かって左側では、345がピックが刺さったマイクスタンドの前でベースを構え、右側では、薄いグレーの長袖Tシャツを着たTKがギターを構える。準備が整ったところでTKがギターを弾き、独特のハイ・トーン・ヴォイスで歌い始めたのは、“i not crazy am you are”。早速ステージ前に居る観客たちがモッシュ状態となり、大いに盛り上がる。黒〜紺系のTシャツ着てるベースの345のヴォーカル・パートではウォー!ってな感じで野郎どもを中心に一段と観客が沸く。続いて新作から“Hysteric phase show”と“JPOP Xfile”のb.p.m.値の高い楽曲が演奏されたものだから、観客の盛り上がりぶりはますます過熱。この熱狂の渦に巻き込まれないようにフロアの端っこに居た私(苦笑)。開演前には寒いくらい冷房がガンガンかかっていたのに、どんどん暑くなってきた。“JPOP Xfile”が終わると、TKが「ありがと」と観客に御礼を言った。ここで、ミニ・アルバム『Feeling your UFO』から“想像のSecurity”を演ると、新作のアタマを飾る“ハカイヨノユメ”。新作のリリースからまだ10日ほどしか経っていないけど、この曲はすっかりファンに浸透してるようで、またも激しいモッシュ状態に。
 “ハカイヨノユメ”が終わると、TKのところにスタッフがアコースティック・ギター(以下、アコギ)と椅子を搬入し、マイクスタンドを縮めた。椅子に座り、アコギを構えたTK。ここで披露された曲は、“Tremolo+A”。この曲が終わると、アコギと椅子は撤収され、マイクの位置も元に戻された。次の曲もスロウ・テンポな“Seacret cm”。この2曲ではファンは幾分大人しく曲に聴き入ってたが、次の曲は(どちらかと言うと)345のヴォーカルがメインの“Sadistic Summer”だったため、野郎どもを中心にまたファンの反応が活性化(苦笑)。“Sadistic Summer”の後は、デビュー盤『#4』からの“テレキャスターの真実”。イントロが演奏されただけでファンから歓声が上がり、興奮状態へ。曲が終わると、「久しぶりですね」と、金沢のファンたちに声を掛けたTK。長身でヤギ髭を伸ばしてる割には照れ屋サンなのか、TKからはこれ以上の言葉は続かない(苦笑)。メジャーからの初のリリースとなったシングル曲“moment A rhythm”を演った後のTKのファンに向のコメントも「ありがと」だけ(苦笑)。TKは、写真でみて想像する以上に神経質そう。
 ちょっとファンキーな印象的なベース・リフで始まる“mib126”は、中盤からの爆音パートで、フロアの天井に吊るされたミラーボールが廻るという、この日初めて演出らしい演出がみられた。次の曲は、デビュー盤『#4』のアタマを飾る、彼らの曲にしては突き抜けて明るい“鮮やかな殺人”。TKがワン・フレーズを歌っただけで「オオーッ!」と観客から反応があり、モッシュ状態に。新作中心の演奏曲のなか、たまに挿入される昔の曲への反応は凄まじい。次の曲も、ファンに人気のポップな曲“DISCO FLIGHT”。その名のとおりダンス・ビートを取り入れた曲に合わせ、またもミラーボールが廻った(苦笑)。
 曲の中盤以降を削った短縮ヴァージョンでの演奏だった“DISCO FLIGHT”が終わると、「ハア、ハア」と誰かの息遣いが聴こえる。「いったい誰のだ?」と思ってステージ上を見遣ると、ピエールだった(苦笑)。ここで、ピエールのMCタイム。全身汗でグッショリの自身を指し、「御覧のとおり濡れ濡れですよ。オマエたちも濡れてるか〜?」などとピエールが観客に問うと、主に野郎どもが「オ〜〜〜ッ!」と応える。フロアからのこの反応に「(女のコからの反応を期待してたのに返事したのは)野郎ばかりじゃないか〜〜〜!」と、ピエールはかなり不満そう(苦笑)。「俺が『バイブス』って言ったら、オマエたちも『バイブス』って言え。俺が『玉筋』って言ったら、オマエたちも『玉筋』って言え。オレが『千のナイフ』って言うから、『however!』って言ってくれ」といったピエールの指示に従い、ピエールと観客で掛け合いをやると、TV番組の取材で好きなライヴハウスは?という質問で「金沢」と答えたという話や、金沢にある有名なヘンな食事スポット『ヤッホー茶漬け』の話題を出したりして、金沢のファンのウケを取るピエール。「ここで中村さん(345)から、物販の宣伝をしてもらいましょう」などと、345にグッズの宣伝をさせるピエール。「今回、Tシャツとタオル、大きめのタオルを作りました。あと、ケータイに付ける細長いヤツ...何て言うんでしたっけ...(誰かが「ストラップ」と助け舟を出す) そうそう、ストラップ。開くとクリーナーになります。あと、トートバッグも作りました。学校やバイト先や職場へ、恥ずかしくないひとは(ここで、観客爆笑)持っていってみて下さい」 いつも凄い形相でベースを弾いてる345だけど、フツウに話してるのをみると意外に可愛いく、この時の345の笑顔は、この日一番の収穫だと思う(笑)。345に「もう終わりですか?」と物販の宣伝終了を確認した後、フロアの一部有志と『Xジャンプ』をやったピエール。X JAPANのYOSHIKIから使用済みドラム・スティックをもらったことへのオマージュ(苦笑)。最後に「これから“Telecastic fake show”って曲を演るけど、金沢! オマエたち必ず殺すからな!」と叫び、ドラムセットに就くとYOSHIKIばりのドラム連打をみせたピエール。そのまま“Telecastic fake show”へ。「殺害予告」どおりハードな演奏でフロア中心でモッシュしてるファンたちを酸欠寸前に追い込む。さらに“nakano kill you”、“感覚UFO”の人気曲2曲を演奏し、ファンを大いに熱狂させた。“感覚UFO”が終わると、ステージを去った3人。ファンはアンコールを求めて拍手を始めたが、彼らがアンコールを演らない流儀なのは知ってたので、逸早くフロアを抜け出した私(苦笑)。
 繊細な旋律と破壊的爆音が同居する彼らの独特な音楽世界を堪能出来たライヴ。コンセプト的にまとまった新作からの曲にポップな昔の楽曲が混じるのは、ライヴならでは、だ。これで、TKの喋りがもう少し長ければ、もっと良かったんだけどなぁ〜(苦笑)。

【SET LIST】...'09.5.24 金沢・Eight Hall
1. i not crazy am you are
2. Hysteric phase show
3. JPOP Xfile
4. 想像のSecurity
5. ハカイヨノユメ
6. Tremolo+A
7. Seacret cm
8. Sadistic Summer
9. テレキャスターの真実
10. moment A rhythm
11. mib126
12. 鮮やかな殺人
13. DISCO FLIGHT
14. Telecastic fake show
15. nakano kill you
16. 感覚UFO

INDEX