ヒロくんのLIVE REPORT '09 PART 9 BASIA

 10月19日に東京出張が決まったので、ついでに観れるライヴはないかと『ぴあ』で検索かけたところ、引っ掛かってきたのが、アークティック・モンキーズ@武道館と、バーシア@ブルーノート東京。アークティック・モーキンズとバーシアなら、そりゃあもう、絶対にバーシア選びますよ、私(笑)。なにしろ、「バーシアのライヴを観る」というのは、私にとって長年の夢のうちの1つ(笑)だから。勿論、昔の彼女のライヴを観たことは、無い。彼女が前のアルバム『スウィーテスト・イリュージョン』を出した1994年は私はまだ就職活動中の大学生だった。当時のバーシアの音楽はオシャレな20代にはマスト・アイテムのように消費され、「トレンディ・ポップス」とすら呼ばれてた。あれから15年もの時が流れ、会場のブルーノート東京の席を埋める客もアラフォー世代が中心で、すっかり同窓会的雰囲気だ(苦笑)。今回の来日は15年ぶりのアルバム『イッツ・ザット・ガール・アゲイン』に伴うもので、名古屋と東京のブルーノートを廻るツアー。1日あたり2回ずつの公演だ。私が観たのは、最終日の1stショー。私がブルーノート東京に行くのは、今回が初めて。モッシュやダイヴィングをするような血気盛んなキッズが闊歩するライヴハウスに行き慣れてても、こーゆー『大人の空間』は不慣れでいつもと勝手が違うため、凄く居心地が悪い(苦笑)。私が座ってたのはステージ向かって右の前のほうのテーブル席。今回の公演に合わせて用意された特製カクテル『Time & Tide』をチビチビやりながら、開演を待つ。
 開演時間の7時になると、観客の拍手に迎えられながら、フロアの通路を通りステージに上がるバンド・メンバーたち。最後に登場したのが、バーシア本人なんだけど、姿をみて唖然! すっかり太ってしまい、ビア樽に首と手足がついてるかのような姿には、往年のイメージは、無い(苦笑)。黒いワンピース姿も、そこら辺の太ったオバチャンのネグリジェ姿のようだ...。15年の年月の重みを改めて噛みしめた(苦笑)。ライヴのオープニング曲は新作『イッツ・ザット〜』のタイトル曲。♪she's back〜it's that girl again〜と自らの復活を高らかに宣言するかのようなこの曲でライヴは幕を開けた。観客のなかには新作をノー・チェックのひとも多いようで、この曲への反応は鈍かったが、バーシアの長年の相棒で、鳥打帽をかぶったダニー・ホワイトが次の曲のイントロをキーボードで弾き始めた途端、「ウォー〜」っ感じで観客が沸く。“Drunk On Love”だ。バーシアの歌は、そのルックスのような経年による劣化をうかがわせるどころか、体型に比例して昔よりパワフルになったんじゃないかと思うくらいで、声量は豊富。往年の名曲に観客が盛り上がり、曲が終わると、「thank you、アリガト」と御礼を言うバーシア、「今夜は東京最後の夜なの」などと喋り、「最新アルバムからのシングル」という感じで次の曲を紹介。ここで披露されたのは、“Blame It On The Summer”。バンド・メンバーはダニーの他に、アコースティック・ギターのジョルジオ・セルシ、パーカッション兼トランペットのケヴィン・ロビンソン、揃いのピンク色の衣裳を着たバック・ヴォーカルのアニック&ヴェロニクのクラリス姉妹。バーシアも含め6人での演奏。往年のヒット曲“Baby You're Mine”を演ると、ジョルジオがギターをベースに替え、ファンには耳馴染みのベースラインを弾き始める。クラリス姉妹はスタンドに掛けてあった帽子を颯爽とかぶる。ジョルジオとケヴィンに次々とスポットが当てられてから始まった曲は、1stからの“How Dare You”。曲の最後に、バーシアもスタンドに掛けてあった帽子を被り、「how dare!」のシャウトが合図となり、クラリス姉妹と3人揃って帽子を放り投げた。新作からの“A Gift”を演ると、ジョルジオがベース・ギターからアコースティック・ギターに楽器を替え、ギター・ソロを奏でる。観客からの拍手を浴びながらジョルジオが奏でる旋律はやがて“Take Him Back Rachel”につながっていった。“Take Him Back Rachel”が終わると、バック・ヴォーカルの娘にも脚光を浴びさせたいというバーシアの意向だろうか、ヴェロニクがリード・ヴォーカルをとり、“Astrud”。バーシアは一歩下がったところでバック・コーラスに徹してた。「新作からの曲。“Winners”」とバーシアが紹介した“Winners”はバーシアがリード・ヴォーカルに戻ったが、姉妹のうち片方だけリード・ヴォーカルをとるのは不公平。次はアニックの番だ。バーシアから「ヴェロニクのホントの妹(姉?)」と紹介を受けたアニックが歌ったのは、“From Now On”。ヴェロニクとアニックを比べると、アニックのほうがバーシアに近い声質だ。この後は、バーシアがリード・ヴォーカルに復帰。アカペラから始まった“Cruising For Brusing”が終わった後、バーシアが「happy song」と曲紹介し、“Miles Away”へ。この曲が終わると、またもバーシアが曲紹介。「“Time And Tide”」 この曲紹介を聞いて、観客が大いに沸く。20年以上も前のヒット曲“Time And Tide”の登場に、同窓会気分が最高潮に達したところで(苦笑)、改めてバンドのメンバー紹介。黒人のパーカッショニスト(兼トランペッター)のケヴィン、ギタリストのジョルジオ、キーボーディストのダニーの順に紹介を受け、最後にバック・ヴォーカルのクラリス姉妹が紹介された。ヴェロニクとアニックのクラリス姉妹が息もピッタリに♪アタシ〜アタシ〜トテモ幸セヨ〜アナタノ愛ニ〜包マレテルカラ〜と日本語で歌ったものだから、場内バカウケ(笑)。本編最後の曲として披露されたのは、“Copernicus”。軽快なこの曲が終わると、バーシアたちは横一列に並んで観客に御辞儀をし、ステージから降りた。
 バーシア御一行がフロアの通路を通って一旦姿を消すと、フロアの観客からアンコールを求める手拍子が始まった。その手拍手に応え、すぐに姿を現したバーシア御一行。今通ったばかりの通路を逆戻りするような感じでステージに戻った。アンコールで披露されたのは、1997年リリースのベスト・アルバム『クリア・ホライズン』収録の“Water Of March”。この曲を演り終わると、改めて観客に御礼を言い、バーシアたちはステージを降りた。こうしてこの日1回目のショウは終わった。
 1時間あまりで終わってしまい、演るべきともいえる“New Day For You”が無く、『スウィーテスト・イジュージョン』からの曲を“Drunk On Love”しか演らないなどの不満もあったけど、9時30分からは2ndショウが予定されており、それ目当ての客が8時45分には次々とつめかけてくることを考えると、このアッケナさも仕方ない。長年の夢のうちの1つ(笑)だった「バーシアのライヴを観る」ことが叶ったんだから、良しとしよう。

【SET LIST】...'09.10.19 ブルーノート東京 (1st show)
1. It's That Girl Again
2. Drunk On Love
3. Blame It On The Summer
4. Baby You're Mine
5. How Dare You
6. A Gift
7. Take Him Back Rachel
8. Astrud
9. Winners
10. From Now On
11. Cruising For Brusing
12. Miles Away
13. Time And Tide
14. Copernicus

(encore)
1. Water Of March

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