2006年のエイジアのオリジナル・メンバーでの再結成は、あくまでも結成25周年を記念した「一時的な再結成」であり、継続的な活動を視野には入れていなかった。しかし、2007年に行ったジャパン・ツアーで東京だけでも追加公演も含め5回公演を行うなど、世界各地で熱烈な歓迎を受けた結果、このメンバーで活動を続けることにし、2008年には、このメンバーでは2nd『アルファ』('83年)以来25年ぶりとなる新作『フェニックス』をリリースし、ワールド・ツアーも行った。今年は再結成第2弾となる新作アルバム『オメガ』をリリース。この新作に伴う「THE
OMEGA TOUR」での来日公演を観に、5月14日に渋谷C. C.
Lemonホールに行って来た。C. C. Lemonホールのすぐ隣にあるSHIBUYA
AXでは三浦大知のライヴがあったようで、AXに向うのはハタチ前後の女のコばかりだったけど、C.
C.
Lemonに集まったのは、40〜50代の会社帰りのスーツ姿のオッサン(一部オバサン)ばかり(苦笑)。東京出張のついでに観に行った私もスーツ姿。ひとのことは言えない...(苦笑)。
開演予定時間の7時を5分ほど過ぎると、場内にクラシックのフレーズが流れ、ステージ向って右側の袖からスティーヴ・ハウ、カール・パーマー、ジョン・ウェットン、ジェフ・ダウンズ...のオリジナル・エイジアの4人が一列になってステージに登場。それぞれが持ち場に就き、演奏を始めた曲は、新作『オメガ』からの“I
Believe”。ステージ向って左側にギターのスティーヴ・ハウ、中央にベース兼ヴォーカルのジョン・ウェットンが居て、ステージ後方左側にカール・パーマーのドラム・セットがあり、右側にはジェフ・ダウンズのキーボードの壁が(観客のほうだけ開いた)コの字型に築かれてる。ダウンズは'07年の来日時に悪評だったのと同様な(?)白いジャケットと黒のラメ入り革パンを着てた模様(苦笑)。4人の背後のステージ奥には三角形をモティーフにしたエイジア・ロゴが映し出されてる。“I
Believe”を演ると、「コンバンワ」と日本語で挨拶するウェットン。一部ファンから「ウェッ豚」と揶揄されてるように、往年時と比べるとすっかり太ってしまった...(汗)。が、太ったのが幸いしてか、ヴォーカルからは力強さが感じられた。ダウンズが次の曲のイントロを弾き始めると、観客の一部からは歓声が上がる。早くも“Only
Time Will
Tell”(邦題は“時へのロマン”)が登場。この曲の終わりには、ステージ奥に『オメガ』のジャケット(ロジャー・ディーンがデザイン)の虎が映し出された(以後、エイジア・ロゴと交代で登場。特に、新作からの曲が演奏される前後にはこの『虎』が映し出されてた)。曲が終わると、ウェットンが「ドモアリガト」と日本語で御礼を言い、続けて「新作『オメガ』を聴いてくれたかい? 一番最初に演った曲(“I
Believe”)を含め、今日はこのアルバムから5曲演るつもりさ」などと話し、「“Holy
War”」と曲紹介。“Holy
War”が演奏され、曲が終わると、間髪入れずにハウが演奏し始めたギター・イントロは、再結成第1弾アルバムである前作『フェニックス』のアタマを飾る“Never
Again”。この曲を演ると「Hello〜! 君タチ最高ダヨ」と、日本のファンにはお馴染みのセリフがウェットンの口から飛び出した(笑)。ここでウェットンがハウを紹介し、「彼が書いた曲だよ」とM.C.して始まった曲は新作からの“Through
My
Veins”。この曲が終わると、今度はハウがM.C.。「アルバム『アルファ』からの曲だよ」などと次の曲を紹介したのはいいけれど、ハウ自身とパーマーはステージを去る。ウェットンもベース無しの状態で、ダウンズのキーボードのみをバックにして歌い始めたのは、往年の大ヒット曲“Don't
Cry”。この曲ではサビの♪don't
cry〜の部分を観客に歌わせる。曲が終わると、足元のベースペダルを踏んで音を鳴らしたウェットン(苦笑)。ウェットンとダウンズがステージを去り、ステージに折り畳みパイプ椅子(もっとマシな椅子は準備出来ないのか!?)が持ち込まれると、ハウがアコースティック・ギターを携えて登場。ハウのアコースティック・ギター・ソロ・タイムだ。どのメンバーよりも老化が著しいハウはすっかりガリガリのおじいちゃんで、鳥ガラのよう(苦笑)。ハウが繊細なアコースティックな旋律を堪能できる2曲演奏すると、入れ替えで、ベースを持ったウェットンとダウンズが登場。“The
Smile Has Left Your
Eyes”(邦題は“偽りの微笑み”)をこの2人だけで演奏を始める。曲の途中でハウとパーマーも演奏に加わり、原曲にほぼ忠実なヴァージョンとなった。曲が終わると、ステージにはスタンドで固定された青色ボディーのギターが持ち込まれる。2nd『アルファ』からの“Open
Your
Eyes”(邦題は“永遠の輝き”)では、ハウがこのスタンド固定のギターを含め2本のギターを駆使しての熱演をみせた。曲が終わると、スタンド固定のギターはスタッフによって撤収された。次の曲は、新作『オメガ』のアタマを飾る“Finger
On The
Trigger”で、彼らにしては珍しく、ノリのよいストレートなロック・ナンバー。ライヴ開始から殆どの観客は席に着いたままで、私もここまで座ったままだったけど、この曲が始まって熱くなり、思わず立ち上がろうと思った。が、新作をチェックしていない客も多いのか、周りの反応が醒めてたので、立ち上がるのは自重した(苦笑)。後ろの観客から「見えないよ!」って苦情を言われても困るし...(苦笑)。1stアルバムからの“Time
Again”を演ると、ウェットンから「“An Extraordinary
Life”」と曲紹介。前作『フェニックス』からのこの曲でも、ステージには先ほどのスタンド固定の青色ギターが持ち込まれており、ハウが2本のギターを使い分けてプレイ。曲が終わると、スタンド固定のギターはまた撤収され、ウェットンがまたも曲紹介。「“End
Of The
World”」。先ほどのM.C.でウェットンは「新作『オメガ』からの曲を5曲演る」などと喋ってたけど、この曲が新作からの最後となる5曲目。この“End
Of The
World”を演ると、ウェットンが一旦パーマーを紹介し、続けて「“The Heat
Goes
On”」と曲紹介。再結成してからのアチ写では、パーマーは下町の頑固職人のような角刈りに近い短髪姿で写ってるけど、この日のライヴでドラムを叩いてるのは、前髪を垂らし、青〜緑系のTシャツ着た若々しいドラマーだ。パーマー独特の軽いドラミングから、叩いてるのは紛うことなくパーマーそのひとのハズなんだけど、あまりに写真とのギャップが著しかったので、「もしかして、ドラムを叩いてるのはパーマーじゃないんじゃない?」という疑いを拭い切れなかったほど。それくらい容姿もプレイ内容も若々しかったせいもあるけど、ここでウェットンからの紹介で、ドラムを叩いてるのが間違い無くパーマーであることを確認でき、ひと安心。再結成ライヴ盤『ファンタジア〜ライヴ・イン・トーキョー』にあるように、この“The
Heat Goes
On”は曲の途中からパーマーのドラム・ソロになだれ込む。ドラム・ソロが始まると、ウェットン、ハウ、ダウンズの3人は一旦ステージを去ってしまい、文字どおり、パーマーひとりの独壇場。シンバルの上をドラム・スティックをコロコロ転がし落ちて来るところをキャッチする小技や、「今、オレは足だけでこのリズムを叩き出してるんだ」と言わんばかりに両手を掲げて手のひらを開いた状態でフットペダルの連打をみせるなど、数々の見せ場があり、おとなし目のこの日の観客の間からも歓声や拍手が起こる。ドラム・ソロの終わりが近付くと、ステージにウェットン、ハウ、ダウンズが戻って来て、“The
Heat Goes
On”の続きを演奏し、曲が終わると、パーマーは一旦ドラムキットから離れてステージ前方に出て来て、彼に歓声と拍手を送り続ける観客たちに御礼を言った。パーマーがドラムキットに戻ったところで披露された曲は、1stからの“Sole
Surviver”(邦題は“孤独のサヴァイヴァー”)。この曲を演奏し終えると、ウェットン、ハウは楽器を下ろし、パーマーとダウンズは持ち場を離れてステージ前方に出て来て、メンバー横一列に並んで観客に御礼を言い、一旦ステージを去った。前々回('07年)の来日では本編は15曲+ハウのソロだったハズで、今回は本編14曲+ハウのソロ...で1曲少ないぞぉ〜〜〜!...と思ったけど、ハウのソロで2曲演ってるので、演奏曲目数は16曲となり、'07年の来日時と曲数はまるっきり同じか...(苦笑)。
観客がアンコール要求のクラップを始めると意外にすんなりメンバー4人がステージに戻って来た。パーマーは肩にタオルをかけての登場(苦笑)。メンバー4人がスタンバったところで演奏されたのは、な、なんと“Go”! スタジオ・ヴァージョンとは違い、ダウンズの奏でるシンセのイントロが無かったため、それと気付くのは遅れたが、“Go”と判ってからは大興奮した私、思わずウェットンの歌に合わせて♪go〜!...と腕を振り上げてしまったよ(笑)。ハウの脱退後にリリースされた3rd『アストラ』のアタマを飾るこの曲、このオリジナル編成でのエイジアで、しかも、ハウも加わった形で演奏されるなんて夢にも思わなかった! もしかしたら、“Go”を演る代わりにハウのソロ・タイムを2曲にするといった取り引きがあったのかもしれない(苦笑)。“Go”が演奏されたという興奮も醒めやらぬうちに、突如ハウが「いつまでもこんな曲演ってんじゃねぇーよ!」と言わんばかりにギターを立ててステージ中央(ウェットンのほう)へ歩み出て、ファンの耳に馴染みのリフを弾き始める。彼らの最大のヒット曲“Heat
Of The
Moment”だ。ここで、これまで座席に座ってたような観客も立ち上がり、全員総立ち状態に。「この曲、パーマーは中盤まで殆ど仕事が無いなぁ...」と思いながらステージを観てるうちに一旦演奏が終わったものの、再結成ライヴ盤『ファンタジア〜』にあるようにウェットンの指示で観客みんなで♪heat
of the moment〜と歌うことになった。ファンが何度も♪heat of the
moment〜と歌ってるうちにウェットンも満足いったよう(苦笑)。曲が終わると、パーマーはステージ最前列の客にドラム・スティックを渡し、メンバー横一列になって肩を組み、観客に御辞儀。こうしてエイジアのメンバーはステージを去って行った。
オリジナル・メンバーでの来日もここ5年で3回目ともなるとファンの興奮度合いも醒めてしまうのか、観客が殆ど座ったまんまのライヴというのを久しぶりに体験した(苦笑)。再結成第2弾アルバムとなる新作『オメガ』はなかなかの出来だと思ってるんだけど、この新作から披露された曲への観客の反応が乏しいのは気の毒な気がした。
【SET LIST】...'10.5.14 渋谷C. C.
Lemonホール
1. I Believe
2. Only Time Will Tell
3. Holy War
4. Never Again
5. Through My Veins
6. Don't Cry
7. Steve Howe guitar solo I
8. Steve Howe guitar solo II
9. The Smile Has Left Your Eyes
10. Open Your Eyes
11. Finger On The Trigger
12. Time Again
13. An Extraordinary Life
14. End Of The World
15. The Heat Goes On
16. Sole Surviver
(encore)
1. Go
2. Heat Of The Moment