ヒロくんのLIVE REPORT '11 PART 4 Kalafina

 アニソン界の歌姫3人組・KalafinaのSpring Tour 2011の富山公演を4月2日に観て来た。3人の歌姫のうち、中音担当のHikaruは富山市出身であり、このため、今回のツアーは東・名・阪の3ヶ所に加え富山公演が組まれた。Kalafinaのオリコンでの最高成績は2nd『Red Moon』の5位であり、富山出身のアーティストとしてはアラジンの“完全無欠のロックンローラー”以来の快挙である(爆笑〜!!!)。今回のKalafinaの富山公演は、そういう快挙を成し遂げたHikaruの凱旋公演である。富山出身のアーティストが富山県民会館という比較的大きめのハコで凱旋公演を行うのは稀なことなので、会場内がどういう雰囲気になるか確かめに富山県民会館に潜入して来た(苦笑)。アニソン界で人気の彼女たちの公演には、富山の客だけでなく全国からアニメおたくが集まってるようで、いつもライヴ観に行く度に会場で浮きまくってる私も、今回だけはしっかり他の観客たちの間に馴染んでた(苦笑)。
 開演予定時刻の6時になると、場内に女声アナウンスが流れた。ライヴ開始前のお約束の録音・撮影の禁止等の注意事項のアナウンスかと思いきや、喋ってるのはKalafinaの3人だ。先の東北地方太平洋沖地震を受けて今回のツアーを開催するかどうか悩みました。プロデューサーの梶浦さんとも何度も話し合った結果、私たちの歌で少しでも勇気づけることが出来たらと思い、開催することになりました...といった説明が(おそらく)3人で交代しながらあり、「まもなく開演となります」との締めの文句でKalafinaたちによるアナウンスは終了。6時を7分ほど廻ったところで場内の灯りが消え、開演を知らしめるイントロが流れ始めた。ステージ両脇の壁面をスクリーンにして(東・名・阪じゃあちゃんとスクリーンが準備されてるんだろうな...苦笑)、ツアー名(で最新シングルの名でもある)「Magia」や「Wakana」、「Keiko」、「Hikaru」の3人の名前と紋章らしき模様が次々と映し出される。イントロが流れ終わり、“Magia”のイントロのエキゾチックなドラムのリズムが鳴り響き始めるとステージの照明が点き、初めてステージ上の全貌が明らかになる。ステージ中央に設置された階段のセットの上段に、“Magia”のジャケットのような黒い衣装を着たKalafinaのメンバー3人が登場してる。一番高い段にHikaru、一段下がったところにWakanaとKeikoが居る。Hikaruが目立つ位置に居るのは彼女の凱旋公演だからというよりも、この曲でのメイン・ヴォーカルが彼女だからだろう。Kalafinaの3人の登場に、観客はいきなりほぼ総立ち状態に。バック・バンドはステージ中央の階段のセットの左右の狭苦しいところに詰め込まれていて、向かって左側にはドラムとベース、右側にはギター、キーボード、そしてヴァイオリンが居る。生ヴァイオリンを含んだ珍しい編成に彼女たち...というか梶浦女史のコダワリを感じた(苦笑)。“Magia”が終わると、KeikoとHikaruは階段を降りてステージに立ち(ステージ向かって左にKeiko、右にHikaru)、ひとりステージ中段に残った高音担当のWakanaがメインの“serenato”へ。この曲ではヴァイオリニストは出番が無いようで、姿がみえない。Wakanaもステージに降りると、Hikaruがステージ向かって右側から左側に移動していき、いつもの定位置(ステージ向かって左からHikaru、Keiko、Wakana)になると今度は低音担当のKeikoメインの“闇の唄”。姿を消してたヴァイオリニストもステージに戻り、演奏に加わってる。この後も曲によって出入りが激しいのかと思ってたけど、アンコールまで彼の出番が無くなることはなかった。メンバー1人ずつ自分がメインの曲を歌ったところで、M.C.タイム。まず、メンバー中最年長のWakanaが初めての訪問となる富山の観客に「初めまして」の挨拶をし、立ったままだった観客を座らせ、バスガイドのような滑らかな口調で話し始める。Wakanaに続いて、Keikoも富山の観客に「初めまして」の挨拶をし、(富山県民会館が)ステージから客席がこんなに近いとは思わなくってビックリしたなどとM.C.。そして、いよいよHikaruの番。「私がこのステージに立つのは初めてではなくて、何度も立たせてもらう機会があったんだけど、こんなに客席が近いとは思いませんでした」などと言うと、「あ、遅くなったけど...ただいま」などと地元・富山のファンに帰郷の挨拶。このHikaruの挨拶を受け、場内は割れんばかりの拍手が鳴り響いた。いつまでも鳴り止まない拍手にWakanaも「凄いねぇ〜」と驚く。HikaruのM.C.はまだ続き、家族ごと東京に引っ越したこともあり富山に戻って来たのは2年ぶりになるそうで、「今回は特急『はくたか』に乗って富山に来たんだけど、いつの間にか新幹線のホーム(正くは、新幹線工事に伴う仮ホーム)が出来て、駅舎も変わってたけど、自動改札にはなってなくて駅員さんにきっぷを渡す仕組みはそのままだったので安心しました」などと語り富山のファンを笑わせた(笑)。Hikaruの定位置となるステージ向かって左側の前の席には、Hikaruから招かれた(もしくは自ら進んで観に来た)同級生や恩師が多数陣取ってるようだ。ここで、Wakanaからここまで歌った3曲について「“Magia”、“serenato”、“闇の唄”でした」などと紹介。どうやら彼女たちのライヴでは、歌う曲すべてについて何の曲なのか一曲一曲紹介するのが「お約束」になってるよう。ハッキリ言ってこれは珍しい(苦笑)。続けてWakanaは次に歌う曲を紹介。「“輝く空の静寂には”」。この静かな曲で立ち上がろうとする客は少なかったけど、♪ア〜ア〜ア〜ア〜ア〜アアアアア〜〜〜...との高音独唱で始まる、Kalafinaのデビュー曲“oblivious”では多くの観客が立ち上がる。この曲が終わると、スポットライトを一身に浴びたギタリストが自慢げにギターをかき鳴らす。観客も手拍手して彼を後押し(笑)。“sprinter” だ! 途中からの加入となったHikaruにとってデビュー曲となるこの曲で大いに盛り上がったところで、kalafinaの歌姫3人は一旦ステージから姿を消した。
 歌姫3人は「お色直し」をしてるようで、キーボーディストがキーボード・ソロを始めて時間稼ぎ(苦笑)。立ち上がってた観客はここで一旦席に就く(苦笑)。最初はキーボード・ソロだったけど、残りのメンバーも演奏に加わり始め、壮大なインスト曲になった。後にWakanaが曲紹介したところによると、『空の境界』のサウンドトラックからの“when the fairy tales ends ”とのこと。バンドによるインストが終わると、マニピュレーターが流すクワイアに導かれるように、セットの階段の上段部にKalafinaの3人が再登場。3人とも白い衣装に着替えてる。「お色直し」後の1曲目は“fairytale”。セットの階段からステージに降りて来て、殆どアカペラのような感じで“intermezzo”を歌う歌姫たち。バンドの演奏が静かなほうが彼女たちのヴォーカル・ハーモニーの上手さを堪能出来る。ステージ奥のスクリーンに赤い月の画像が映し出される。次の曲は“Red Moon”だなぁ...と思ってたら、ホントに“Red Moon”だった(苦笑)。この、最新アルバムのタイトル曲が披露されるとまた多くの観客が立ち上がったけど、ここでまたM.C.紹介があり、立ち上がったばかりの観客はまたも座るハメに。Wakanaから“輝く空の静寂には”以降に歌った曲について曲の「お名前の紹介」(苦笑)があり、バンド・メンバーの紹介へ。まずは、Wakanaから富山県にちなんだメンバー紹介があり、富山県の県獣・ニホンカモシカのように好奇心旺盛なベーシストの高橋知治、富山県の県の木・タテヤマスギのように真っ直ぐバンドを支えるドラマーの佐藤強一、富山県の県の魚・ホタルイカ(ちなみに、Hikaruにとっての「富山県の魚」であり、実際には「県魚」の設定はありません...苦笑)のように妖艶な光を出すヴァイオリストの今野 均...というふうに3/5まで紹介。残りのメンバーの紹介はWakanaの担当。キーボードの櫻田泰啓を「魔法使い」と紹介した後、ギターの是永巧一について、ツアーの時宿泊を伴うにもかかわらず小さなカバン1つで移動するので、あのカバンは四次元ポケットみたいに何でも入る「魔法のカバン」に違いない!...と半ばコジツケで是永氏をも「魔法使い」と紹介したWakana(是永氏からは「靴下持ってくるのを忘れて、現地で買いました」というコメントあり...苦笑)。Hikaruが富山ネタなら、Wakanaは魔法使いネタでまとめた。ステージ脇からマニピュレーターの大平佳男を呼び寄せて彼のことも観客に紹介し、ぶだんは陽の当たることの無い影の存在の彼に文字どおり光を当てた後、「続いてはこの曲から〜」という感じのWakanaの曲紹介で演奏が始まったのは、アラビン・テイスト満載な“テトテトメトメ”。この曲でもパラパラと立ち上がる客が居たけど、続く“love come down”で多くの客が立ち上がる。曲が終わり、Keikoが「“fantasia〜!”」と叫ぶと観客ほぼ全員が立ち上がった。“fantasia”が終わると、ステージ奥のスクリーンにはグリーンのデジタル時計のようなフォントで「Progressive」の文字が浮かび上がる。演奏される曲は当然、“Progressive”。さらに“Kyrie”、“音楽”...と、シンフォニック・メタルを思わせる様式美を持つハード・ロッキンな楽曲群が立て続けに披露され、場内の盛り上がりも最高潮に。ここで、またもやM.C.タイム。Wakanaが“テトテトメトメ”以降に歌った6曲を紹介してから「次が、最後の曲になってしまいました」などと言うと、当然のように場内から「エ"エ"〜〜〜ッ!」とブーイングが起こる。「最後の曲といっても、2曲あるんだから」などとHikaruが観客をなだめた後、次に歌う曲の説明を始めたWakana。次の曲はシングル“Magia”のカップリング曲である“snow falling”で、映画『空の境界 終章』のテーマ曲(“snow is falling”)のカヴァー。元々、映画『空の境界』の主題歌プロジェクトから出発したのがKalafinaであり、この曲を歌えるということは「『空の境界』から始まった私たちが、こうしてまた『空の境界』とつながっていられるのはとても大切なこと」であるといったニュアンスのことをWakanaは語ってた。会場のなかは熱気に充ちてるけど、会場の外は4月だというのに雪が舞ってもおかしくないような寒さ。その外の雰囲気に合う静かなこの曲をメインに歌いあげたWakanaが、次の曲を紹介。NHK『歴史秘話ヒストリア』のエンディング・テーマとして使われてる“symphonia”を、番組で流れてるショート・ヴァージョンではなくフル・ヴァージョンで歌うと宣言すると、オオッ〜!という感じで場内が沸く。この“symphonia”を3人で熱唱したところで歌姫3人とバンドの5人は一旦ステージを去った。
 場内にはアンコールを求める観客のクラップが鳴り響き、そのうち「アンコール〜! アンコール〜!」とアンコール・コールも加わった。まだ演ってない代表曲があるため間違いなくアンコールがあるハズなんだけど、Kalafinaの3人はなかなかステージに姿を現さない。5分くらいは待たされただろうか、ツアー・グッズのTシャツ+ショートパンツに着替えた3人(とバンド)がようやく登場。ステージに出てくるまで間があったのはお色直しのためと判明(苦笑)。Wakanaは白、Keikoは黒、そしてHikaruは富山限定の青のTシャツ着てる。Wakanaはカットジーンズ姿が目に眩しい(苦笑)。アンコールの1曲目は“輝く空の静寂には”のカップリング曲の“adore”。続いて“Lacrimosa”を歌ったところで、ツアー・グッズの紹介。今回のツアーでは、メンバー各人がグッズをプロデュースしたとのことで、それぞれがプロデュースしたグッズを順番に紹介。Wakanaがプロデュースしたのはランチトート。ベースの高橋氏がいつも使ってるランチトートの大きさが気に入っていて、自分でもこういうのがあると便利だ! 欲しい!と思って作ったとのこと。Keikoがプロデュ−スしたのは、ノートとペンの文具セット。ベンのほうは黒・赤・青の3色+シャープペンが一体化したモノなんだけど、このペンの仕上がり見本が届いた時、Keikoがどーやっても自分の出したい色をうまく出せず、Wakanaと一緒に悩んだとのこと。しっかり者のHikaruが取扱説明書みたら、一番最初に「出したい色の面を上にしてボタンを押して下さい」としっかり書いてあったそうで、KeikoとWakanaが取説をしっかり読んでなかったことがモロバレ(笑)。Hikaruがプロデュースしたのはストラップ。Hikaru自身も使ってるんだけど、あまりにもさりげな過ぎて、初めて着用した日にWakanaとKeikoに使ってることを気付いてもらえなかったくらい...などと言うHikaruに、「いやいや、ちゃんと気付いてたよ。口に出して言わなかっただけ」と取り繕うWakanaとKeiko(苦笑)。恒例の曲紹介はWakanaの役目だったけど、アンコール以降に演った2曲についてはKeikoが口速に紹介。アンコール3曲目は、明るく前向きな“I have a dream”で、この曲では出番の無いヴァイオリンの今野氏はステージから退出していた(苦笑)。曲を歌い終わると改めてバンド・メンバーの紹介があり、慌ててステージに戻って来たヴァイオリン・今野氏(苦笑)。マニピュレーターの大平氏も含めた6人の紹介が終わったところで、Wakanaが「みんないろいろな思いがあると思いますが、少しでもみんなが笑顔になれますように。“光の旋律”」というふうに曲紹介し、Kalafinaの代表曲の“光の旋律”を披露。このメルヘン・チックな曲はTシャツ+ショートパンツ姿ではなくて、フリフリの衣装姿で聴きたかったと思ったけど(苦笑)、みんな曲に合わせ手拍子し、場内大いに盛り上がった。曲が終わるとバンド・メンバー全員と横一列で並んで、観客に御礼を言って御辞儀した。Kalafina御一行がステージを去ると、終演のアナウンスとともに“storia”が流れ、3時間弱にも亘るライヴは終了。
 歌姫3人による絶妙なヴォーカル・ハーモニーをナマで堪能したうえに、お姉さんキャラ+ボケ役のWakana、ツッコミ役のKeiko、富山県人らしく真面目なHikaruの三者三様のキャラクターがよく滲み出たトークもオモロかった。今回が初の凱旋公演となったHikaruを富山も熱く迎え入れてくれてた。Hikaruは「富山でライヴが出来ればいいなとは思ってたけど、まさかこの大きな会場で出来るとは思わなかった」って言ってたけど、次は是非、オーバードホールでのライヴを目指して下さい!(笑)

【SET LIST】...'11.4.2 富山県民会館
. intro
1. Magia
2. serenato
3. 闇の唄
4. 輝く空の静寂には
5. oblivious
6. sprinter
7. when the fairy tales ends (バンドによるインスト)
8. fairytale
9. intermezzo
10. Red Moon
11. テトテトメトメ
12. love come down
13. fantasia
14. Progressive
15. Kyrie
16. 音楽
17. snow falling
18. symphonia (新曲)

(encore)
1. adore
2. Lacrimosa
3. I have a dream
4. 光の旋律

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