ヒロくんのLIVE REPORT '17 PART 2 木村カエラ

 木村カエラの9thアルバム『PUNKY』のリリースに伴う全国ツアー『KAELA presents PUNKY TOUR 2016-2017 DIAMOND TOUR』を2月5日に金沢市文化ホールで観て来た。
 開演前のステージには、薄い幕がかかっている。薄い幕ゆえに、ステージ上の様子がある程度透けて見える。開演予定時間の5時を5分ほど過ぎると場内の灯りが消え、場内に流れるイントロをバックに、ステージ上にバンド・メンバーと木村カエラが登場。オープニング曲は新作のアタマを飾る“This is love”。演奏が始まってもステージの幕は降りたままで、カエラ(とバンド)の姿は薄い幕を通して眺めるしかない。幕が下りたままカエラがこの曲を歌い終えると、ようやく幕が左右に開く。次の曲は、“SWINGING LONDON”。カエラは緑の薄い生地のドレス姿で、下に着てる黒のTシャツと短パンが透けて見える。身振り手振りで曲の歌詞世界を表現しながらステージ上をあちこち所狭しと動き廻りながら歌うカエラ。バンドメンバーは4人で、ステージ向かって左からキーボード、ベース、ドラム、ギター...の順の並び。全員骸骨の絵が描かれた黒の上下姿をしてる。ベースはくるりの佐藤征史さん、ギターは「アイゴン」こと會田茂一さん、ドラムは柏倉隆史さん、キーボードはヒイズミマサユ機さんの面々。佐藤さんはバック・コーラスも大活躍。アイゴンのギターは、カエラの衣装に同調してか、緑だ(笑)。曲が終わると、新作のタイトル曲“PUNKY”で、ステージの天井から、「○」に「K」が書かれた電飾が降りて来る。その背後のセットは、どう見ても、あばら骨だ(苦笑)。
 “PUNKY”が終わると、バンドは“SHOW TIME”のイントロ・リフを演り始める。それをバックにカエラが観客に挨拶。「PUNKY DIAMOND TOUR、みなさん、金沢市文化ホールへ、ようこそ〜! みんなに会えるのをとても楽しみにしてました〜!」。ここでカエラやバンドの煽りもあって場内みんな手拍子したところで、曲へ。さらに“TODAY IS A NEW DAY” を演ると、M.C.タイムへ。観客からカエラに「カワイイ〜!」と声が飛んだけど、「ウン」と、自分が可愛いのは当然かのように振る舞うのがカエラらしい(苦笑)。通常金沢でのライヴでは前泊が恒例となってたんだけど、今回の公演では北陸新幹線で当日に金沢入りしたとのこと。その話を聞いて観客の女性から、(金沢)駅で見たよ!...と声がかかる。すると、「見た? (それなら)声掛けてよ」と返して場内の笑いを誘う。カエラの笑い声は、『サザエさんジャンケン』の時のサザエさんの「ウフフフ〜♪」ソックリ。こんなふうに実際に笑うひと、初めてみた(苦笑)。
 「ちょっと懐かしい曲も演っていこうかと思ってます」などとカエラが前フリ。すかさず柏倉さんがスティックカウントを始めて次の曲に入ろうとすると、カエラにまだだよと止められ、見事に空振り(苦笑)。「知らないひともホッコリする曲なので最後まで聴いて下さい」と締めたカエラ、柏倉さんに「(演奏始めても)いいよ」と声をかけてから“ワニと小鳥”へ。エンディングには曲のイメージに合わせて、小鳥のさえずりと、水面の音のS.E.が流れて、新作から映画『バースデーカード』主題歌の“向日葵”へ。観客が聴き入るような曲が続いたところで、“Circle”へ。静かに始まった曲だけど、曲の内容に合わせてグッズのタオルを持ってるファンはタオルを振り廻す。曲のほうも次第に盛り上がってくと、そのまま盛り上がりを維持して“sonic manic”になだれ込み、さらに場内は熱くなった。“sonic manic”が終わると、バンドメンバーの紹介へ。ギターのアイゴン、ドラムの柏倉さん、ベースの佐藤さん、キーボードのヒイズミさんの順に紹介し、「ヴォーカル、木村カエラ」と、最後に自分自身を紹介。この日は佐藤さんの誕生日とのことで、場内から拍手が送られる。本日金沢入りして、新幹線のなかで食事を済ませてたにもかかわらず、会場近くの美味しい蕎麦屋さん(『四季の庵』というお店)へ食べに行ったそう。「美味しかったねぇ〜」とカエラとアイゴンたちは満足げだったけど、スケジュールの都合からか遅れて金沢入りしたヒイズミさんは食べられなかったそうで、ヒイズミさんに遠慮して「不味かった」などと突如蕎麦をディスり始めるカエラ(苦笑)。今日の公演が終わるとサッサと帰っちゃうようで、通常なら訪れる『金沢21世紀美術館』も今回はパス。しれでも何を展示してるか気になるようで、観客から情報収集を怠らないカエラ。ステージから最前列の客まで近いことを話題にし、実際ステージから身を乗り出し腕を伸ばして、最前列の観客の手とタッチ。「インフルエンザ、移るかもしれないから気をつけて」とカエラが言うと、言われた観客が蒼ざめたのか「大丈夫、持ってないから」とフォロー(笑)。さらに最近のマイブームとして「遅れた『恋ダンス』のブーム」を紹介すると、場内から「やってくれ!」の拍手の嵐。慌てて「やらない、やらないよ!」と拒否るカエラ。「みんな踊ってて、私の持ち歌にしたいもん」と嘯くカエラ、続けて「私の曲でもみんなが踊れる曲、欲しいと思ったもん」と漏らすと、場内から「“BANZAI”!(があるじゃないか)」と声がかかる。「“BANZAI”? バンザイしてるだけでしょ?」。すると、ファンの口から“Jasper”など次々踊れるカエラの曲名が挙がり、「踊れる曲はあるけど、流行ってる/流行ってないの問題である」というところに落ち着いたところで(笑)、次の曲へ。「子供さんもけっこう居るんじゃないか」ってことで「“オバケなんてないさ”」と曲紹介したカエラ、真面目に童謡の“オバケなんてないさ”を熱唱。バンドも真面目に演奏してて結構違和感が...(苦笑)。続く“THE SIXTH SENSE”ではそれまでののほほんとした雰囲気からガラリと変わり、ヒイズミさんがショルダーキーボードを持ち出すなど熱い演奏へ。ロックな流れは続き、“KEKKO”、そして“THREE CLIMBERS”へ。♪day by day〜...と熱く盛り上がったこの曲が終わると、スタッフがステージに椅子とアコースティック・ギター(アコギ)を持ち込む。“THREE CLIMBERS”を熱唱した後で背中で息する感じのカエラ、「この後に、アコギを弾くってのは、ちょっと曲順を、間違ってるよね!?」と会場のみんなに同意を求める(笑)。“THREE CLIMBERS”演った後の呼吸苦の状態を「day by day症候群」と呼んでるらしい(笑)。アコースティック・コーナーでは、カエラが大好きな曲を演るとのことで、「この曲、いつ作ったっけなぁ〜と考えた時に、この曲、アイゴンさんが作ってくれたんだけど」とカエラが言うと、椅子に座って寛いでたアイゴンが立ち上がり、スポットライトを浴びる。さらに、観客から拍手を送られる(笑)。この曲の歌詞を書いてたのはカエラが19歳の時で、2005年3月のリリース。もう12年経ってることに「時が経つのは速いなぁ。ビックリしちゃった」と驚くカエラ。同じ酉年に作ってると思うと凄いですよね?...などとカエラがアイゴンに同意を求めると、「あの時、オレも若かったね」とアイゴン(苦笑)。自分がちっちゃい頃に家族が上手くいかなかった頃に助けてくれた女のひとが好きだった花が、マーガレット...とこの曲について説明したところで、ファンはどの曲を歌うのか分かったようで声が上がる。カエラがこの曲の作曲者のアイゴンを話題にする度にスポットライトが当てられ、立ち上がらざるを得ないアイゴンに、「ゴメンネ,立たせちゃって」と謝ったカエラが、いっぱい練習してるというアコギで歌った「大好きな曲」とは、“リルラ リルハ”。ヒイズミさんのキーボードと2人による演奏。他のアーティストのライヴのアコースティック・コーナーでは演奏に加わらないメンバーはステージに居ないことが多いんだけど、残りの3人もステージに居て、カエラの歌に聴き入ってた。アコースティック・コーナーはこの1曲で終わったけど、曲のテイストを引き継いだまま“Sun Shower”、そして、新作収録の“EGG”...と曲が続く。
 曲を歌い終わると、「お聴きいただいたのは、“EGG”でした」と紹介したカエラ、5月10日に『JRA』のC.M.で使われてる新曲“HOLIDAYS”がリリースされることを発表。場内の反応がイマイチと感じたのか、「みんな、(今歌ったばかりの)“EGG”引きずってるでしょ?」とカエラ。これは「EGG症候群」と呼ぶみたい(苦笑)。「みんなに歌ってもらいたいんですけど、いいですか?」とカエラから申し出があり、場内のみんなで♪ラッタッタ〜ラッタタ〜lalala〜let's enjoy the holidays〜holidays〜holidays〜lalala〜let's enjoy the holidays〜の合唱を練習。最初は歌えない部分を「手拍子でごまかそうとした!」とカエラに指摘されるようなありさまだったけど、何度も繰り返し(女子だけの回や、男子だけの回もあり)歌ってるうちにサマになり、本番でもキッチリ歌えた観客。その勢いのまま“Ground Control”、“僕たちの歌”、そして“好き”と曲を繰り出したカエラ、観客に「まだ、いける?」と訊く。観客が「まだまだいける」と返すと、“Yellow”へ。さらに“BEAT”が披露される。ヒイズミさんはまたショルダーキーボードを持ち出し、よくみるとカエラもエレキ弾いてる。大いに盛り上がった“BEAT”が終わると、カエラから非情の宣告が...。「次で最後の曲です」。「エェ〜ッッッ!」と返した観客を説き伏せるかのように「でもね、とても大切な歌を歌います。いつまでもキラキラしていたい...そんな歌です。聴いて下さい、“BOX”」と曲紹介したカエラ。曲中、天井から、ハート型ミラーボールみたいな形態のものが降りて来た。アイゴンのギターは、いつの間にか青のフライングVだ(笑)。曲が終わると、「明日から頑張ってね!」と観客にメッセージを送ったカエラ、バンド・メンバーと横一列に並んで肩を組んで深々と御辞儀した。バンド・メンバーの4人が去った後も、カエラ1人でもう一度御礼し、客席に向けて投げキッス(苦笑)。これに観客は大きな拍手と歓声で応えた。カエラはステージの袖へと消える際にもう一礼してった。アンコール無しの2時間一本勝負はここで終了。
 新作と初期のロック・ナンバー中心の曲構成で、大いに盛り上がったライヴ。彼女の代表曲の“Butterfly”を演らなかったところに、凄みを感じた。

【SET LIST】...'17.2.5 金沢市文化ホール
1. This is love
2. SWINGING LONDON
3. PUNKY
4. SHOW TIME
5. TODAY IS A NEW DAY
6. ワニと小鳥
7. 向日葵
8. Circle
9. sonic manic
10. オバケなんてないさ
11. THE SIXTH SENSE
12. KEKKO
13. TREE CLIMBERS
14. リルラ リルハ
15. Sun Shower
16. EGG
17. HOLIDAYS (新曲)
18. Ground Control
19. 僕たちの歌
20. 好き
21. Yellow
22. BEAT
23. BOX

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