ヒロくんのLIVE REPORT '17 PART 7 STING

 スティングがロック・フィールドに回帰した...と評判の新作『ニューヨーク9番街57丁目』に伴うジャパン・ツアーを6月10日に大阪市中央体育館で観て来た。以前私はこのサイトの掲示板(今は無い)で「スティングのライヴを観るのは、私がライヴを観に行くのを止める時」と宣言した記憶がある。しかし、今回、私はスティングのライヴを観に行くけど、これでライヴの見納めにする気はさらさら無い。前言撤回(苦笑)。
 客層は40代から50代のオッサンとオバサンが中心。いつも若い観客に混じってライヴ観てばかりだと、このほうがかえって落ち着かない(苦笑)。今回のライヴ、オープニング・アクトとして、スティングの息子のジョー・サムナーとTHE LAST BANDOLEROSが演奏することになっていた。そーいやポリスの時も、スティングの息子のジョーが前座で演奏してたなぁ〜。開演予定時間の6時半を少し過ぎた頃に、ステージにジョー・サムナーが登場したけど、何故か親父の姿も..。親子で新作からのアコースティック・ナンバー“Heading South On The Great North Road”を演奏。親父はジョーのことを「俺ノ息子〜!」と紹介し、観客には「オオキニ」と関西弁で御礼を言っていた。スティングはこの曲1曲だけでステージを去り、フィクション・プレインもなかなか大成しない息子1人が残り、弾き語りで数曲演奏。「僕の子供についての曲です」などとジョーが曲紹介すると、「スティングに孫が居るのかよ...」と周囲の客がザワザワ(苦笑)。事前の紹介が「JOE SUMNER AND THE LAST BANDOLEROS」だったため、ジョーがソロになりバック・バンドを率いているのかと勘違いしてたけど、この両者は別モノ。両者が一緒に1曲だけ演奏してたけど、ジョーがステージを去るとTHE LAST BANDOLEROSの演奏が始まった。彼らは物販で売られてたCDジャケットをみる限り4人組で、ギタ−2人、ベース、ドラムの編成。さらにライヴのみのサポート・メンバーなのかアコーディオン奏者が居た。彼らは7曲くらい演奏してった。彼らの演奏が終わった時点で時間は7時10分くらいで、ここから「休憩」に入るとのこと。じゃあ、スティングの出番は7時半からだね(苦笑)。
 7時半を少し過ぎた頃、スティング御一行がステージに登場。袖がないグレイのTシャツ姿でベースを構えたスティング、1曲目はポリスの“Synchronicity II”。椅子に座ってたオッサンオバサンたちが総立ちとなり、スティングの声に合わせ♪イヨ〜オ〜オ〜...と声を出す。この曲をオープニングに持って来てることに「ロック回帰」の本気度が窺える。続くは、これまたポリスの“Spirits In The Material World”(邦題は“マテリアル・ワールド”)。ポリスのスタジオ・ヴァージョンでは効果音的シンセがうるさ過ぎる曲だけど、キーボードもなくシンプル過ぎるアレンジで披露された。バンドはスティングの他にギター2人、ドラムが居る編成。バック・コーラスとして3人ぐらい横一列になってパーカッション類使いながら歌ってたけど、そのなかにジョー・サムナーが居る(笑)。THE LAST BANDOLEROSのメンバーも出たり入ったりしてたので、バック・コーラスが正確なところ何人居たのか、よく分からない(苦笑)。スティングと観客との間で「oh〜! oh〜!」、「oh〜! oh〜!」のコール&レスポンスの後になだれこんだ3曲目は、“Englishman In New York”。CDで聴ける、ブランフォ−ド・マルサリスのサックス・プレイを中心としたジャズィなアレンジが当たり前なので、この曲だけでも追加でサックス奏者が出て来るんじゃないかと思ったけど、最後までサックス奏者も出て来なかったし、シンセによる代行も無く、シークェンサーによる同期も無かった(苦笑)。この斬新なアレンジの“Englishman In New York”では、中盤とエンディングでも、スティングと観客とコール&レスポンスがあり、「oh〜! oh〜!」、「oh〜! oh〜!」、「hey〜! hey〜!」、「hey〜! hey〜!!」のコール&レスポンスで曲を閉じた後、新作のアタマを飾る、「ロック回帰」の象徴的な曲“I Can't Stop Thinking About You”へ。新曲だけど、観客が手拍子をするなどそこそこ盛り上がってた。ジョーもバック・コーラスで頑張ってた(苦笑)。曲が終わると「オオキニ! オオサカ!」と関西弁で御礼を言うスティング、バンド・メンバーの紹介をしてから、ポリスの“Every Little Thing She Does Is Magic”(邦題は“マジック”)。エンディングでは♪イヨォ〜イヨォ〜イヨォ〜...と場内大合唱となり、大いに盛り上がった(爆笑〜!!!)。続いては、新作からの“One Fine Day”。あまりオッサンオバサンには馴染みが無いのか、着席する客もチラホラ(苦笑)。『テン・サマナーズ・テイルズ』からロック色が強いナンバー“She's Too Good For Me”。この曲ではTHE LAST BANDOLEROSのメンバーも乱入し、一気にステージ上がにぎやかに。曲の途中で「oh〜!」「oh〜!」、「yeah〜!」「yeah〜!」とコール&レスポンスがあり、盛り上がった“She's〜”が終わると、♪Mad About You〜...と歌いながら曲紹介し、『ソウル・ケージ』からの“Mad About You”。THE LAST BANDOLEROSの演奏の時に居たアコーディオン奏者がイイ仕事してた。続く“Fields Of Gold”にも彼の魅せ場があり、曲が終わるとスティングが彼を紹介し、賞賛する場面もあった。「非ロック」な曲が続いたけど、ここで新作からのロック・ナンバー“Petrol Head”を演奏し、路線修正。ギターの旋律がヘヴィーなこの曲に続くは、これまた新作からの“Down, Down, Down”。こっちは地味な曲なので、座る客が多かった(苦笑)。次の曲は、『テン・サマナーズ・テイルズ』からの“Shape Of My Heart”で、殆どアコースティック・ギター(とパーカッション)のみのシンプルなアレンジで披露され、スティングと息子のジョーとのデュエットで歌われた(苦笑)。この親子共演が終わると、場内から大きな拍手が送られた(苦笑)。しんみり&ほのぼのとしたところで、それを打ち破るかのようにポリスの“Message In A Bottle”(邦題は“孤独のメッセージ”)という爆弾が投下され、一気に場内のヴォルテイジが上がる。座ってたオッサンオバサンも総立ちに。拍手と大合唱で気持ちイイくらいに盛り上がった後、親父は休憩なのか一旦ステージを去り、息子のヴォーカルでディヴィッド・ボウイの“Ashes To Ashes”のカヴァーを歌う(苦笑)。流石に殆どの観客がこう感じたのではないだろうか? 「親バカ」(苦笑)。途中で親父がステージに戻って来たので、「スティングのヴォーカルでボウイのカヴァーが聴けるのか!?」と意気込んでたら、新作からの“50,000”に曲が変わってた(苦笑)。スティングが「イェ〜オ〜!」と声を張り上げ、観客とコール&レスポンスする。ポリスの“Walking On The Moon”だ。曲の中盤でもエンディングでも「イェ〜オ〜!」「イェ〜オ〜!」と観客とコール&レスポンス。今年65歳と思えないほど、高音に全く衰えを感じない...と感心してたら、次の(ポリスの)“So Lonely”は1オクターブ下げて歌ってた(苦笑...ポリスの再結成の時もだけど)。この曲でもスティングと観客の間で♪lone〜lone~lone〜...のコール&レスポンスがあった。続くはエスニックな感触が強い“Desert Rose”。曲の性格に合わせてこの曲だけコンガなどのパーカッションが登場(苦笑)。スティングのキャリアからすると比較的最近の曲だけど、それでも18年前のリリース(苦笑)。曲が終わると、ファンには耳馴染みなギターのイントロが流れる。ポリスの“Roxanne”だ。この曲でも観客と♪Roxanne〜のコール&レスポンスをしてからデイヴィッド・サンボーンのアルバムにゲスト参加した時に歌った“Ain't No Sunshine”(ビル・ウィザーズのカヴァー)に流れ込んだ後、また“Roxanne”に戻り演奏が終わると、スティング御一行は一旦ステージを去った。
 観客がアンコールの手拍子をしてると、アッサリとスティングたちがステージ戻って来た。そりゃそうだろう、もう開演から2時間半経ってて、9時廻ってる。帰りの足が気になるひとも多かったハズ(苦笑)。アンコール1曲目は、ポリスのデビュー・アルバム『アウトランドス・ダムール』のアタマを飾る“Next To You”。“So Lon ely”ではキィを下げ肩透かしを喰らったが、この曲はオリジナルのキィのままで歌ったスティング。この曲で大いに盛り上がると、歴史に残る大ヒット曲のポリスの“Every Breath You Take”(邦題は“見つめていたい”)が披露され、場内興奮状態に。大合唱と手拍子が場内にこだましたこの曲のエンディングでは、改めてメンバー紹介したスティング、バンド・メンバー共々、観客から大きな拍手を集めてた。曲が終わるとスティングとバンド・メンバー(息子のジョーも含む)は横一列に並んで、観客に向かって深々と御辞儀し、観客からの惜しみない拍手を浴びてからステージを去った。
 観客から再度のアンコールを求めての手拍子が起こったけど、先に述べたような事情もあり、少なくない観客が出口に向かってく。しかし、ライヴはここでは終わらず、今度はベースギターでは無く、アコースティック・ギターを携えてスティングがステージに登場。スティングの音楽の「ロック・サイド」と異なるもう一面の象徴的な1曲“Fragile”が、最後に披露された。曲が終わると、観客に御礼を言って、ステージを去った。久しぶりの「ロックなスティング」にまだ満足しきれないのか、アンコールの手拍子をする観客も居たけど、ライヴはこれでお開きとなった。
 「ロック回帰」と前評判どおり、ポリスの曲をばんばん演りまくった熱いライヴ。しかもロック一辺倒でなく、静と動のメリハリをしっかりとつけた構成で、ロックなスティングを好むファンもアコースティックなスティングを好むファンも満足だったのではないだろうか。個人的には、ポリスの曲をたくさん合唱出来て、満足度が高かった。

【SET LIST】...'17.6.10 大阪市中央体育館
(with Joe Sumner)
1. Heading South On The Great North Road

1. Synchronicity II (ポリスの曲)
2. Spirits In The Material World (ポリスの曲)
3. Englishman In New York
4. I Can't Stop Thinking About You
5. Every Little Thing She Does Is Magic (ポリスの曲)
6. One Fine Day
7. She's Too Good For Me
8. Mad About You
9. Fields Of Gold
10. Petrol Head
11. Down, Down, Down
12. Shape Of My Heart
13. Message In A Bottle (ポリスの曲)
〜Ashes To Ashes (デイヴィッド・ボウイのカヴァー) vocal on Joe Sumner〜
14. 50,000
15. Walking On The Moon (ポリスの曲)
16. So Lonely (ポリスの曲)
17. Desert Rose
18. Roxanne (ポリスの曲)〜Ain't No Sunshine (ビル・ウィザーズのカヴァー)〜Roxanne

(encore 1)
1. Next To You (ポリスの曲)
2. Every Breath You Take (ポリスの曲)

(encore 2)
1. Fragile

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