GLIM
SPANKY(以下、GLIM)という男女2人によるユニットのことを知ったのは、去年の秋のこと。当時封切りになった映画『少女』(原作・湊かなえ、主演・本田
翼)の主題歌だった“闇に目を凝らせば”を聴いてから。映画のエンドロールのバックに流れる松尾レミのハスキーな歌声を一聴してすっかり耳を奪われ、「誰だ、コレ?」になった私、帰宅するなり彼女たちのことを調べまくったことは書くまでも無い。すぐに彼女たちの当時の最新アルバム『Next
One』を購入して聴いて、彼女たちの音楽にすっかり惚れ込んだ私、ナマで彼らの音楽に触れたい...と、ツアー日程を調べたけど、その時点ではどの会場もすでにSOLD
OUTになってた...(泣)。あれから1年、新作『BIZARRE
CARNIVAL』を引っ提げて、『BIZARRE CARNIVAL Tour
2017-2018』の一環として金沢でライヴを行うというので、11月11日のベースの日に、Eight
Hallへ馳せ参じた。
開演前の会場には、ピンク・フロイドの“Money”など'70年代の洋楽が流れてる。フロアは9割がた埋まっており、若いユニットの割には、年配の観客が意外に多い。映画『ONE
PIECE FILM
GOLD』の主題歌を歌ったせいか、小学生の姿も見受けられた。
開演予定時間の18時を4〜5分廻ると、フロアの灯りが落ち、GLIMの登場を告げる曲が鳴り響く。観客が歓声を上げるなか、サポート・メンバーの3人がまずはステージに登場し、それぞれの持ち場に就く。ワンテンポ遅れてGLIMの2人の松尾レミ(vo.,
g.)と亀本寛貴(g.)が観客の拍手を集めながら登場。赤い髪をした松尾レミは、髪の色に合わせてか、赤のボディコン(でいいんですか?)のワンピースに黄色いストッキング姿。対する亀本はサイケなデザインのシャツ着てた。「one,
two, three,
four!」とドラマーがカウント始めて演奏が始まった曲は、新作のアタマを飾る“THE
WALL”。ギターをかき鳴らしながら熱唱する松尾レミ、曲のブリッジに入るところで「金沢〜〜〜!」とシャウト。曲が終わると「GLIM
SPANKYです!」と松尾レミが軽く挨拶してから、新作のタイトルトラックの“BIZARRE
CARNIVAL”へ。ステージ中央に松尾レミが居て、その左に亀本、右側にベーシストが居て、その左後ろにドラマー、右後ろにキーボードが居る総勢5人での演奏。この曲ではキーボードのひとがバック・コーラスで頑張る。亀ちゃんは歌わないのに...(笑)。そのまま新作の流れで、“The
Trip”へ。この曲の冒頭の♪oh〜ohohohoh〜oh〜oh〜は亀ちゃんも歌ってた。最初からの予定なのか機材トラブルなのか分からないけど、曲の途中にもかかわらず、亀ちゃんがギターを交換。曲が終わると、M.C.タイム。改めて金沢の観客に挨拶すると、「ロックな夜にしたい!」と宣言した松尾レミ、続いてインディー時代のアルバム『MUSIC
FREAK』からの“ダミーロックとブルース”へ。渋すぎるサウンドに、演奏が終わると観客から「カッコイイぞォ〜〜〜!」と声がかかる。前作『Next
One』から“いざメキシコへ”を演奏すると、拍手する観客に「ありがと」と御礼を言う松尾レミ。さらに前作から、映画『ONE
PIECE FILM
GOLD』の主題歌だった“怒りをくれよ”を披露し、場内大いに盛り上がる。曲が終わると「ありがとう!」とまたも御礼を言った松尾レミ、ここら辺からほぼ曲を演るごとに観客に御礼を言ってた。新作からの“END
ROLL”の後、マイクに向かった松尾レミが深呼吸してからゆっくり歌い出した曲は、“闇に目を凝らせば”! 私が彼女たちにハマるキッカケになった曲のため、私は凄く感激したけど、曲の性格上どの観客も盛り上がってたかと言われると、微妙だ(苦笑)。
松尾レミがアコースティック・ギター(以下、アコギ)を構え、“Velvet
Theater”を熱唱。歌い終わって観客に「ありがと」と御礼を言ってからアコギをローディーに預ける。楽器無しになった松尾レミが亀ちゃんのアコギだけをバックに歌い始めたのは、ミニ・アルバム『I
STAND
ALONE』からの“お月様の歌”。この曲は2人だけでも成立しそうだけど、ドラマーとキーボードも音出して彩りを添えてた。この曲の演奏が始まってからすぐにスタッフのひとが観客に「一歩ずつ前に進んでください」とお願いしてたので、歌い終わってから、体調を崩した観客でも居たのかと気にする松尾レミ。フロアからハミ出てしまい、階段で観てる客(それも、小さい子供)が居たので、皆さんに前に詰めてもらった...とスタッフが説明したのを聞いて納得した松尾レミ、「体調が悪くなったらすぐに言ってよね。なんたって元・保健委員だから」などと話して場内の笑いを誘ったけど、誰も「元・副生徒会長じゃなくて?」とはツッコまなかった(苦笑)。「演奏の途中でも体調が悪くなったらすぐに言ってよね。気付いたらすぐに演奏止めるから」などと言う松尾レミに、亀ちゃんが「静かな曲を歌い出した途端に(観客から)『私、体調悪いです!』って言われても止める?」とフってきた。この意地悪な質問に「止めれるもん。『安全第一』ですから」などとキッパリ応えた松尾エミ。偉い! ここは元々M.C.タイムだったらしく、イロイロ喋り出す2人。亀ちゃんが「ここ(Eight
Hall)の前のスクランブル交叉点にたむろしてる兄ちゃんたち、チャラくないですか?」などと観客に訊くと、場内爆笑〜! 続けて松尾レミが赤髪を指しながら「私、こんなんだからさ、『どうして髪が赤いの?』て訊かれたんだけどさ、これは相手するべき? 無視するべき?」と金沢の観客に問う。ここで亀ちゃんが「女性陣も悪いよ。(兄ちゃんたちに)声かけられて嬉しそうなんだもん」などと発言。昨日、コンビニでおでん買ってホテルに帰る途中でそういう兄ちゃんと姉ちゃんの姿を見かけたそう。ここで松尾レミが「そうそう、先日面白い経験をしたんだけどさ...」と体験談を語り出す。京都に夜11時までやってる純喫茶の『フランソワ』という行きつけのお店があって、そこに向かってる途中にキャバ嬢のスカウトっぽい兄ちゃんに松尾レミが背後から声を掛けられたそうな。その声に松尾レミが振り向いたら、その兄ちゃんが「GLIM
SPANKYかよ!」とビックリしてたそう。その兄ちゃんはバンド活動する一方でキャバ嬢のスカウト的バイトもやってるようで、彼とは音楽の話をして別れたんだとか(苦笑)。一方、亀ちゃんは前日の夜の日本
vs.
ブラジルのサッカー親善試合の中継を「メンバー、スタッフ、誰も観てない」ので語れなかったのが大いに不満だったようで、この話題を観客にフって来た。すると、1人の観客が「亀ちゃんの感想は?」とすかさず返す。よくぞ聞いてくれました!...とばかりに語り始める亀ちゃん。事前のスコア予想は0-4だったけど、結果は1-3。ま、国際親善試合だし、後半になると向こうは露骨にメンバーを控えに替えて来たよね。今後の日本代表には手抜きされないよう、最後までブラジルに本気モードで戦ってもらえるように頑張って欲しい...などと熱く語る亀ちゃんを、松尾レミが隣で、半ば呆れ顔で見てた(苦笑)。
M.C.タイムが終わると、まずは新作からの“吹き抜く風のように”が演奏され、続いて『I
STAND
ALONE』からの“Freeder”へ。場内は♪oh〜ohohoh〜と大合唱して盛り上がると、“美しい棘”へ。この曲を演奏終えると、ギターを下ろした松尾レミの前にスタッフがトラアングルやら「星」やらの打楽器類(?)が3種類ぶら下げられたスタンドを設置してく。亀ちゃんのアコギをバックに、スティックで打楽器類やスタンドじたいを叩きながら松尾レミが歌い出したのは、“白昼夢”。歌い終えた松尾レミが放った第一声が「メッチャ楽しい!」(苦笑)。ここで「金沢に何度も来てるのに、21世紀美術館、まだ行ったことない。次回は必ず行きたい」などと金沢の観客に宣言した松尾レミ、先ほどの“白昼夢”について、楽器でないものを使って演奏出来る曲いうコンセプトの元に作られた曲であると紹介。トライアングルは100円ショップで買ったもので、真ん中にブラ下がってたのはアフリカのキーホルダー、もう1種類は星の形のオーナメントだそう。ここで、次の曲の“Sonntag”を紹介。去年にドイツ・ベルリン行った時に色々危ない体験をしたとのことで、その時の日記をそのまま曲にしたのが、この曲だそう。この曲を聴きながら、松尾レミにどんなことがあったか想像して欲しいとのこと。その問題の“Sonntag”の後に、“ビートニクス”を演流と、ドラマーが叩きだすリズムと亀ちゃんの弾くリフに観客が反応。前作のタイトル曲の“Next
One”だ。観客がリズムに合わせて手拍子し、♪オーエイオー〜...と声を張り上げ、大いに盛り上がって曲が終わると、松尾レミから「ありがとう金沢、最後の曲です」と非常の通告。観客が「エエ〜〜〜ッ!」と不平を口にするも意に介せず、“アイスタンドアローン”へ。最後にこの曲で場内を盛り上げて曲が終わると、GLIMの2人(+3人)は一旦ステージを去った。
年配の観客率が高いせいか会場に「アンコール」コールと手拍子が鳴り響く。観客の求めに応え、ステージに戻って来たGLIM。ツアーグッズの「もやTシャツ」に着替えてた亀ちゃん、ファンからの差し入れでもらったというエナジードリンクの『Red
Bull』を手にして登場。亀ちゃんは以前からステージ上でビールをグビッ!とやるのに憧れてたとのことで、実際にビール飲むとまだその後も演奏があるんで影響があると困るから、この、ファンからの差し入れの『Red
Bull』で代用することに(苦笑)。マイクの集音力を最大化してもらって、『Red
Bull』の缶のプルタブを開ける亀ちゃん。「スコッ!」と小気味よい音が場内に響き、観客にバカ受け(苦笑)。そのまま『Red
Bull』を一気飲みする亀ちゃん、飲み終わった後に「フー」とひと息ついてから放った一言。「美味い!」(苦笑)。
この日のライヴではあまりM.C.をしていなかったせいか、他所の公演に比べると進みが早いそうで、ここで亀ちゃんが「これだけはみんなに話しておきたい!」などと話を切り出す(ホントは『twitter』でつぶやきたかったらしいけど、あまりにつぶやき過ぎて「ウザい!」と思われるのもイヤなので、ここで話すことにしたとのこと...苦笑)。BECKが地上波のTVに出る!...と、BECK目当てで『バズリズム02』観たら、BECKの他にChemistryが出演しており、堂珍さんがゲームに凄くハマっててその筋のマニアにしか分からないようなディープな話をしてたことを嬉しそうに喋り始める。亀ちゃんもゲーム好きでネットゲームにハマってるようで、観客にネトゲの対戦相手の募集かけてた(苦笑)。亀ちゃんがハマってるゲーム名を知ってるって挙手した観客は、1人くらいしか居なかった(苦笑)。熱くゲームを語る亀ちゃんを、松尾レミがさっきのサッカーの話題の時よりも輪をかけて醒めた目付きで眺めてた(爆笑〜!!!)。亀ちゃんがゲームにかける想いを強く語った後で、松尾レミによるメンバー紹介へ。紹介を受けたら何かやってください...などとリクエストを松尾レミから受けてたメンバーたち。まずはドラマーのかどしゅんたろうさん。亀ちゃん同様にツアーグッズのTシャツに着替えてた
かどさんはバスドラムのペダル踏みながらスティックを手のひらの上に立てる芸を披露。ベースの栗原
大さんは、ザ・フーの曲のリフを演奏。キーボードの(gomes改め)中込陽大さんは「大人のイメージ」(by
亀ちゃん)のフレーズを弾く。松尾レミから「ギター、亀本寛貴!」と紹介を受けた亀ちゃんは、ザ・ホワイト・ストライプスの”Seven
Nation
Army”のギター・リフを演奏する一方、同じリフを口ずさんでた(苦笑)。そのままジャック・ホワイトばりに歌って欲しかったけど、流石にそこまではしない(苦笑)。最後に、亀ちゃんから紹介を受けた松尾レミ、キャロル・キングの“I
Feel The Earth
Move”(邦題“空が落ちてくる”)を歌う(現在ハタチ前後の女性シンガーが洋楽を昔の洋楽をカヴァーする場合、大概この曲なのはどうしてなんだろう?...苦笑)。てっきりアンコールの1曲目がこのカヴァーなのかと思ってたら、ワン・コーラス歌ったところで終了し、アンコールの曲目へ。まずは、メジャー1stの『SUNRISE
JOURNEY』から“大人になったら”へ。続いて、これまたメジャー1stからの“褒めろよ”へ。最後に大いに盛り上がり、曲が終わると、松尾レミも亀ちゃんも楽器を下ろす。演奏はここで終わりだけど、松尾レミの呼びかけでみんなで記念撮影することになった。撮影準備が整うまで亀ちゃんがトークでつなぐ(苦笑)。亀ちゃんはこないだBECKのライヴ観に行ったら、「GLIMのライヴ、行きますよ」と声をかけてくれるひとが何人も居たようで、自分の好きなアーティストが好きなひとに、自分たちの音楽が気に入ってもらえて嬉しい...などと語ってた。さらに、ミュージシャンのなかには「自分たちの音楽はこういうふうに聴いて欲しい」とファンに押し付けてくるひとも居るけど、そんなこと1
mmも思わない。みんなに自由に聴いて欲しい...などと言う亀ちゃんに、松尾レミも続けて「『自分たちはこういうふうに聴いてほしい』ってのは、無いの」などと発言してた。撮影の準備が整うと、自分たちの蔭になって写らないひとが居るのは可哀想だから...という配慮で、松尾レミたちもステージからフロアの柵前に降りる。亀ちゃんは「少々お待ちください」と何度も口にし、「『マクドナルド』でバイトしてたから『少々お待ちください』が口癖になった」と自虐的に話し、場内の笑いを誘った。亀ちゃんのカウントダウンの合図で2回シャッターを切り、撮影は無事に終了。ステージ上に復帰した2人は、最後にギターピックをフロアに次々と投げ入れる。ステージ去り際に、松尾レミが柵の前にピックが落ちてるのを指差し、近くに居た観客に「そこからなら拾えるよ」などと優しく声掛けしてった(苦笑)。
新作に収録されてる曲は全曲演奏したほか、ミニアルバム『I STAND
ALONE』からも1曲だけを除いて他は演奏。CD同様、いや、それ以上の迫力の凄い歌唱を聴かせてくれた松尾レミのパフォーマンスにいたく感動。ネット上では椿
鬼奴やらシシドカフカやら呼ばれてる彼女だけど、トークなどで優しそうな表情をしてる時は(照明の加減もあり)北斗
晶みたいだった(爆笑〜!!!)。あと、亀ちゃんがあんなに喋るとは思わなかった。高校の時に松尾レミがバンドに入れたくない!...と思った気持ちも解ったような気が...(苦笑)。
【SET LIST】...'17.11.11 金沢・Eight
Hall
1. THE WALL
2. BIZARRE CARNIVAL
3. The Trip
4. ダミーロックとブルース
5. いざメキシコへ
6. 怒りをくれよ
7. END ROLL
8. 闇に目を凝らせば
9. Velvet Theater
10. お月様の歌
11. 吹き抜く風のように
12. Freeder
13. 美しい棘
14. 白昼夢
15. Sonntag
16. ビートニクス
17. Next One
18. アイスタンドアローン
(encore)
1. 大人になったら
2. 褒めろよ