森高千里が1991年に行った『ザ・森高』ツアーは、デビュー30周年を記念して去年再現ライヴが行われたけど、この度『ザ・森高+』という名前でもう一度だけ再現されるというので、ちょうど東京出張が入ってた私は、昭和女子大学人見記念講堂へ観に行って来た。 私が森高のライヴを観るのはデビュー25周年のツアー以来6年ぶりで、人見記念講堂でライヴ観るのは今回が初めて。現地に着いたらちょうど開場時間で、入場前のひとの列が会場内に吸い込まれ始めるところだったけど、見事にオッサン(一部はオバサン)だらけ。
開演予定時間の7時を過ぎると、場内の灯りが消え、ムネオハウスふうのアンビエントな音楽(?)が流れる。森高の登場を期待してか、観客が騒ぎ始めるけど、なかなか森高本人は勿論、バンド・メンバーすらステージに現れない。5分くらい経ってから、バンド・メンバーが登場し、持ち場にスタンバる。ステージには巨大な「M」型の台が置かれており、中央部が階段になってる。ギタリストがイントロを弾き始めると、その階段の一番上の段に、往年の衣装に身を包んだ森高が登場! オープニング曲はアルバム『ザ・森高』収録で、『森高版“White
Room”(クリームの曲です)』と言われたこともある1曲“彼女”。階段を一歩一歩下りながら歌う森高に、ステージ真ん前に陣取る熱心なマニアたちは、即、立ち上がる。私が居た2階席の後ろの方では、手拍子をしてそれなりの盛り上がりは見せるものの、みんな席に座ってマッタリと観てた(笑)。次の曲は、アルバム『ザ・森高』のアタマを飾る、“短い夏”。イントロから最後まで鳴り止まない観客の手拍子に合わせてこの曲を歌い終わった森高、ここでM.C.タイム。ファンからの拍手と千里コールのなか「こんばんは! 森高千里です」と挨拶した森高、「デビュー30周年ファイナル企画、再演『ザ・森高+』にようこそいらっしゃいました。ありがとうございます!」と御礼を言う。デビュー30年を記念して行った再現ライヴシリーズ『TOMORROW
NEVER
KNOWS』...私は1回も観に行けてないが(苦笑)...全3回(『ザ・森高』、『ROCK
ALIVE』、『Lucky
7』)のうち、『ザ・森高』が一番好評だったと語った森高、去年行った『ザ・森高』に来たひとに挙手を求める。それなりの手が挙がったのは予想通りだけど、続いて「20何年前の当時(の『ザ・森高』)に来たってひと」にも挙手を求めたところ、私の真横の男性客のほか、少なからぬ手が挙がったのには正直ビックリ! みなさん、筋金入りだなぁ〜(苦笑)。「少なかったらどうしよう」と心配してたという森高も、これみて、安心。逆に、今回が森高のライヴが初めてという客にも手を挙げさせた森高、「次も来たくなるようなライヴをします!」と約束。今回のライヴの特殊性について「セットリストが分かってる」ことを指摘した森高だけど、「それでもメッチャ楽しめるライヴになると思うので、是非、みなさん、当時のノリを思い出しながらやっていただけたら」と語る。今回のライヴは倉庫に残ってたセットを丸々使用してるとのこと(アップフロント・エージェンシーはどれだけ物持ちがいいんだ!...笑) 森高が着てる衣装も当時のものを再現してるようだ。「みんな、若かった頃の気持ちを思い出しながら(ここで場内、失笑)、パワー全開で応援していただけると嬉しいな。最後まで盛り上がって下さい!」と森高が語ると、場内が歓声と拍手で応えた。
イントロから観客が手拍子始めた“ザ・勉強のうた”を、ラストを「だ〜い嫌い!」で締めた森高、次は、同世代の女子の共感を得てファン層拡大に寄与した“青春”。ここで早くもジャケットを脱ぐ森高。バンドは4人で『M』字の右側の辺にギターとドラム、左側の辺にキーボードとベースと女性ギタリストが居る。彼女を除いてスパンコール入りの宇宙服っぽい衣装を身に付けてた。アルバム『古今東西』に収録の“あるOLの青春〜A子の場合”では森高の手振りに合わせて、ファンも同じ手振りをして、盛り上がる。続いて、森高が初めて作詞に挑戦した曲“ザ・ミーハー”。私が在学してた大学の学祭に来た頃の曲なので、思い入れも大きく、一緒に合唱してしまった(苦笑)。
ここでM.C.タイム。先のM.C.の後歌った4曲を紹介し、「朝からすごく天気が良くて暑かったですけど、だからすでに汗ダクなんですけど、みなさんも汗ダクなんじゃないですか〜」と訊く森高。ステージの前で立ちっ放しのみなさんはそうだろうけど、座って観てる2階席のウチらはそーでもない(苦笑)。そんなウチらに対してってことは無いだろうけど「遠慮しないで踊りまくって大丈夫ですからね」とのたまう森高、「このセットリストは、20何年も前のセットリストなので、20代の若い女の子が演るセットリストで(苦笑)、私の今の年齢ではかなりキツいんですけど...」と自虐ネタで笑いを取る(苦笑)。再現ライヴ3本の模様が配信サイト『Paravi』で配信されることを宣伝した森高だけど、コアなファンのほうがよっぽど詳しい(苦笑)。さらに、物販紹介。Tシャツ3種、フェイスタオル3種、トートバッグ、そして、ジャケットキーホルダーの全部セットを紹介。\14,000もするのに、もう売り切れ寸前! まぢか〜!(汗) 最後にパンフレットが紹介されたけど、意外に買ってるひとが少ない。「コンサート来たら、まず、パンフレットでしょ!〜」という森高は、正しい(苦笑)。パンフを開いて、このために撮り下ろされたお気に入りの写真を必死にアピールする森高に、「後で見る」と、冷たいセリフを吐いた観客も居たけど(苦笑)。さらに、売り上げが芳しくないというCDとDVDについて、買うとポスターが付く旨、これまた必死にアピールした森高(苦笑)。ここで、森高が「『私の曲、どれが好き〜』って訊いた時に、結構上位にくる曲だと思います。“雨”、聴いてください」と、曲紹介。これ聴いて、割れんばかりの歓声と拍手が会場内にこだまする。名バラード“雨”をしっとりと歌い上げると、次の曲はガラッと感じが変わって、出歯亀野郎を一喝する怒りの1曲“ザ・のぞかないで”。攻撃的な楽曲に、大いに盛り上がった。
一旦ステージから森高が姿を消す。ステージ中央上のスクリーンには川口
浩探検隊のような2人(隊長と隊員)が映され、『ストレスの王国』を探す寸劇が繰り広げられてる。『ザ・森高』収録ヴァージョンの“ザ・ストレス”のオープニングS.E.をそのまま芝居化したものだけど、これは往年の(20数年前の)『ザ・森高』ツアーの時に実際に行われた様子を収録したものらしい。寸劇が終わり、曲が始まると、スクリーンには往年('91年)のピンクと白の縞々模様のウェイトレス姿の森高の動画が映り、ステージセットの階段の最上段には同じウェイトレス姿になった今の森高が立ってる。今の森高と往年の森高を見比べられる、思い切った演出(苦笑)。今の森高は、昔の森高のように間奏部分で「赤巻き紙、青巻き紙、黄巻き紙〜」などの早口言葉に挑戦し、噛まずに完遂したので、観客から「オオ〜〜〜!」という声と拍手を集めた。昔のように銀色のお盆を持ったウェイトレス姿の森高、用が済んだらお盆を後ろの方にひょいと放り投げた(苦笑)。スクリーンには隊長と隊員が捕まり、ストレスの女神が出てくる部分の寸劇(往年の動画)も流されてた。この日のライヴのクライマックス・シーンともいえた“ザ・ストレス”が終わると、森高のデビュー曲の“NEW
SEASON”。ビックリしたのはほぼ一瞬のうちに、ウェイトレス姿から別の衣装に変わってたこと(苦笑)。30年前の曲を当時と同じフリ付きで歌い終えると、またもM.C.タイム。前のM.C.から歌った4曲を改めて紹介し、「やっぱり、“ザ・ストレス”は盛り上がりますよね」と、森高。そりゃそうだろう。もともと盛り上がる曲のうえに、あそこまで演出されりゃあ(笑)。自身のウェイトレス姿については、「“ザ・ストレス”の時には、ウェイトレスの格好じゃないと物足りない感じがして」と語る森高、「汗かいてるのは私だけですか? みなさん、汗かいてますか?」と観客に問う。そしたらステージ前の立ちっ放しの観客を中心に「オ〜ッ!」と声が上がる(苦笑)。「みなさん、もうあと、後半戦ですよ!」と森高が言うと、半ば御約束の反応「エ"エ"〜ッ!」を返す観客(苦笑)。森高が「後半、行きま〜す!」と宣言して始まった曲は、森高の歌詞世界の特殊性を当時の音楽シーンに大いに印象付けた“臭いものにはフタをしろ”。さらに、♪よし子〜の歌い出しで始まる、アルバム『非実力派宣言』収録の“その後の私”が続く。この曲ではイントロからコアなファンが往年のレスポンス♪woo〜hoo〜...と手拍子を入れる。濃ゆい世界だ(苦笑)。2018年の森高がフツウにライヴ演ったら絶対にこの曲は演らないと思うけど、この曲が聴けるのは再現ライヴならでは...といったところか。 「あと2曲です。体一緒に動かして、楽しみましょう!」と森高。ドラマーの叩き出すリズムに合わせて観客が手拍子してると、重なったギターとキーボードのフレーズは、“夜の煙突”! これまたアルバム『非実力派宣言』に収録された曲で、このアルバムに数曲参加してるカーネーションのカヴァーだ。パンキッシュな曲で、多くのファンがコーラス部分を合唱し、大いに盛り上がった。本編最後は、“GET
SMILE”。サビの始まりの部分の♪行くぞ〜!...では拳を突き上げてジャンプする森高の動きに合わせて、多くのファンが拳を突き上げジャンプする。曲が終わると観客に「ありがとうございました〜!」と御礼を言って、森高は一旦ステージを去った。
ファンの熱心な「千里コール」が場内に鳴り響く。ステージにまずバック・メンバーが登場し、演奏を開始すると、『ザ・森高』のジャケットの衣装に着替えた森高がセットの階段最上部に登場。1曲目は森高と昭和のメロディーメイカー・筒美京平がタッグを組んだ“八月の恋”。これが聴けるのも、再現ライヴならでは...と思ってたら、森高が「みなさ〜〜〜ん!」と観客に声をかける。ここで演奏された次の曲のキャロルのカヴァー“ファンキーモンキーベイビー”(アルバム『古今東西』収録)こそ、今の森高が演る意味の無い、再現ライヴならではの曲だった(笑)。曲が終わると、「アンコールありがとうございます」と御礼を言う森高。再現ライヴなのでアンコールがあることも最初から既定路線だけど、「分かってても、嬉しい」とのこと(笑)。去年の再現ライヴでは「似たような感じ」で作ったものだったけど、今回は当時のまんまに近い衣装とのこと。リハーサルの時に次の週の2公演分も含めた全衣装も並べたら、どの衣装もみなスパンコールが付いてて「こんなの着るのか。眩しい〜...と思った」と語って場内を笑わせた森高、さらに「実際に衣装合わせで来ちゃうと、似合っちゃうんですよ。こんな派手なの、一瞬『恥ずかしい』と思っちゃうんですけど、着てみると『これは私にしか似合わないな』」と続けて、ファンから喝采された(笑)。ここで、バンド紹介。まず、バンマス兼ギターが高橋諭一さん! 楽曲提供も含め、往年の森高サウンドを支えたひとり。ドラムは高尾俊行さん、キーボードは櫻井大介さん、ベースは横山雅史さん、そして、最後に女性ギタリストの鈴木マリアさんが紹介された。ひとりひとり紹介されるごとに大きな拍手が場内から送られる。ファンから「バンドの名前、教えて下さ〜い!」と乞われた森高、「バンドの名前はね、考えてないです」と答え、場内に笑いが響いた。ここで翌週のイヴェント『ザ・シングルズ』2
daysの話題になり、森高が「2日とも来るひと!〜」と挙手させたら、多くの手が上がってビックリ! みんな凄いなぁ〜(苦笑)。ここで森高、「最後に、もっともっと盛り上がって終わりたいと思います。“テリヤキ・バーガー”。聴いてください」と曲紹介。シングル発売されてないけど、ライヴで盛り上がる1曲“テリヤキ・バーガー”で大いに盛り上がった。エンディングで「ありがとうございました〜! ありがとうございます!」と観客に御礼を言い、森高は再びステージを去った。
場内にまたもや観客からのアンコール要求の手拍子と「千里」コールが鳴り響く。ステージにメンバーが登場し、セットの階段の一番上にギターを構えた森高が! 曲はさっき歌ったばかりの“臭いものにはフタをしろ”。違いは森高がギターを弾いてることと衣装(苦笑)。ここではメドレー方式で曲が披露されるようで、次は(これまたさっき披露済みの)“ザ・ミーハー”。最後は20数年前の『ザ・森高』のライヴの時には存在しなかった“ハエ男”(笑)。この“ハエ男”は観客に大ウケで、手拍子だけでなく、合唱になった(苦笑)。このメドレーは去年の『FNS歌謡祭』で演奏したものと一緒で、これが今回の『ザ・森高+』の『+』の部分だそうだ(笑)。ギターの演奏はリハーサルでは失敗してたけど、今演奏した本番はバッチリだったとのこと(苦笑)。衣装も『FNS歌謡祭』の時と同じだそうだ。また、森高はコンサートに行くのが好きでちょくちょくライヴに行ってるとのこと。そしたら、会場から「誰〜」と訊かれ、「ブルーノ・マーズも行ったし、エド・シーランも行った」と答えた森高。「ホントにホントにホントの最後の曲」と森高が言うと、場内から「エ"エ"〜〜〜ッ!」と御約束のリアクション(苦笑)。「楽しい時間はあっという間に過ぎてしまいます」と森高、「後半は、ホント、暑くて。倒れるんじゃないかと思ってなどと振り返りって場内の笑いを誘い、「後半の“夜の煙突”から“
GET
SMILE”にかけて、『演るんじゃなかった』と...」で場内大爆笑。「でも、みなさんからパワーをもらって全然大丈夫だったんですけど」とフォローした森高。「最後に、“この街”聴いて下さい!」と曲紹介。最後に“この街”を『ザ・森高』と同じヴァージョン...最初は静かに始まり、途中からフルバンド演奏になる...で披露。熱心なファンは♪woo〜hoo〜...と手拍子を入れ、大いに盛り上がった。間奏の熊本弁の語りもしっかり再現(笑)。曲が終わると「ホントにどうもありがとうございました」と観客に御礼を言いつつも、疲労から来るダメージも小さくないようで、「もう、脚が攣りそう」とボヤく森高(苦笑)、『ザ・シングルス』に来る客に向けて「来週、またお会いしましょう!」と声掛けし(苦笑)、ステージを去った。
往年の再現だけでなく、今だからこその趣向もプラスされた楽しいライヴ。バンドメンバーも往年の森高の音楽的ブレイン・高橋諭一さんが居たり...と、完璧な構成だった。
【SET LIST】...'18.5.18
昭和女子大学人見記念講堂
1. 彼女
2. 短い夏
3. ザ・勉強のうた
4. 青春
5. あるOLの青春〜A子の場合(森高コネクション)
6. ザ・ミーハー
7. 雨
8. ザ・のぞかないで
9. ザ・ストレス
10. NEW SEASON
11. 臭いものにはフタをしろ
12. その後の私(森高コネクション)
13. 夜の煙突
14. GET SMILE
(encore 1)
1. 八月の恋
2. ファンキーモンキーベイビー
3. テリヤキ・バーガー
(encore 2)
1. メドレー (臭いものにはフタをしろ〜ザ・ミーハー〜ハエ男)
2. この街