消えた『幻の名盤』を追って

File #1

QUARTERFLASH
クォーターフラッシュ『クォーターフラッシュ』
(1981年、国内盤 : ユニバーサル MVCG-18509)
1. Harden My Heart 2. Find Another Fool
3. Critical Tines 4. Valerie 5. Try To Make It True
6. Right Kind Of Love 7. Crushin' With The Duece
8. Love Should Be So Kind 9. Williams Avenue

 記念すべき第1回目は、私が洋楽にハマり出した頃に流行していた彼女たちを取り上げました。 リアルタイムで聴いたひとたちにとっては“ミスティ・ハート”の邦題でお馴染みの“Harden My Heart”のヒットでのみ今や語られる存在の彼女たち。このアルバム(CBSソニーから出てたアナログ盤には『ミッドナイト・フラッシュ』という邦題が付いていた)でのメンバーは
 Rindy Ross (vo. & saxophones)、Jack Charles (vo. & g.)、Marv Ross (g.)、Rich Gooch (b.)、Brian David Willis (ds.)、Rick DiGiallonardo (key)
...という、元・学校の教師だったというロス夫妻を中心にした6人組。彼女の音楽を語るうえで欠かせないのが、やはり、ヴォーカル兼サックスのリンディ・ロスの存在。ヴォーカルとサックス兼任ってのは、当時は勿論のこと、今でも斬新に映るバンド編成だよね。で、そのリンディの吹くサックスのもの悲しい調べのイントロで始まる“ミスティ・ハート”...今や“ハーデン・マイ・ハート”ですか...ヒットして当然の名曲。当時から大好きだったこの曲、「心を堅くして、あのひとと別れるわ」という別れ話そのまんまの歌詞の内容も当時中学生のガキだった私にも理解できました。
 それと対照的に、このアルバムから次にカットされた“Find Another Fool”(これまた当時は“ミッドナイト・ラヴァー”っていう立派な?邦題が付いてた)は当時の私には歌詞の内容が理解出来なかった(笑)。この曲、早い話が「ほかのバカを見つけろ」って歌でしょ? サビの部分で♪find another fool to love you〜って連呼されてるが、「アナタみたいなひとを愛してくれる、もうひとりのバカを捜しなさい」ってことは、「アナタみたいなひとを愛してた私もバカだった」って認めてるワケで(笑)、自分のことも「バカ」と切り捨ててしまうような女性心理がどうしても理解出来なかった、当時は(爆笑~!!!)。この曲の良さが解ったのは私が大学生になってからのことで(笑)、ある程度人生経験積まないとこの曲の良さって解らないのかと...(爆笑~!!!)。この“Find Another Fool”、クォーターフラッシュ随一のヘヴィー・ナンバーで、曲の終わりにはサックスが乱れ吹きされる激しい曲なんだけど、これも歌詞の内容から来てるのでしょう(笑)。今、私が彼女たちの曲の中から1曲選ぶとするなら、これだな(笑)。
 ま、シングル・ヒットした2曲は置いといて、アルバム全体のサウンドはサックスを武器にしたオーソドックスなロック。アメリカのバンドにしてはウェットで、アルバム・ジャケットどおりのイメージの楽曲が並びます。また、リンディのイメージが強いせいか、忘れられがちだけど、もうひとりのヴォーカリスト、ジャック・チャールズが歌う曲も2曲入ってるので、全編女性ヴォーカルものを期待しないように(笑)。
 この後、『Take Another Picture』(当時“ドリーム・ハート”という邦題がついた曲“Take Me To Heart”がヒット)、『Back Into Blue』の2枚をリリース後、『Geffen』を離れて『Epic』から1枚出した後、行方不明の彼女たち。今でもどこかアメリカの場末のクラブで演奏してるんじゃないかって思ってます。そもそも彼女たちのルーツもそこだし...。

※彼女たちのアルバム、国内盤はここで取り上げた『クォーターフラッシュ』とベスト盤の2枚だけしか生きてませんが、輸入盤では2ndと3rdも生きてるようです。カタログによると
『Take Another Picture』(Geffen 4011)
『Back Into Blue』(Geffen 24078)

(2000.7.9)

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