消えた『幻の名盤』を追って

File #5

EXPOSE-- What You Don't Know
エクスポゼ『恋のダンス・パラダイス』
(1989年、import : Arista ARCD-8532)
1. What You Don't Know 2. Stop, Listen, Look & Think
3. Tell Me Why 4. When I Looked At Him
5. Let Down Me Easy 6. Still Hung Up On You
7. Your Baby Never Looked Good In Blue
8. Now That I Found You
9. Love Don't Hurt (Until You Fall)
10. Don't It Hurt To Hurt Me 11. Walk Along With Me
12. What You Don't Know "In Effect Remix"
13. When I Looked At Him "Suave Mix"

 '80年代後期に登場し、全米チャートを席巻したダンス・ポップ・ユニット、エクスポゼの3人は、プロデューサーのLewis A.Martineeが仕掛けた完全な『お人形』さんたちだった。日本でいえば、つんくプロデュースのモーニング娘。みたいなモノ。
 そもそも、1stアルバム『エクスポジャー』がリリースされる前の、地元・マイアミでローカル・ヒットを飛ばしていた頃のエクスポゼは、みんなが知ってるエクスポゼのメンバーがひとりも居なかったらしい。マイアミでローカル・ヒットを飛ばして全米進出を企てたLewis A.Martinee、オリジナル・エクスポゼの面々では全米進出はムリと判断し、メンバー総入れ替えした結果選ばれたのが、Jeanette Jurado、Gioia Bruno、Ann Curless(↑上のジャケ写、左から順に)の3人だったワケ。こうしてようやく『みんなが知ってるエクスポゼ』のメンバーが揃い、マイアミでローカル・ヒットした曲でもって全米進出。'87年1月全米でCDリリースのデビュー作『エクスポジャー』からは“Come Go With Me”、“Let Me Be The One”など次々にヒットを飛ばした。当時、私の地元・富山のローカル洋楽番組『KNBポップス'87』のD.J.だった相本芳彦氏はこのエクスポゼのことを忌み嫌っており、常々「何でこんなのが売れるんでしょうね?」というのが口癖で、これが伝染したのか私も「エクスポゼって“Point Of No Return”って曲演ってるけど、“Point Of 脳足りん”にしたほうがイイですね」と言ったりしたものだった(笑)。当時、エクスポゼの所属レーベル『Arista』の日本での発売権がBMGビクターに移ったゴタゴタもあり、全米で売れた割にはプッシュのされ具合は弱く、“Seasons Change”が全米No. 1になったというのに、まったく話題にならなかった...。
 日本でエクスポセが売れたのはこの2ndアルバム。勿論、プロデュースはLewis A.Martinee。収録曲の殆ども彼が手掛けており、他に売れっ子ソングライターのDiane Warrenの名も見える(“
Your Baby Never Looked Good In Blue”)。このアルバムからの先行シングル“What You Don't Know”(邦題は“恋のダンス・パラダイス”)はエクスポゼの3人も出演する缶チュウハイか何かのCMで使われたと記憶する。浜辺で白いドレスを着た3人の姿を思い出すひとも多いのでは。私はこの曲が好きでねェ〜...(笑)。当時エンドレスにしてよく聴いたものです(笑)。♪What you don't know might hurt you〜(笑)。
 この大プッシュが功を奏し、日本でようやく売れたエクスポゼ。全米ではデビュー作ほどは売れなかったけど、“What You Don't Know”、“
Tell Me Why”、“When I Looked At Him”、“Your Baby Never Looked Good In Blue”がヒットしました。
 エクスポゼっていうと、ダンス・ユニットっていうイメージがあるけど、曲全部がダンス・ソングじゃなくて、“When I Looked At Him”、“Your Baby Never Looked Good In Blue”みたいなバラードも収録されてます。そもそも前のアルバムからの全米No. 1ヒットの
“Seasons Change”もバラードだったし。3人のメンバーがそれぞれリード・ヴォーカルをとって、ヴァラエティーにも富んでるし、ダンス・ソングとバラードのバランスが取れたよいアルバムだと思いますよ、この2ndは(デビュー作はダンスに寄り過ぎ)。
 で、このまま順調に活動を続ければよかったのに、プロデュース仕掛けのユニットの『悪い癖』が出て、メンバー・チェンジが勃発! 一番リード・ヴォーカルを担当してた
Gioia Brunoを追い出して新メンバーを補充、'92年に3rd『エクスポゼ』をリリースしたものの見事に大コケ!!! Lewis A.Martineeにしてみれば「俺が仕切ってるうちはメンバーが誰でもいい」とでも思ってたんだろうけど。
 3人のメンバーのうち、
Gioia Brunoが一番好きだった私は、3rd『エクスポゼ』のジャケットをレコ屋の店頭で見た時、身が凍ったもんな。「Gioia が居ない!」って(苦笑)。それ以来、私のなかではエクスポゼはどーでもいい存在になり下がりました。みんな私のように感じたみたいですね、日本でもアメリカでも3rd『エクスポゼ』が売れなかった理由は(笑)。
 これ以後、エクスポゼはオリジナル・アルバムを出してません。'95年リリースの『Greatest Hits』のジャケ写にはGioia が写っており、もしかしたらLewis A.Martineeが呼び戻したのかもしれないけど、1995年ともなると『あの3人』に戻っても時すでに遅し! 誰も見向きもしないという...(笑)。バリバリの仕掛人プロデューサーが策に溺れた結果...たった一度の過ちの結果...がコレという...(笑)。ポップ・ミュージック・シーンは怖いところですね...。

Expose Discography
『Exposure』('87, Arista 8441)
『What You Don't Know』('89, Arista 8532)
『Expose』('92, Arista 18577)
『Greatest Hits』('95, Arista 18773)
『Master Hits』('99, Arista 19095)

(2000.9.24)

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