消えた『幻の名盤』を追って

File #15

森高千里-- ミーハー
(1988年、日本盤: ワーナー WPCL-503)
1. オーバーヒート・ナイト 2. YOKOHAMA ONE NIGHT
3. GOOD-BYE SEASON 4. CAN'T SAY GOOD-BYE
5. PI-A-NO 6. 47HARD NIGHTS 7. WEEKEND BLUE
8. KISS THE NIGHT 9. ミーハー 10. GET SMILE

 森高千里のことを初めて知ったのは、私が信州大学に入学した1988年の秋のこと。信大松本キャンパスの学園祭『銀嶺祭』の『雪まちコンサート』にやってくるってことで、キャンパス内は勿論のこと、松本市内至るところにも↑この↑ジャケットと同じフォト・セッションで撮影されたと思われる赤いポスターが貼られていたから、興味が無くても彼女の名前と顔が自然とアタマに入ってきた。'88年当時の森高千里は、後の大ブレイクのことを考えると笑ってしまうほど知名度が無く、一部のアイドル・マニアのみに信仰される(笑)『B級アイドル』のひとりに過ぎなかった。大祭実行委員たちもコンサートに呼んだからには、きっちりチケットさばかなければならないから「森高千里って、『ポカリスエット』のCMで糸井重里の隣にいた女のコです!!!」って盛んに宣伝してたけど、ウラを返せばそういう説明が無いと「森高千里って、誰???」って思われてしまう存在だったワケ。1969年4月11日生まれの森高千里は、私と同学年にあたり、したがって大学のなかにも「森高千里と同級生だった!!!」と自慢する熊本出身のヤツが居たりして、そういう環境にいるとやっぱり彼女に対する興味が沸いてくる。で、結局当時は「ライヴは観ない主義」を貫いてたので、この『雪まちコンサート』には出掛けなかったけどね(笑)。
 そんな森高千里の『雪まちコンサート』開催時点での最新作がこの『ミーハー』(ライヴのほんの少し後の11月17日に3rd『見て』がリリースされた)。発売日は1988年3月25日。私が初めて買った森高の作品は3rdの『見て』で、これは発売直後に購入。そこから遡る形で次に購入したのがこの2ndアルバム。実は私は、この作品こそ音楽的な意味での森高千里の最高傑作だと思っています。後に大ブレイクを果たし、誰の口からも話題にのぼるようになる『現象としての森高』を考えると別の作品の名前が最高傑作として挙がるだろうけどネ。
 森高千里の曲というと、全盛期は過剰なくらいの打ち込みサウンドで今の耳で聴くとかなりチープな印象を受けるけど、この作品ではそこまで打ち込みは使っていなくて、今の耳でも聴くに耐えうるサウンドしてる。とは言うものの、ちょっときらびやかな感は否めないけどね、やっぱり...(苦笑)。
 このアルバムはなにしろ曲がイイっすよ!!! “オーバーヒート・ナイト”や“GET SMILE”などのシングル曲は勿論のこと、他にも名曲めじろおし!!! 横浜市も御当地ソングとしてプッシュすべきだった“YOKOHAMA ONE NIGHT”、バックトラックの跳ねる感じがよい“GOOD-BYE SEASON”、ボサノヴァ調でオトナの魅力満載の“PI-A-NO”、サビの♪the empty day〜のリフレインが耳に残る“47HARD NIGHTS”、そして、♪映画の予定〜キャンセルになあった〜(爆笑〜!!!)の“WEEKEND BLUE”...いい曲だらけじゃないですか!!! そして、何といっても森高本人が初めて作詞に挑戦した“ミーハー”。♪お嬢様じゃないの〜わたし、た・だ・のミーハー〜...この曲の作詞のインパクトがこの後の森高の進路を定めたのは言うまでもありません(笑)。
 この当時の私は声域が高かったこともあり、このアルバムの曲をよく歌ってました(笑)。森高と同じキィで(笑)。今では声域落ちたのでもうムリだけど(苦笑)。この『ミーハー』収録曲はけっこうカラオケに入ってますが、後にリリースされた『森高ランド』のアレンジ・ヴァージョンだらけなので、こちらの『ミーハー』で聴けるアレンジに馴染んだ私には抵抗大きくて絶対歌わないけどネ!!!
 まだまだ人気はこれから...という駆け出しアイドルを売り出そうと、スタッフが必死になっていい曲集めてきて、アイドルもスタッフの熱意に応えようと一所懸命歌う...そういったケナゲさがしっかり収録されてる。あ、そうそう、『現象』後の森高って歌いかたにミョーなクセがついてくるようになるんだけど、個人的にはアレはあんまり好きじゃない。ここで聴かれる森高の歌は確かに『硬い』感じがするけど、ミョーにこなれてギョーカイずれしてるよりはウブな感じがしてイイよねぇ?(笑)

(2001.11.23)

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