File #17
CHARLIE
SEXTON-- Pictures For Pleasure
チャーリー・セクストン『ピクチャーズ・フォー・プレジャー』
(1985年、import
: MCA MCAD-31163)
1. Impressed 2. Beats So Lonely 3. Restless 4. Hold
Me
5. Pictures For Pleasure 6. Tell Me 7. Attractions
8. You Don't Belong Here 9. Space
今年の3月に行われたボブ・ディランのジャパン・ツアーにバック・バンドのギタリストとして参加、みんなを驚かせてたのが『チャリ坊』こと、チャーリー・セクストン!!! 今ではすっかり話題にのぼらなくなってしまったけど、『チャリ坊』がデビューした1985年には「弱冠16歳の天才ギタリスト登場!」とシーンの話題をさらったものだった。アメリカ・テキサスのオースティン出身でジミー・ヴォーンやスティーヴィー・レイ・ヴォーンからの影響を受けた『チャリ坊』は、ドン・ヘンリーあたりからも実力を認められ、その後ろ楯があってデビューした実力派ギタリストだった。なのに、ここ日本では甘いルックスが『ミュージック・ライフ』あたりのミーハー音楽誌で大々的に取り上げられ、すっかりアイドル扱いされてしまい、'80年代中頃の少女たちの憧れの的になってしまったのだった...。そこでチャーリーに与えられたアダ名が『チャリ坊』(笑)。『チャリ坊』がアイドル扱いされたのは日本だけかと思ったら、世界じゅうそうだったようだ(笑)。この文章書くために『チャリ坊』の情報検索かけたらこんな文章に突き当たった。原文は勿論、英文。「デュラン・デュランの服装したジェイムズ・ディーンが、ブライアン・フェリーのような声で歌う」(笑)。これ、なかなか面白い表現だと思うけど(笑)。ということで、実力派ギタリストとしてデビューしたハズなのに、すっかり『MTV世代』のアイドルになってしまった『チャリ坊』のデビュー・アルバムがコレ。
『チャリ坊』っていうと、デビュー・シングルの“Beats
So Lonely”の印象が強烈。その他“Impressed”などもヒットしたけど、ヴォーカルは「ブライアン・フェリーのような声」とは言わないけど、16のガキの声には聴こえないよねえ、確かに。で、この『衝撃的デビュー作』を今の耳で聴いてみると、ギターの腕前買われてデビューした割には全体的にシンセの音がうるさすぎる。'80年代のサウンド・プロダクションの悪いクセで、必要以上にシンセのブ厚い壁を作ってしまっるんだよね。当時は何とも思わなかったけど、今の耳で聴くとシンセ無しの状態で、ジックリと『チャリ坊』の歌とギター・プレイに耳を傾けてみたいなあ。
この後、『チャリ坊』は1989年に2ndアルバム『ドント・ルック・バック』(『Charlie
Sexton』)をリリース。この2ndアルバムのリリース時に音楽雑誌『BURRN!』の名物編集長だった酒井 康氏はアルバム・レヴューでこう書いている。「“チャリ坊”と呼ばれたのが、この男の悲劇の始まり。コーリューブンゲンもわからない女性音楽評論家や編集者連中の手でアイドル化され、売れなければポイ…よくある話の主人公になってしまった。」(『BURRN!』'89年2月号より) 氏が指摘してるとおり、もうこの時点でシーンから見放された感のあった『チャリ坊』、'92年にはバンド、アーク・エンジェルズを結成。「昔の夢よ、もう一度」とばかりに今は亡き音楽雑誌『POP
GEAR』が表紙にしたりして大プッシュしたが大コケ! 雑誌じたいも廃刊へ(笑)。アーク・エンジェルズ解散後は'95年にチャーリー・セクストン・シクステットというブルース指向のバンドを組んで、アルバム『アンダー・ザ・ウィッシング・トゥリー』をリリースしたけどこれも長続きせず、今はセッション・ギタリストとして活躍中。最近では、Double
Trouble のアルバム『Been A Long
Time』に参加してる。プロのミュージシャンとしてのキャリアは16年と長いけど、『チャリ坊』まだ32歳!!! まだまだこれからだよね。
ボブ・ディランのバック・バンドの一員として日本の地を踏んだこと、当時のミーハー姉チャンども、ちゃんと知ってるのかねェ〜...(笑)
(2001.4.15・記/2001.12.31・公開)