File #19
JOHN
FOGERTY-- Centerfield
ジョン・フォガティ『センターフィールド』
(1985年、import
: DreamWorks 450306)
1. The Old Man Down The Road 2. Rock And Roll Girls
3. Big Train (From Menphis) 4. I Saw It On T. V.
5. Mr. Greed 6. Searchlight 7. Centerfield
8. I Can't Help Myself 9. Vanz Rant Danz
1980年代の中頃といえば、マイケル・ジャクソンやデュラン・デュラン、マドンナに代表されるように、『MTV』でプロモーション・ヴィデオがヘヴィー・ローテーションでオン・エアされるようなヴィジュアル面重視のバンドがシーンを席巻してた。今でも、雑誌で'80年代洋楽特集を組む時、これらのアーティストやワム!やa〜haなどが名を列ねる。そんなプロモーション・ヴィデオ全盛/ヴィジュアル面重視の新世代アーティストが台頭してた'80年代の中頃に、それらの旬のアーティストを蹴散らし、全米チャート(『Billboard』のアルバム・チャート)で1位を獲得した旧世代代表がこのジョン・フォガティのアルバム『センターフィールド』。
ジョン・フォガティといえば、'60年代末から'70年代初頭にかけてクリーデンス・クリアウォーター・リバイバル(C.
C.
R.)のリード・ヴォーカリスト/ギタリスト/メイン・ソングライターとして一世を風靡したアーティスト。C.
C.
R.解散後しばらくしてからソロ活動に入ったものの、セルフ・タイトルのソロ第1弾を'75年にリリースした後は長らく活動を停止。この『センターフィールド』は10年振りのアルバムで、C.
C. R.の偉大さを知るひとたちの間では「復帰作」扱いされていた。C. C.
R.の偉大さを知らなかった私(当時、高校1年生)は、この一部の(オッサンたちの...笑)盛り上がりぶりに興味を持ちつつも、この『センターフィールド』からシングル・カットされた“The
Old Man Down The Road”と“Rock And Roll
Girls”の2曲が純粋にカッコイイ!と思い、ジョン・フォガティの音楽が気に入った。だけど、周りでは全然ジョン・フォガティのことは話題にならなかったし、このアルバムもNo.
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になったアメリカでの盛り上がりと裏腹に、日本ではさほど売れなかった(苦笑)。デュラン・デュランやカルチャー・クラブに夢中な新世代音楽ファンがジョン・フォガティのようなオッサンに見向きもしないのは仕方ないにしても(笑)、C.
C. R.の“Have
You Ever Seen The
Rain?”(邦題は“雨を見たかい”)を名曲と崇める'70年代ポップス・ファンはどこに行っちゃったのだろうか?(笑)
今回、この記事をUPするに当たって、随分久しぶり(おそらく、大学時代以来)にこのアルバムを聴いた。リアルタイムに聴いた高校生時代から今までの間に、C.
C. R.時代のジョンの曲も聴いたけど、声の印象が随分違う。C.
C. R.時代のほうがオッサン臭くてミョーに力んだ歌声してたけど、『センターフィールド』では随分フニャフニャでカン高くなってる。まるでニール・ヤング(笑)。ま、ニールほど極端では無いケド(苦笑)。
収録曲をみると、ヒット・シングルだった“The Old Man Down The
Road”はいかにもアーシーなアメリカン・ロック。“Rock And Roll
Girls”はアーシーでありつつも、ミョーに陽気でポップな曲で、良くも悪くも'80年代の時代の空気を伝えてるなぁ(苦笑)。この曲でジョンが聴かせるファルセットがヨーデルみたいに耳に響くのも、脳天気に聞こえる要因(苦笑)。“Big
Train (From Menphis)”はジョン・デンヴァーっぽいカントリー・ソング。“I
Saw It On T. V.”は、C.
C. R.時代の名曲“Have
You Ever Seen The
Rain?”を思わせる曲だけど、C.
C. R.時代のようにきばった歌唱は聴かせてない(笑)。“Mr.
Greed”は一番C. C.
R.時代のジョンのパフォーマンスに近いかも。ミョーに力みながら歌ってる(笑)。“Searchlight”はブルージーな曲。この2年後にロス・ロボスがヒットさせる“La
Bamba”みたいなギターのイントロで始まるアルバム・タイトル・チューン“Centerfield”も、当時アメリカでシングルになったポップな曲。この曲もシンプルで好きだなぁ。“I
Can't Help
Myself”も“Centerfield”同じくポップな曲。シンセ類が耳障りで、ちょっと不思議な感じのする“Vanz
Rant Danz”でこのアルバムは幕を閉じる。
このアルバムの翌年に次のアルバム『アイ・オブ・ザ・ゾンビー』をリリースするものの、アルバム・ジャケットが『Rolling
Stones』誌で『'86ワースト・アルバム・ジャケット』に選ばれたことくらいしか話題にならず(笑)、『センターフィールド』ほどのヒットは記録できなかったためか、またもやジョンはシーンから姿をくらませてしまった。ジョンが次にシーンに浮上したのは、『センターフィールド』から数えて12年後の1997年にリリースした『ブルー・ムーン・スワンプ』で。この時は、また「久しぶりのカムバック」ということもあり、(主にアメリカ中心に)グラミー賞を獲るほどの歓迎を受けた。この後、また活動が停滞気味だけど...また、2008年くらいにシーンに「久しぶりのカムバック」を遂げ、大歓迎のうちに迎えられるんじゃないの?(笑)
John Fogerty Discography
Creedence Clearwater Revival (C. C. R.)時代は割愛。
●Blue Ridge Rangers
『Blue Ridge Rangers』1973
●John Fogerty
『John Fogerty』1975
『Centerfield』1985
『Eye Of The Zombie』1986
『Blue Moon Swamp』1997
『Premonition』(live)1998
(2002.7.7)