File #21
EDIE
BRICKELL & NEW BOHEMIANS-- Shooting Rubberbands At
The Stars
エディ・ブリケル&ニュー・ボヘミアンズ『星に輪ゴムを』
(1988年、import
: Geffen 9 24192-2)
1. What I Am 2. Little Miss S. 3. Air Of December
4. The Wheel 5. Love Like We Do 6. Circle
7. Beat The Time 8. She 9. Nothing 10. Now
11. Keep Coming Back
もし、「あなたが好きなアルバムタイトルをひとつだけ挙げて下さい」って訊かれたら、あなたはどのアルバムのタイトルを挙げるでしょうか? 私なら、このアルバムのタイトルを口にすることでしょう。『Shooting Rubberbands At The Stars』。
このタイトルを日本語に訳したら「星に向けて輪ゴムを撃ったら」といった感じになるでしょうか。「星に向けて輪ゴムを撃ったら...もしかしたら当たるかもしれない」という意味が隠された(?)タイトルのこのアルバムがリリースされたのは1988年末のこと。翌1989年の年明けにかけてシングル“What
I Am”が、全米シングル・チャート『Billboard HOT 100』のTOP 10
にランクインするくらいの大ヒットを記録し、アルバムも全米で100万枚を売り上げた。あっという間にスターの仲間入りしたエディたちだけど、このアルバムがリリースされたときのインタヴューでは、「私たちメンバー全員で『ニュー・ボヘミアンズ』だったのに、レコード会社に勝手に『エディ・ブリケル&ニュー・ボヘミアンズ』にされちゃったのよ!」とエディはかなり御立腹のようだった。エディが恐れたとおり世間は『エディとバック・バンド』という捉えかたをする。アルバムのブックレットにもエディの写真ばっかり載っていて、メンバー・ショットは1枚のみ。私も、ニュー・ボヘミアンズのメンバーの名前も知らないし、顔も知りません(爆笑〜!!!)。もともとニュー・ボヘミアンズのメンバーがバーかクラブで演奏してる時にステージへ飛び入りして歌ったのが縁で、エディはニュー・ボヘミアンズ入りしたそうだから、『エディ・ブリケル&ニュー・ボヘミアンズ』という名称もあながち間違いじゃなんじゃないの?(苦笑)
ずっと一部の好事家だけのモノだった「カレージ・チャートもの」が、R.
E.
M.の'87年リリース作『ドキュメント』の大ブレイクによって、メインストリームにも影響を及ぼすようになっていく。この流れはR.
E. M.がインディーズからメジャーの『Warner
Bros.』へ移籍したことで決定的となり、「カレージ・チャートもの」がじゃんじゃん「表舞台」に躍り出るようになり、これが1991年の「オルタナ・エクスプロージョン」へとつながってくワケですが、このエディ・ブリケル&ニュー・ボヘミアンズも、「カレージ・チャートもの」が市民権を得るのに大いに協力したバンドのひとつと言えるでしょう。
この頃、同じようにカレッジ・チャートの支持を集めたバンドに、10,000マニアックス、カウボーイ・ジャンキーズ、UKモノだけどザ・サンデイズなどが居て、これら全て女性ヴォーカリストがフロントに立てたバンドだったため何かと比較されたけど、サウンド的にも実に共通点が多かったりする(苦笑)。10,000マニアックス、カウボーイ・ジャンキーズとは「女声版R.
E.
M.」といえるようなほのかに土の匂いが漂う土着的部分が共通してたし、ザ・サンデイズとはヴォーカルの清涼感が共通してた...と思う。ま、このアルバムで聴かれる音は、大衆性もあって土の匂いもほのかに香るフォークっぽい女性ヴォーカルもののギター・ポップですね。私の好みの順から言えば、ザ・サンデイズは別格として(笑)、エディ・ブリケル&ニュー・ボヘミアンズ>10,000マニアックス>カウボーイ・ジャンキーズだったな(笑)。やっぱり“What
I Am”は名曲ッスよ!
このデビュー・アルバムの大ヒットを受けて、翌年(1990年)末に2ndアルバム『ゴースト・オブ・ア・ドッグ』をリリース。私はこの2ndアルバムも1stと同じくらい好きだったんだけど、商業的には大コケしてしまい、バンドは解散! この後1992年に、エディはなんとまあ、あのポール・サイモンと結婚!!! ポール・サイモンとは、元サイモン&ガーファンクルの超有名なあの人です。そのポール・サイモンの強力バック・アップを得て、1stソロアルバム『ピクチャー・パーフェクト・モーニング』をリリース。シングル・カットされた“Good
Times”など、このアルバムもなかなかの名曲揃いだったんだけど、この後ポール・サイモンと子供たちとの家庭を大事にしてるのか、エディの作品は出てません。全くの音沙汰無しッス...。
「星に向けて輪ゴムを撃ったら?...当るワケないけど、当たったら面白いなぁ〜」と言うひとは好きですが、「星に向けて輪ゴムを撃ったら?...当たるどころか100 m も飛ばないうちに失速するよ。んなことも解らないのかよ〜! バカかオマエは!」と言うひとは苦手です。ロマンの無いヤツは嫌いだ!(爆笑〜!!!)
Edie Brickell Discography
●Edie Brickell & New Bohemians
『Shooting Rubberbands At The Stars』(1988)
『Ghost Of A Dog』(1990)
●Edie Brickell
『Picture Perfect Morning』(1994)
(2003.2.10/2.11)