2004年なんでもTOP10

−2004年 コンサート・美術展 TOP10−

by Sweeperさん

1位 スアールアグン 東京サントリーホールにて (8月6日)
*ヤン・ガルバレク
*古謝美佐子 唄会コンサート 世田谷パブリックシアターにて (4月4日)
*鈴木裕子ピアノリサイタル、ブラジル・クラシック音楽へのお誘い 世田谷美術館講堂にて(5月16日)
*宮本隆司 写真展 を見る 東京・世田谷美術館にて
*エミール・ノルデ 展 東京庭園美術館にて
*明和電機 ナンセンス=マシーンズ展 東京初台ICCにて
*マチス展 東京国立西洋美術館にて
*ピカソ展 躰とエロス パリ国立ピカソ美術館蔵 東京都現代美術館にて
*日本近代洋画への道 展 山岡コレクションを中心に 目黒美術館にて

(1位以外は順位なし)

コンサートと美術展を一緒にしてしまうのは強引かもしれないけど「イベント」ということで集めてみました。
コメントは当時聞いたときの私の日記WEB文章を加筆校正したものです。

1位 スアールアグン 東京サントリーホールにて (8月6日)
サントリーホールの舞台裏席(A席)は考えもするとS席より安くて(1000円の差額)お得だ。
何しろすぐ近く(裏手の真上)の席は正面席より息使いが伝わってくる。とにかくこれはライブでないとその音振動は伝えられない。リズムの恍惚感に浸れる時間だった。ベース部分を大きな竹で鳴らしそれがメロディの下地になりその上でポリリズムなメロディが乗ってくる。個々のプレーヤーは結構シンプルなことをやっているのだけどアンサンブルになるとウネリまくるまさにマジックだ。よーく聴いていると人間が出すリズムなので(良い意味でいい加減と言うべきか)揺れる感じが独特の揺れになってくる。 これは出来ればオールスタンディングで踊りながら聴きたかった。
 究極のダンスミュージックだ。舞踊の女性2人のスタイリッシュな踊りは指の動き、手の平の返し方、肩の振るわせ方、膝の曲げ方、の仕方すごくよく、あれにはまる人達の気持ちがわかる、かっこいい!

*ヤン・ガルバレク
すみだトリフォニーホールにてメンバー凄いんだけど。。。かみ合っていないんだよね。
結論からいうと、ガルバレクはE・ウェイバーとのドュオでもよかったのではないか? この晩のコンサートでのこの二人の部分でのインタープレイがより強いものを感じたのは私だけではないはずだ。勿論聴けて満足はしているんだけど、煮えきれないものが残った。パーカッションのマリリン・マズール、シンバルがいっぱいあるので嫌な予感がしたけどバンバン鳴らしていた、ウルサイというかちょっと全体のバランスの邪魔している感じすらした。
キーボードのブリューネンハウス、昔よく聴いたんだけどなあ、何故かサポートメンバー的な演奏に終始していてつまらない。ヤン・ガルバレクは正確なピッチでロウロウと吹きまくる。曲が組曲風でどれも長い、どれも組曲風なので少々疲れてくる。
とはいえ、ヤン・ガルバレクそのものはやはり聞けてよかったなあ、という気持ちはつよいのだけど。

*古謝美佐子 唄会コンサート 世田谷パブリックシアターにて (4月4日)
途中休憩を入れても3時間超のステージは長く感じさせない充実の素晴らしい唄会だった。唄だけで泣かせる、ぐっとくる、じーんとくるという体験は久し振りだった。曲は切々とした曲が多いのに曲が終わるとアッケラカンとした古謝美佐子-佐原一哉(キーボード担当)の夫婦漫談のような会話が笑えた。沖縄・琉球の言葉、言いまわしはかなりヤマトンチュにはわかり難い、けど言葉を超えた表現に会場にいた人達みんな酔いしれたのではないだろうか? 事実、5時から始まって8時半過ぎて公演が終わって帰っていく人達(若い人からお歳を召した方まで)にはみんな至福な表情があった。ケルトの曲を2曲演奏したけど、意外と接点を見出せるような気がした。夏川みり、桑江知子といった応援ゲストもあり楽しかった。

*鈴木裕子ピアノリサイタル、ブラジル・クラシック音楽へのお誘い 世田谷美術館講堂にて(5月16日)
ブラジル・クラシック音楽へのお誘い、というのが無料券があったので聞きに行く。
ブラジルのクラシック音楽というにはこれまでスポットがそれ程当てられることが無かったと思うのだけど、ピアノで聞けるという事で興味が沸いた次第。19世紀から20世紀の作曲家が何人もいて世界的にも注目されている人達がいるようだ、不勉強にて今まで名前すら知らなかった。 今回聞いてみて(といっても数曲だけど)かなりモダンで論理的で(調性もかなり変わる)、リズムの豊富な構成、フォークを基にしたメロディなど、かなり聞きこみたくなる曲ばかりで、あらためて世界で語られる音楽の豊富さを実感した。

*宮本隆司 写真展 を見る 東京・世田谷美術館にて
入り口には1995KOBEの生々しい崩壊瓦礫化した神戸の大きな写真がある。テーマにもよるけど、この写真展の出品作品は殆どが白黒だ。九龍城砦の写真もなかなか興味深い。今存在していれば世界遺産(負の遺産かもしれないけど)なのだろうけどそれが許されない混沌さがあったのでしょう、行ってみたかったなあ。ダンボールの家というテーマでは写真がダンボールがある視点、足元の位置で展示されてその展示も一つのコンセプトである事を気づかせてくれる、逆に頭の位置の展示だったら面白いと思ったりしたが。。。
アンコール(ワット)の写真は寺院が自然のものに壊されていく淘汰されていく、自然の力強さと建築物のはかなさが同居するものをカラー写真で表現されている。

*エミール・ノルデ 展 東京庭園美術館にて
ノルデというのは「北」という意味だけど、やはり出身がノルデ地方なのでそう名乗っているようだ(つまり本名ではない)。 水彩でにじんだ淡さが曖昧な表現にならず緊張感すら感じる。 ややデフォルメされた花や顔や雲はシャープな形だったりする。ダンスを描いたものは崩した描写にも関わらず今にも踊りだしそうな躍動感がある。女性を描いたものが多いように思ってきただけにこの画家の多面的な作風も紹介されて興味深いところだった。

*明和電機 ナンセンス=マシーンズ展 東京初台ICCにて
音楽はしっかりとしたテクノ(しかも全部「楽器」からの発音であるのがミソ)であるけどなかなかPOPだ。
図面、デッサンも展示されていて興味深かった。 「楽器」が実際に体験できて「ゴムベース」や「パチモク」を鳴らせて楽しい。こういう展示を見ると普段は、単なる冗談にしか見聞きされない・認識されない、この明和電機に強い情熱を感じてしまった。POP、テクノ、アート、ギャグとかいうのを超えてしまっていて「そのどれでもない」バランスの取れたというより見事に混合した存在であると認識せざろうを得ない。この明和電機はいわゆるサブカルチャーとしてとらえられがちだけど後々に「21世紀の平賀源内」と言われるかもしれない。。。エレキテル クダラナイモノグッズが展示入り口付近にも商品としてあって、もう少しで「117プッシュの腕時計」を買いそうになったくらいだ。

*マチス展 東京国立西洋美術館にて
ヴァリエーション、同じ題材に対して違うアプローチをしていく姿勢、具体的な形をしているものから抽象的な形のもの。 この崩し方がいい。 題材をとらえてさえいれば結果にこだわらないのがいい(まあ、マチスはこだわったのだろうけど)。下手ウマな絵は実は精緻に書かれたデッサンを基にしたものであったり描き直していたりという推敲がされているのが興味深い。とくにそれらを並べてている彫像「ジャネットI〜V」はまるで「壊れていくジャネット」的で素人が観ても純粋に楽しめてしまう。なかなかこういう過程で捉えた展示が今までそれほどなかった企画だけに面白かった。原画を観る楽しみとしては、赤と黒ブチのコントラストが写真なんかでは決して出色できないものだった

*ピカソ展 躰とエロス パリ国立ピカソ美術館蔵 東京都現代美術館にて
今まで見れなかったタイプのピカソがある。ピカソを知った気になっていた訳でもないけど見た事のが無い作風があった。いつもの事ながらデフォルメされた人物をみて、どこが目でどこが鼻で、とかいうことを追うことが意味をなさなくなる。ピカソの絵画はパワフルだ。

*日本近代洋画への道 展 山岡コレクションを中心に 目黒美術館にて
高橋由一の有名な「鮭図」、これは実は板に描かれているとはこの現物を見るまで知らなかった!
この板の木目を利用した絵画は他にもあってそれは興味深いものだった。
同じく高橋由一の「鯛図」もとれたてと思われる魚は、やはり写真やTVでは堪能できないものだと思う。
五姓田義松の「人形の着物」では老婆と少女の表情ががいくつも物語を持っているのが秀逸だった。
司馬江漢といった日本の近代洋画の先駆けのものも展示されていて、そういう歴史的なものへの興味も抱かせてくれるナイスな企画展だった。

(received '05.1.9)

Sweeperさんのプロフィール...ウクレレ前田さんのサイト『ぷりみてぃぶポップ』の掲示板の常連さんで、4年続けて『なんでもTOP10』に参加いただきました。どうもありがとう!

 

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