2004年なんでもTOP10

−2004年 書籍 TOP10−

by Sweeperさん

1位 『スケアクロウ ICE STATION Vol.1-3』マシュー・ライリー 著 泊山 梁 訳 ランダムハウス講談社
*『なぜ宗教は平和をさまたげるのか〜「正義」と「大義」の名の下で』町田宗鳳 著 講談社文庫
*『四十歳を過ぎてからの人生を簡単にする99のコーチング』吉田典生  著 講談社
*『フューチャー・イズ・ワイルド(The Future Is Wild)』D・ディクソン&J・アダムス ダイアモンド社
*『巨大化するアメリカの経済』エリック・シュローサー 著  宇丹貴代 訳
*『おい、ブッシュ、世界を返せ!』マイケル・ムーア 著 黒原敏行 訳 アーチストハウス
*『なぜ安アパートに住んでポルシェに乗るのか』辰巳 渚 著 光文社
*『日本マスコミ「臆病」の構図 なぜ真実が書けないのか?』
ベンジャミン・ミルフォード 著 宝島社
*『アポロってほんとうに月に行ったの?』芳賀正光 著 朝日新聞社
*『ビジネスマンのためのドーピング・ガイド』
加藤三千尋 著 インプレス

(1位以外は順位なし)

2004年は基本的に小説が読めなかった。 映画にどっぷりはまってしまっていたせいか、文章を読んでイマジネーションが沸いてこないというか背景を想起する能力が低かったからだ。 そんなせいか、評論モノなんかが多くなってしまった。 そんな中で唯一フィクションでハマッタのがスケアクロウ ICE STATION Vol.1-3だ。
コメントは当時読んだときの私の日記WEB文章を加筆校正したものです。

1位 『スケアクロウ ICE STATION Vol.1-3』
一気呵成に読み進めてしまった。映画のような展開!と思っていたら映画化されるそうだ。映画版は結構しょぼいかもしれないなあ。プレステの「メタルギア・ソリッド」に雰囲気が似ているとXファイルが好みの人であれば、かなり気に入ってしまうかも。要はロールプレイング的サバイバルの話なのだ。後半は少々アラっぽい筋書きになっている気もしたけど、謀略あり、裏切りあり、落とし穴あり、でどこに着地するか分らない物語進行に魅了されてしまった。 かなり軍関係のことや兵器について詳しくないとここまで書き込めないはずだけどまだ20代の著者はそういった記述で物語にリアリティと緊迫感を与えている。

*『なぜ宗教は平和をさまたげるのか〜「正義」と「大義」の名の下で』
平和、救済を目的とした宗教が結局は人類の争いの根源になっている、という前提で書かれている。 いろんな例証があり、それを読み進めていくだけでも勉強(特に不勉強な私には)になり、宗教が人類に何をもたらしたか?という問いかけになっている。宗教は隣人愛を説きながら一方では異教に対しては排他的であり、争いの果てに殺してしまうことも少なくない。 この本を読んだからといって全てが分るわけでは無いし、全て正しいという訳では無いでしょう、人によっては違うように考えることもあるかもしれない。 この本では、宗教はその大義が間違っているというより、それを運用・運営する、生まれつき闘争心をもった人類が、他の動物も見せるテリトリーを侵害されると歯を剥き出しにして他を威嚇する本能が、紛争や戦争に陥れていることだ。それは一部のテロリストや極端な発想のする仕業だ、と決めつけられるだろうか? そしてこの本の終りにこう問いかける、「宗教は人類を救い得るか?」。
 宗教を語っていながら、人間の本質にも触れている本です。

*『四十歳を過ぎてからの人生を簡単にする99のコーチング』
40歳を過ぎているではないけど、どういう内容なのか気になって読んでしまった。
タイトル通り、99の項目が2ページずつ、シンプルな言葉でかいてある。「迷った時、何に優先順位をつけていくのか?」 ということが根底にある内容。素通りで読んでしまいそうな内容だけど、これは読み返すと効果が出てきそうだ。
40歳以上の人でなくても勿論50歳の人でも20代〜30代も読んで損は無い。

*『フューチャー・イズ・ワイルド(The Future Is Wild)』
カバーの絵がなんとも刺激的だ、これが進化した魚だというのだから。500万年後、1億年後の地球だなんて想像できないのが普通。 この本は化学的な推論で地球の変動とそれに伴う生き物の進化をCGで描かれた絵でわかりやすくしかしかなり専門的な説明を交えて書かれている。恐竜より大きい亀?森を歩く巨大なイカ?船のように大きくなったクラゲ?4枚の翼を持つ鳥?500万年後や1億年後、人間のような生き物は登場しないらしい、いやそういう生物の登場は推論出来ないらしい。それは「猿の惑星」のような猿かもしれないし狩猟するタコ(は触れられている)かも知れない。この本を読むと人間は突然変異の生き物であるかのように思えてくる。人間そのものは進化するのだろうか?その事に関しては直接は触れてはいない。
人間は進化する前に絶滅してしまうのか? 地球の歴史で考えると人間という種の絶滅は、ほんの一瞬のことらしい。ダイナミックな地球の歴史・動物の進化と一個人の人生を比較するとはかなくなってくるというか途方に暮れる気持ちだ。この本はSUPER FUTUREのSFだ。

*『巨大化するアメリカの経済』
本の前書きのある「自由論者の主張がいかに善意に基ずいていようとも、ある集団に制限のない自由を与えることはほぼ例外なく別の集団の自由を否定することになる」という結論めいた文章をなぞるかのようにアメリカの歪みを検証していく。前にこの著者のもので読んだ「ファーストフードが世界を食い尽くす」でファーストフードのハンバーガーと決別した私にとって、マイケル・ムーア以外にもこういう歪みを声高に叫ぶ人が存在するところにまだアメリカの良心が存在することを認識させられる。
とはいえアメリカの建前と本音、体裁とだらしなさ、金持の際限無い搾取。ここで示された事実に本当に呆れるほどだ。

*『おい、ブッシュ、世界を返せ!』
・何故マスコミはサウジアラビア人が、でなく「テロリスト」が9.11テロを起こした、というのか? サウジに気兼ねでも?
・9.11テロとアフガニスタンのタリバンさらにイラクのサダム・フセインはどう関係あるのか?
・大量破壊兵器はどこに? かつてあったらしい、しかも欧米製のが!? それで大量にクルド人が虐殺された?
・「愛国者法」の中身は? ほとんどビッグブラザー法といってもいいかもしれない。
・倒産したエンロンとジョージ・W・ブッシュ政権との関係は?
またエンロンだけが悪者ではないことにも触れていて大企業幹部らのモラルの無さそれを見過ごす政府の無策にも飽きれてしまう。ジョージ・W・ブッシュが今年2004年に再選されたらこれはもうアメリカだけのことではなく、全世界に大きく影響することになる、勿論日本も(事実イラクに日本国民の総意が得られていないにも関わらず自衛隊が派遣されているし)他人事、他国事ではない。 ジョージ・W・ブッシュ政権の矛盾が分りやすく書いてあり笑いながら(でも内容は笑えない、あまりに愚弄した内容に怒りすら感じる)スラスラと読めてしまう。

*『なぜ安アパートに住んでポルシェに乗るのか』
ストレートなタイトル。著者はマーケティングの専門家の人らしくかなり分析的で一刀両断するような結論めいた事も言わない、というか結論なんかないのよ、という賢明な立場でこの本は書かれている。こういうことに通じているひとが読むとその結論が見えてこないことに業を煮やすかもしれないしそれほど通じていないひとにはかなり興味深い内容だったりする。

*『日本マスコミ「臆病」の構図 なぜ真実が書けないのか?』
英語の副題がJapan's Chicken Journalism (カナダ人にチキン呼ばわりだぜ!悔しくないのか日本のマスコミさん、少しは言い返してみろよ!って言いたくなるタイトル。。。) ちょっとまえにこの著者の本を読んで外国人でありながら日本のあらゆる体制に憂いているジャーナリストだという認識をしたのだけどこの本はさらに突っ込んだ内容で日本のマスコミ批判をしている。この本が宝島社から出ているように一般出版社からは恐らく出せない内容も書かれている。政治家の寄り合いの記者、大変な事実に目をつぶる記者、事実を曲げて報道するTV、捏造されている情報を知って報道する新聞。。。 事勿れ主義は日本人の気質・性格の一つであるけど報道だけはちゃんとされないと国民を誤った方向(イラクの三人の人質事件がそう)に導かれてしまうとても危うい状況に陥る、と著者は警告している。

*『アポロってほんとうに月に行ったの?』
なかなか挑戦的なタイトル。よくありがちな、常識を疑え!だけに終る内容ではなくて本当にこれだけ証拠があります、さあ皆さんどう思いますか?という内容だ。
かなり興味深かったせいでもあるし、私の好きな大きな陰謀的な内容も含まれていてイッキに(といっても結構薄い本で1時間で余裕で読みきってしまう)最後まで読んでしまった。この本に紹介されていた映画「カプリコン・ワン」という映画、とても見たくなった。あと改めてキューブリックの「2001年宇宙の旅」も見たくなった。。。

*『ビジネスマンのためのドーピング・ガイド』
昔勤務していた職場でいわゆる「オヤジドリンク」系のものを疲れたなあ、ということで飲む事を「ドーピングする」と言っていたことがる。「オヤジドリンク」には、オリンピックでの検査で下手するとひっかる成分が配合されているかもしれないかもしれないからマンザラでもないのだけど確かに体に効くような感じというか一種の暗示であったかのような気がしていた。この本は薬剤師の著者が実際に成分表からこれはこういう場面に効くということを一種科学的根拠を元に述べられていて、(先ほどの)暗示ではなく「本当に効くのだよ」(これも暗示かもしれない)という処方の本になっている。「パソコン仕事にはカレーがいい」とか、「上司からの呼び出しにはバナナオレ」とか、「腰痛には黒豆」など、ニヤッとするようなナルホドというような面白さがある。

(received '05.1.12)

Sweeperさんのプロフィール...ウクレレ前田さんのサイト『ぷりみてぃぶポップ』の掲示板の常連さんで、4年続けて『なんでもTOP10』に参加いただきました。どうもありがとう!

 

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