−2006年
読んだ本 TOP10− by
ヒロくん(師匠) (1)
歌野晶午『世界の終わり、あるいは始まり』 2006年に読んだ本のTOP10です。 (1)
連続児童誘拐射殺事件がマスコミをにぎわせている。自分とはまったく無縁な世界の出来事と思ってたら、自分の小学生の息子の持ち物から、事件の犠牲者の児童たちの父親の名刺を発見! 「自分の息子が連続児童誘拐射殺人犯ではないのか?」という主人公の苦悩と模索を描いた作品。この小説はフツウのミステリーとは違って、結末は示されない。主人公が「こうした場合ああなる」と考えたいろいろのパターンのシミュレーションが示されるだけ。作中、掲げられている文章、「未来は運命ではなく、神が賽を振った結果でもなく、ましてや人から与えられるものでもなく、己の意志で切り開くものである。」は、実に、重い...。 ('07.12.21) ヒロくん(師匠)のプロフィール...仕事、家事、育児に追われているうちに、あっという間に1年が過ぎてしまったと感じているこのサイトの管理人。
(2) 羽根田 治『ドキュメント道迷い遭難』
(3) 芦辺 拓『時の誘拐』
(4) 筑波 昭『津山三十人殺し』
(5) 筒井康隆『銀齢の果て』
(6) 羽根田 治『ドキュメント気象遭難』
(7) 羽根田 治『生還』
(8) 西村寿行『鷲』
(9) 江戸川乱歩全集『探偵小説四十年(上)』
(10) 江戸川乱歩全集『探偵小説四十年(下)』
(2)
道迷い遭難から生還した7人の体験談とその検証。やっぱ、山をやってる者にしてみれば、他人の失敗談は最大の反面教師なんですよ。じっくり読ませていただきました。
(3)
デビュー作『殺人喜劇の13人』にも登場する森江春策モノ。官僚上がりの大阪府知事候補の娘の誘拐事件に戦後まもない頃に起きた雑誌編集者殺害事件をからめたストーリー展開。大阪の近代史に興味があるひとにオススメ。
(4)
横溝正史の『八つ墓村』や島田荘司の『龍臥亭事件』のモデルになった都井事件(1938年に岡山県で発生した大量殺人事件)を扱ったノンフィクション。『龍臥亭事件』がこの本を底本にしてることがよ〜〜〜く分かりました(笑)。
(5)
超高齢化が進んだ近未来世界を舞台に、勝者ひとりだけが許される生存権をかけた老人同士の『バトル・ロワイアル』。血なまぐさい話なのに、そこまで残虐感が無いのは、筒井センセイのユーモアとほのぼのとした山藤章二さんの挿し絵のせいかな?
(6)
(2)の姉妹作に相当する作品。1988年秋の立山中高年大量遭難死など、7つの事例が収められとります。このシリーズではもう1冊『ドキュメント雪崩遭難』ってのがありますが、私は積雪期登山はやらないので、こちらのほうはパス(苦笑)。
(7) 羽根田
治というライターの出世作。そもそもこの作品が評判を得たからこそ、続編ともいえる(2)と(6)があるワケ。第1弾ということだけあって、道迷い遭難、気象遭難など各種取り揃えてます。
(8)
死神コンビの中郷・伊能コンビものですが、週刊誌連載をそのままつなげたのか、ストーリー展開がぎこちない。大したクライマックスもないまま終わってしまった。スリルとサスペンス満載の名作『往きてまた還らず』の続編とは思えない駄作。
(9) これで残り1冊になった(笑)。
(10)
2年半かけて、ようやく全30冊揃いました。お疲れさま。