−2007年
ベスト10アルバム− by
Junさん 1.
In Rainbows / Radiohead 今年も2007年リリースのコンピレーション以外という縛りで選んでみました。 1. "OK
Computer"から10年後に、"Kid
A"から始まった一連の流れにオトシマエを付けて来る能力はさすがのひと言。レコード会社を通さずにダウンロード販売を行うという手法を含めて、最も2007年に最もインパクトを与えた作品だと思います。 2.
コントラストがハッキリした原色系の派手さこそないものの非常にカラフルで、時間軸で疲弊しない楽曲群からは、素朴なサウンドに似合わない「本格派」の雰囲気がプンプン。コアメンバ以外をアウトソーシングした編成も自由度の高い彼らの楽曲にピッタリです。 3.
弱点だった線の細さは解消されてタイトさとヘヴィさを獲得し、アイデアの拡がりに重点を置くことでサウンドの艶が大幅アップ。楽曲の直感力は後退したものの出涸らしという訳でもなく、軸が増えて二次元になった分、まだ伸び代はありそうな気がします。 4.
短期的な成功に繋がるスキームを一切放棄して、生々しい音をストイックに重ねた作品。イノベーションという派手な言葉は似合いませんが、メインストリームに対する自浄作用として機能する曲を生み出し続ける彼らのクリエイティビティには感服します。 5.
近作は深化よりも進化を求めた結果、「どこかが膨らむと、別のどこかが引っ込む」という歯痒さが目立っていましたが、今作は奇を衒わない肩の力が抜けたサウンドをベースに、全体を過不足ない繊細さで統一することに成功。美しく、ポップなメロディの勝利です。 6.
音程があるのかないのか分からないボーカルは五線譜から解放された「本能」を感じさせる一方で、バックトラックはオーガナイズされていることもあり、実験的というよりも実践的。個々の要素自体に新しさがある訳ではないのに、何故だか不思議と新鮮に聞こえます。 7.
メインストリームを冷めた目で見ながら、一定基準のコマーシャル性とアーティスティック性を共存させた音。個々の個性の突出を抑えつつ、全体として個性を感じさせる全体最適化を成し遂げたのは、コンセプト提案力とコーディネート能力に長けたDamon
Albarnならではでしょう。 8.
アクが弱く、初めて聴いてもスンナリ耳に馴染むヒネリとポップさのバランスの良さは過去最高。一方で、茶目っ気タップリのサイケ感は、メインストリームをチラ見する余裕を持った大人のオルタナティブで、キッチュスレスレの俗っぽさも楽しいです。 9.
オバカ度を抑えて、比較的クールさを保ちつつも、力強いビートが「アタマ」ではなく、「カラダ」に直接作用。ダメな人はDNAレベルでダメな気もしますが、大音量で身体を動かして聴いてみると、突然ブレイクスルーが起こる可能性があります
(体験談) 。 10.
曲毎に表現のタッチが変わっても、共通基盤として存在するのは現実味を残したロマンティシズムで、Prefab
Sproutにも似た儚さと美しさを貫き通したサウンド。瞬時に耳を捉えて離さないキラーチューンこそないものの、懐の深い楽曲の連続です。祝、来日決定。 (received
'08.1.13) Junさんのプロフィール...デペッシュ・モードのアルバム・タイトルから名前を採ったサイト『Mus!c
For The Masses』管理人。鋭い考察によるディスク・レヴューは音楽ファンの間で評価高い。
2. The Broken String / Bishop Allen
3. Favourite Worst Nightmare / Arctic Monkeys
4. Sky Blue Sky / Wilco
5. The Boy with No Name / Travis
6. It's A Bit Complicated / Art Brut
7. The Good The Bad And The Queen / The Good The Bad And The
Queen
8. Hey Venus! / Super Furry Animals
9. Myth Takes / !!!
10. In Our Bedroom After The War / Stars
個人的には2007年に買ったCDの中には傑作と呼べるものはありませんでしたが、良作は非常に多く、10枚選ぶのに一苦労しました。これ以外では、The
Polyphonic Spree、Kings of Leon、Ian Ball、The
View、Battlesあたりも気に入ってます。