2007年なんでもTOP10

−2007年 音楽 TOP10−

by Sweeperさん

1. ロドリゴとガブリエラ
Luz Negra / Richard Galliano
Metheny Mehldau Quartet
Ojos Negros / Dino Saluzzi & Anja Lechner
Winter's Tale / ソルト・カルトネツカー・トリオ
The Enchantment / Chick Corea & Bela Fleck
Rokku Mi Rokka(Give and Take) / ユッスー・ンドゥール
Nature Circle / Shezoo
Volta / ビョーク
Truth & Beauty / サム・ヤエル・トリオ

(1位以外は順位なし)

2007年はこれに尽きるくらい驚きとその内容の濃さからいってもダントツの1枚でした
ベストワンは「ロドリゴとガブリエラ」

1. ロドリゴとガブリエラ
アドレナリン全開
テクニック全開
リズム全開
ギター全開
ラテン全開
もうこうなるとジャンルとか云々で括るココロも全開にしないと!
ロック的なフレーズ
ハーモニクス
パーカッシブな展開
ここ1週間こればかり聞いています
アドレナリン全開
イヤな事も
乗れない事も
コレがあれば乗りきれそうな強力なカンフル剤!
ギターが弾ける人って羨ましいとまで思わせるこのギターDUO
生で聞きたい、生で経験したい!
これは衝撃です。

Luz Negra / Richard Galliano
今回はいつも出しているドレファスレーベルからでない、そのせいか雰囲気が違う、ジャケットが違う。
このジャケットの美人(なんだろうけど)ちょっと苦手なタイプな顔である(音楽とはかんけいないですね)。
さて、この録音、ブラジル録音ということか、どこかラテンな感じがする、かといってメチャラテンという感じではなくてしっとりとしたラテン音楽、湿ったラテン音楽、メラコリックなラテン音楽、ということか。 バイオリンを主旋律に置いてアコーディオンはややサイドに回ってサウンドメイキングする、そんな感じです。でもおいしいここぞというところは入ってくるしそれはさすが主役なのだろうけど、バイオリン奏者の巧さがかなり引き立っているのでそう感じるだけかもしれない。程よくアレンジされた曲はライブ感覚の最近のアルバムを聴きなれたリスナーにとっては新鮮な一面であった。ピアソラの「鮫」の速くかつキレのいい演奏はスゲーの一言だし、旧曲も違ったアレンジで違った印象をもった曲に変わっている。

Metheny Mehldau Quartet
DUO中心だった、前作〔同じ録音時期なのでPart1、Part2みたいらしいですが)より、Metheny中心な編集になっている。DUOではメルダウ色が強かったけどただ、面白いのは(というか当然かもしれないけど)、メセニーがソロが終ってメルダウにソロの番が来るとガラリとベースとドラムがメルダウトリオな印象になることだ。ちょっとあからさまな場合もあったりするので注意してその辺を聞くと面白いかもしれない。そんな事抜きでここの音楽は文句無しの音楽が全編展開している。

Ojos Negros / Dino Saluzzi & Anja Lechner
前作が去年末っだったのでややハイペースでのECMからのリリース。
Anja Lechnerはかつてサルーシが弦楽四重奏団と共演した女性バイオリンチェロ奏者。
サルーシの曲が違う編成で演奏された曲をこのDUO用にまとめたものもいくつかある。やや、Anja Lechnerはこのバンドネオンの巨人に気を使い過ぎているのか対等な会話でなくて譲ってしまっている感じの演奏が幾つもある、そこが惜しいところだ。アルバムでいうと後半にかけての演奏がそういう印象がある。 とはいえ、私個人的にはサルーシの演奏が聞けるだけで満足なのです。

Winter's Tale / ソルト・カルトネツカー・トリオ
初めて聴いた「ワンダーラスト」の印象がいまだに強いのだけど極めてオーソドックスなピアノトリオを目指しつつ、その枠に入りきれない鮮やかさが感じられる。全編オリジナルというのも自信の表れか、だからと言って遜色は全くない。かなりユニークでむしろJAZZらしくない曲の方が多い。でもピアノトリオの形式にこだわって果敢に取り組んでいる感じがします。流れるような即興のラインは素晴らしいです。 2007年録音というホヤホヤな録音も嬉しい。

The Enchantment / Chick Corea & Bela Fleck
ベラ・フレックのバンジョって聴きたくて、とおぼろげながら思っていた。
で、これは買いでしょ、と思って購入。
うーん、チック・コリアのツッコミが中途半端なのである、それが演奏にも反映してしまっている、どこか迷いがあるかのような。。。
確かに面白い部分や展開はたくさんある、けど過去にDUOで傑作を出してきたチック・コリア、ここでは相手の出方を見すぎたかのような感じだ。

Rokku Mi Rokka(Give and Take) / ユッスー・ンドゥール
Nothing In Vain やEgypt といったネイティブな部分や宗教感を前面に打ち出してやや躍動感というものを抑えていたものをこの新作では前作での方針をやや踏襲しつつリズム感、躍動感、横揺れ感(縦揺れでないのが心地いいのです)、を全面に出して、簡単に言い換えると「聞きやすい」「明るい」サウンドになっている。英語訳の詞を見ると相変わらず問題提起したり深いメッセージソングが多い。そして最後の曲はWakeUp(Itユs AfricanCalling) という彼の一貫して歌い続けている「テーマ」で閉じられる。言葉はセネガルの言葉が多いけど、このユッスー・ンドゥールの声という独特な楽器の魅力がひきつけてやまないです。

Nature Circle / Shezoo
深いリバーブ
物憂げな曲
細かくメロディ部分が動き
繊細なタッチで音を紡ぎ
アルバムの前半はヨーロッパの石畳を歩いているかのようなそんな風景が浮かび
アルバムの後半はこらえきれない感情が波のように押し寄せてくる組曲のようで
全く個人的に、とっても大切にされるべき、そんな音楽の数々
音楽だけですべてを語る
これを聴けて本当によかったです。

Volta / ビョーク
相変わらず心のままに叫んでいる。
僕らが叫びたい衝動をこの叫びで昇華している。
その意味では今回もハズレ無しである。
メロディがあるようで無いようででもそんな事は重要ではない。
サウンドがどういうわけか、フィリップ・グラスぽいんですよね、弦とホーンの感じがそう思わせる。

Truth & Beauty / サム・ヤエル・トリオ
ジョシュア・レッドマン・エラスティックバンドと同じ面々だけど、やはり主役というかサウンドの中心がオルガンに変わっている、この辺が聴き所の一つかもしれない。曲はエラスティックバンドをもっと内省的にしたかのような、ジョシュアのテナーが割りと添え物的な感じとも言える。単なるオルガントリオという曲想ではなくてクールな音楽を聴いているというのが正しいかもしれない。ライナーノートで英文で長々とブラッド・メルドーの解説文(日本語訳もあるのだけど)が長過ぎて読む気がしない。自分のライナー以外にもこんなに書くブラッド・メルドーって一体何者?

(received '08.1.28)

Sweeperさんのプロフィール...故・ウクレレ前田さんのブログ『裏声喫茶』の常連さん。7年続けて『なんでもTOP10』に参加いただき、こっちのほうでもすっかり常連さん。どうもありがとう!

 

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