−2008年
美術展 TOP10− by
Sweeperさん 1位 ヴィルヘルム・ハンマースホイ展 静かなる詩情 (1位以外は順位なし) ヴィルヘルム・ハンマースホイ展で見た寡黙かつ繊細な物語性を持つ絵画群に圧倒され、今まで認識がなかった画家ではあったけど奥の深さを感ぜずにはいられなかった。石田徹也 展やアンドリュー・ワイエス展も素晴らしかった。エミリー・ウングワレー展の土のにおいがするペインティングも新しい発見でした。 1位 ヴィルヘルム・ハンマースホイ展 静かなる詩情 知られざる鬼才、マリオ・ジャコメッリ展 紫禁城写真展 横尾忠則 冒険王 展 エミリー・ウングワレー展 アヴァンギャルド・チャイナ展 会場 新国立美術館 アンドリュー・ワイエス展 石田徹也 展 蜷川実花展
地上の花、天上の色 レオナール・フジタ展 (received
'09.1.20) Sweeperさんのプロフィール...故・ウクレレ前田さんのブログ『裏声喫茶』の常連さん。8年続けて『なんでもTOP10』に参加いただき、こっちのほうでもすっかり常連さん。どうもありがとう!
知られざる鬼才、マリオ・ジャコメッリ展
紫禁城写真展
横尾忠則 冒険王 展
エミリー・ウングワレー展
アヴァンギャルド・チャイナ展
アンドリュー・ワイエス展
石田徹也 展
蜷川実花展 地上の花、天上の色
レオナール・フジタ展
静かな部屋、くすんだ画面、太陽光のリアリティ、光と影のバランス、女性(ヴィルヘルム・ハンマースホイの妻らしい)のうなじとうつむき加減な視線、家具が少ないシンプルな部屋、そして、その妻がいない静かな部屋、ピアノがある部屋からはシンプルなピアノの音が聞こえてきそうだ。ピアノやイスの脚が少なかったり、影が意図的に同じ方向でなかったり、ドアノブがなかったり、コーヒーカップを持っているようなテーブルを持っているかのトリック、こんなタイプの画家は初めて見た。一貫したテーマがあってかなり興味深い画家であることが今回判明しました。珍しく画集を買うことも検討しているほどです。
会場 東京都写真美術館
白黒のコントラストが非凡である。構図もよく練られている感じがする。
何か音楽的な部分、この写真だけでなく、音楽が付いてきそうな写真、歌詞が付いていなければなんでも合いそうな気がする。
動きだしそうな写真、一瞬の儚さ、この人は知らなかったけどすごい人なんですね。
会場 東京都写真美術館
1900年に撮影されたものと現在撮影したモノの比較がオモシロイ。
1900年当時、紫禁城はところどころ雑草が生えてなんかひなびた感じがする建物という印象も受けます、というかちょっとショッキングかも。
中国がいろいろな外国勢力に入られて弱体化しているのがこういうところにも出ていたんでしょうね。
かなり興味深い写真展でした。
会場 世田谷美術館
凄い、この人の才能は枯れることがなくあふれ出るあふれ出る、こちらが身構えていないと圧倒されっぱなしになってしまう。
ルソーへのユーモアたっぷりのオマージュが楽しい、笑ってしまった。そういえば「眠れるジプシー女」の「横尾Version」、ライオンが食べちゃうシーンのものがなかったなあ。
この人の使う「赤」「金色」「黒」は印刷物になると全く別物になるでしょう。「生」だとエネルギーが違う。大きいキャンバス見る横尾ワールドを堪能してしまった。
オーストラリアを代表する画家エミリー・ウングワレー(1910頃-1996)の個展を観る。
オーストラリアの自然を抽象化した点描、淡い感じの色使い、巨大なカンバスや布に描かれた独特の世界。
アボリジニの世界観云々よりももっと根源的な世界が、大きな絵画が白い壁の新しい美術館の冷たさから守ってくれている抱擁されているような温かみを感じられました。ちょっと特異な経験でした。
必見ですね。
―〈中国当代美術〉二十年―AVANT-GARDE CHINA:Twenty Years of
Chinese Contemporary Art
文化大革命以降に輩出されたアーチストのいろいろな形が提示されている。面白いものもあり、つまらないもの、不快なものも含めてバラエティに富んだもので興味深いものばかりでした。方力鈞のシニカルな顔の表情の絵画が特に印象的でした。
会場 渋谷Bunkamura
やはり画集とかで見るものと本物は全然色つやが違う、だからわざわざそれを感じるために展覧会まで足を運ぶ。これはこれからも実践したい。ワイエスの描いた髪の色や肌の色、風景はやはり質感が本物だけに迫ってくるものがある。ただワイエスの絵画そのものは攻撃的でもなく素朴に身の回りの物を描いているので一種の安心感がある。生活の一部を何気なく切り取って素晴らしい構図と骨格を提示する。その意味で習作と本物を並べて展示している今回の展覧会は捜索の過程が垣間見れてどの部分に腐心しているのかどこを最初に描きたいのかということが分かるようになっていて展示の仕方も評価されるべきであると思う。あの有名な「クリスティーナの世界」は今回は来ていなかったがその「過程」の習作は展示していてあの絵(NYのMOMAにあるらしい、確かにMOMAで観た気がする)がこうやってできたのだというのがわかってそれも興味深かった。そして何よりなことにアンドリュー・ワイエスってまだ生きていてまだ現役で描いているということだ。生きているうちに(長生きをすればという言い方もできるが)評価が高まった幸運なひとである。
会場 東京練馬美術館
31歳で夭折した伝説的な画家の展示はみなインパクトがありすぎる。
描かれている人物がみな同じ(そして画家自身)で、絵画がみんな異常なほど狂おしい状況にも関わらずどこかにユーモアがある。が、内省的でありながら繊細で壊れそうな自分自身をさらけ出しているかのような顔はあくまでも無表情を貫き通していて目もうつろである。これは見る人を選ぶかもしれないけど、あえて言うならばこの絵画がいいという人の言葉は信じられるような気がする。久しぶりに画集(遺作集)を買ってしまった、3150円は高くない。けど、これを持つことでこのアンニュイな気持ちが自分に転移しなければいいのだけど。
グラマラスな赤
意図的な焦点ぼかし
美しいなかにもエロティックな匂いと緊張感を漂わせる
大きい写真から小さい写真までヴィデオだったり独特なポーズをとらせるポートレイトだったり、表現者としてブレがなく今後もこのクオリティで活躍し続けるだろうという予感はあります。
会場 上野の森美術館
日本を捨てて(本人曰く、「日本が私を捨てた」らしい)フランスで活動することになった芸術家、レオナール・フジタの回顧展的なものでした。彼の初期の作品はピカソやゴッホなどの影響がみられるものの、段々と自ら描くべきものが分かってきたのか作風が統一していく過程が面白い。歳をとると枯れた作風にもなるかと思いきやエネルギッシュでダイナミックな画風にもなって、しかも変化を拒まないで取り入れていく柔軟さが感じられる。日本画の要素とモダンなものをうまく融合して独特の色(乳白色)や構図を作成している。作品とその生きざまがパラレルに見られてアーチストとしての「在り方」について考えさせられるものがあった。