−2008年
ベスト10アルバム− by
Junさん 1.
The Seldom Seen Kid / Elbow 今年も2008年リリースのコンピレーション以外という縛りで選んでみました。 次点は楽しさが尋常ではないLos
Campesinos!のデビュー盤の方。あとは、Paul
Steelのデビューアルバムも差はないです。 1.
コマーシャル性を徹底的に排除しつつ、過去最高レベルの表現スタイルの自由度を身につけ、既成のカテゴリへのマッピングを拒否するような幅と深みを持った内容。「Mercury
Prize受賞の勢いで来日するか!?」という期待は今年もかなわず。 2.
前作で究めたサイケデリックポップ路線からエレクトロニクスをフィーチャーしたサウンドへと大きく針路変更。革新的とまでは言えないものの、新たな方向へ着実に前進する姿勢はサスガ。 3.
切なさ度が高めのメロディを薄めのリバーブで覆った楽曲群には、耳に入った途端に過去の大切な瞬間にシンクロする即効性の高さと聴き返すに連れて良さが拡散する浸食性の高さが共存。全世代が悶絶必至のノスタルジー。 4.
クールさの中に存在する仄かな暖かさと開放感が絶妙のバランスで配合され、ポストパンクリバイバルの潮流が過ぎ去った今でさえ、ノスタルジー的残響ではなく、リアルタイムの音として通用するレベルの高さ。暖色系の間接照明に満たされたリビングで、上質なソファーに座ってリラックスしているような心地良さを持った作品。 5.
人懐っこさを持つメロディを暖かみあるエレクトロニクスで飾り付けた楽曲群は、オフトーン気味ながらも必要十分なカラフルさを持った内容。良い意味で二度寝の微睡みのようなフワフワした心地良さが満載のサウンドは、突出した強みこそないものの総合力はハイレベル。 6.
線の細い音が自律的に振動し、他の音と有機的に絡みつくことによって強い推進力を生成。やや偏執狂的で頭デッカチな部分が目立つ気がするものの、カラーパレットの色数ではなく、色の重ね方に拘って、それを強みまで昇華したところは見事。 7.
ブルースやトラディショナルなロックをベースにしたサウンドはThe
White
Stripesとベクトルこそ同じものの、そのサウンドはよりリッチかつシンプルで洗練された印象。冗長にならない範囲で遊びの要素を取り込んでストイックになり過ぎることもなく、リアリティに付随する切迫感や息苦しさも皆無。 8.
キャリアを自らサマライズしたようなニュートラルな感覚の内容は、レッドゾーンまで針が振り切れる圧倒感はないものの、ポジティビティを素直に表現した佳曲がズラリ。これまでにない等身大の表現手法の採用も成功。 9.
近作のオルタナティブへの露わな憧憬は陰を潜め、ポップスに重心を残しながらオルタナティブを俯瞰した内容が好印象。線の細さを長所と捉えた上で新しいサウンドプロダクションを取り入れた姿勢も建設的。何より"Viva
la Vida"のキラーチューンぶりは見事。 10.
持ちネタのパターンが足りないために、多少の一本調子さは否めない一方で、基本仕様がシッカリしていることもあり、アウトロにスタンダードを重ねたり、ベートーベンをバックに語るというギミックも、「変化球的なユニークさ」というプラスの印象。 (received
'09.1.18) Junさんのプロフィール...デペッシュ・モードのアルバム・タイトルから名前を採ったサイト『Mus!c
For The Masses』管理人。鋭い考察によるディスク・レヴューは音楽ファンの間で評価高い。
2. Snowflake Midnight / Mercury Rev
3. Grand Archives / Grand Archives
4. You & Me / The Walkmen
5. Replica Sun Machine / The Shortwave Set
6. Antidotes / Foals
7. Consolers of The Lonely / The Raconteurs
8. Songs in A & E / Spiritualized
9. Viva La Vida Or Death And All His Friends / Coldplay
10. Glasvegas / Glasvegas
昨年同様、ダントツがない一方で、佳作がたくさんあったので、選ぶのが難しかったです。