2008年なんでもTOP10

−2008年 新譜 TOP10−

by KENさん

・天野月子『ZERO』(写真)
・September『FLOWERs』
・睡蓮『ひたひた』
・SION『住人〜Jyunin〜』
・SION『Naked Tracks〜光へ〜』
・ナスノミツル『Prequel Oct.1998 - Mar.1999 + 1 前編 1998年10月〜1999年3月+1』
・ナスノミツル『離場有浮』
・エイジア『フェニックス』
・エクストリーム『サウダージ・デ・ロック』
・マイケル・キスク『パスト・イン・ディファレント・ウェイズ』
番外:映画『ピンク・フロイド DVD-BOX』

(番外と、使用写真以外は特に順位に指定なし)

・天野月子『ZERO』
 ラスト・アルバムとなってしまった入魂の一作。「ゼロの調律」の英語ヴァージョンである表題曲「ZERO」など、さながら「さよならのあいさつ」のように思えてしまう意味深な歌詞が全体を貫いている。全体的に洋楽からの影響が強く感じられ、英語曲も多い。進歩の過程で肉を削ぎ落とし、骨子をさらけ出したかのような装飾の少ない仕上がり。「和」のイメージが強かった天野だが、最後には「洋」の究極を示した。様々なメッセージをどう読み取るか、それはリスナー次第だ。

・September『FLOWERs』
 男性アーティスト達が「花」をテーマに大ヒットさせた名曲を厳選し、ヴォーカル、ピアノ、チェロの女性トリオSeptemberが華やかにカヴァーした「癒しのカヴァー・アルバム」。「蕾」「世界に一つだけの花」のような王道曲から、「情熱の薔薇」「すみれSeptember Love」などのような意外な選曲も。「咲きましょう」のアルバム・ヴァージョンも収録。

・睡蓮『ひたひた』
 ハイ・ペースでリリースされたセカンド・ミニ・アルバム。前作より「和」のテイストが強くなり、フジマキのこのユニットの狙いのひとつであるポップネスが開花した。なかでもリード・トラックだった「葉桜の頃」は名曲となること必至。ダーク・サイドもきっちり残っており、それでいて挑戦的な面もある、前作を上回る傑作。睡蓮を聴いてみたいという方には、ファーストよりも本作をお薦めしたい。

・SION『住人〜Jyunin〜』
 21枚目のスタジオ盤となる本作は、ロックンロールが好きな人にはもちろんのこと、R&Bやブルースが好きな人にはなおさらもってこいだろう。多くの曲が根底にブルースを持ってきている。相変わらず酒の似合ういぶし銀のような光、それがSION。その実力やルーツを見せられた佳作だ。

・SION『Naked Tracks〜光へ〜』
 「デモ・テープというか、ひとりでやっているものも出せたらなぁ」というSIONの提案により、実現したデモ曲集。しかし単なる過去曲のデモではなく、新しくアレンジされていたり、新曲を多く含んでいたり、SIONを知るうえでは外せないアイテム。ライヴでの会場販売と通販限定。

・ナスノミツル『Prequel Oct.1998 - Mar.1999 + 1 前編 1998年10月〜1999年3月+1』
 東京の最も先鋭的なシーンのトップ・ベーシスト、別名「グルーヴ・マスター」、ナスノミツルの初リーダー・アルバムは、98年から99年にかけて録音された、言わばセッション音源的な作品。スタジオでの実験的な音作りが中核をなすも、その奥底にはある種の柔らかさ、優しさ、ユーモアが感じられる非常に希有な作品。各々のセッションごとに異なるメンツの強烈な個性にも注目。

・ナスノミツル『離場有浮』
 キャリア20年超にふさわしいベーシストとして、音楽家としての新たなフィールドへと足を踏み入れた記録となる作品。レコーディング・セッションはギターに灰野敬二、ドラムにはPANICSMILEやソロ活動も注目の石橋英子を迎えて2日間行われ、その断片を切り取ったのがこの「離場有浮(リヴァーブ)」である。 現代音楽、インプロヴィゼイション、フリー・ジャズ・シーンに確実に一石を投じるであろう問題作。

・エイジア『フェニックス』

 「ウェットン/ダウンズ」を経て、ハウとも仲直りしてパーマーも復帰した、まさかの「オリジナル・エイジア」の2008年盤。エイジアらしいサウンドを保ちつつ、プログレ的要素を強めた箇所があったり、ラテン・ビートを使用した曲などもあり、4人の再結成は大きな実を結んだ。輸入盤は日本盤とボーナス・トラックが異なるので、追加収録編集したCD-Rで聴いています。いつまで続く? オリジナル・エイジア!

・エクストリーム『サウダージ・デ・ロック』
 解散から13年、2008年にドラマーを再度チェンジしての再結成。「ファンク・メタル」路線は健在で、磨きがかかった鋭いものになっている。心機一転が活きた新しい側面や挑戦的な姿勢がありながらも、エクストリームの多くのルーツに触れられる良作。これまでのどのアルバムが好きな方にもお薦めできる。日本盤にはデビュー前のデモ音源をボーナス収録。

・マイケル・キスク『パスト・イン・ディファレント・ウェイズ』
 ハロウィン時代のキスクお気に入りのナンバーをアコースティック・アレンジでセルフ・カヴァーした、前作に続くアコースティック・アルバム。動的だった曲がやわらかに、静かに、たおやかにアレンジされているのが聴きもの。ハロウィン時代を懐かしむファンへのプレゼントにもなるでしょう。日本盤は新曲を追加収録。

番外:映画『ピンク・フロイド DVD-BOX』
 これは『モア』『ラ・ヴァレ』という初DVD化の映画2本をカップリングしたボックスなんですが、音楽担当がピンク・フロイドで、それを目当てに買う人が多く、僕もそのひとりでありました。だってタイトルからしてその線狙ってるじゃん(苦笑)。映画はいい意味でも悪い意味でもB級だけど、聴き慣れたフロイドの音楽が流れてくるとやっぱり興奮しますね!

(received '08.12.18)

KENさんのプロフィール...プログレシヴ・ロック研究サイト『KENの生悟り』管理人。コンテンツの一つである『月の裏側』では、世界で一番詳細な天野月子研究が読めます。

INDEX