2009年なんでもTOP10

−2009年 新譜 TOP10−

by KENさん

(1) BUCK-TICK『Mement Mori』
(2) デイヴィッド・シルヴィアン『マナフォン』
(3) 睡蓮『THE DAWN』
(4) ウェットン/ダウンズ『アイコン3』
(5) UKZ“DATIATION”
(6) 神尾真由子『パガニーニ:24のカプリース』
(7) SION『Naked Tracks 2〜鬼は外』
(8) 志方あきこ『Harmonia』
(9) EARTHSHAKER『The course of Life』
(10) mai『19nineteen』

(1) 文句なしに2009年の1位。B-Tファンには大満足の大傑作。全編「LOVE AND DEATH」という作風で貫かれた刹那的で絶対的な存在感。文芸的な側面も強くあり、親しみやすくも世界は深い。B-T初心者にもファンにも納得の内容ではないだろうか。タイトルの「メメント・モリ」とは「死を忘れるなの意だが、逆に生きること、今を大事にという意味を込めて」名付けられたという。それは本作を聴けばわかる。初回限定盤はレコーディング・ドキュメンタリー収録の特典DVDつき、SHM-CD仕様、スペシャル・パッケージ仕様。

(2) シルヴィアン6年振りの新作は、前作のノウハウを活かした即興アルバム。音触りは『ブレミッシュ』的な朗読歌モノという微妙な感じで、インプロ的でありながら歌モノという接点に立つアルバム。実験性とポップネスの境界に立つ孤高のシルヴィアンにふさわしいアルバム。何も考えたくないときに流すとものすごくいい。豪華な限定盤もあったけど、べらぼうに高いのであきらめました。でもこれはいいよ。音響派には特に。

(3) アニメ『ヘルシング』に楽曲採用につき、「Magnolia」と「浸透して(ver 2.0)」、挿入曲「柘榴」の3曲に、さらに新曲2曲を追加した5曲入りミニ・アルバム。企画盤ではあるけど、さらに深化した睡蓮の世界が堪能できる。コンパクトだけど完成度は異常に高い。3部作からの流れで言うなら本作は「応用」といったところか。睡蓮に興味ある人はまずこれを聴いてみては。

(4) アイコン3部作の最終作であるが、実質内容はそれまでの延長線上にあり、大きな作風の変化はない。相変わらずのポップ・センスが爆発したハードAOR路線であるので、ウェットンのソロと比較しても大差はない。プログレ盲信者のためのアプローチのような媚びへつらいもなく、再結成エイジアと較べてどうだと訊かれると答えに詰まる。だが、それでいいのだ。

(5) U.K.の華、エディ・ジョブソンと元キング・クリムゾンのトレイ・ガンを中心に、5人で組まれた新世代U.K.、それがUKZ。かといってU.K.サウンドを求めちゃいけません。寧ろジョブソンのソロ(ZINC)に肌触りが近く、そこにガンの醸し出す近代的クリムゾン・テイストが混じり合った感じ。U.K.再編を求めた視界の狭い人には不満だろうけど、「いい音楽」を求める人にはなかなかのものではないでしょうか。という名刺代わりの4曲入りミニ・アルバム。

(6) 2007年の第13回チャイコフスキー国際コンクールで優勝を飾り、クラシック・リスナーだけでなく日本中の注目を浴びたヴァイオリニスト、神尾真由子。今回のアルバムに収録された「24のカプリース」は、無伴奏ヴァイオリンのための24曲からなる奇想曲集で、バッハの無伴奏ソナタ&パルティータに並び、ヴァイオリン演奏技法のすべてが凝縮された超難曲。パガニーニが聴きたかったので、とりあえず購入。初回限定DVDつき。

(7) 新作『鏡雨〜kagamiame〜』をリリースして間もなく通販されたシオンさんの宅録アルバム第2弾。やはり単なる過去曲のデモではなく、新しくアレンジされ、新曲を多く含み、SIONを知るうえでは外せないアイテムとなっている。ライヴでの会場販売と通販限定。「誰も見てなくても」の歌詞がものすげえ胸を打った。直筆サイン入りカード付きだった。ひゃっほう!

(8) 七色の歌声によるコーラス多重録音を駆使し、幻想的なヒーリング・ミュージックを歌うサード・アルバム。ゲーム・ミュージック界で不動のカリスマとして君臨する志方は、ファースト『Navigatoria』では「星」を、セカンド『RAKA』では「月」を、そして本作では「ガイア・シンフォニー(生命交響曲)」をテーマにした、集大成的な位置付けの力作。4曲×4要素(「地」「水」「火」「風」)+全体テーマ・ソング1曲の全17曲。天野月子が作詞参加なので買ったけど、実はそれ以上にハマってしまった。

(9) 今回はあえて限定盤を買わなかった。復活後アース、歌謡路線健在。メタルというよりハード・ロックなテイストの中にしっかりと歌心が息づいている。正直前作の方が好みだったな。けど前作よりハードになってるかも。「天野月」になった天野月子が3曲を作詞提供。それが購入目的でもあるわけだが。

(10) 9nineのmai(吉田茉以)初のソロ作品。6曲入りながらなかなか楽しめるもので、ちょっと幼さが残りながら成長しようとするヴォーカルが味わえる。まあ言い詰めると平凡なんですが。それでも天野月参加なのでそれなりに売れそうだ。

(received '09.12.26)

KENさんのプロフィール...プログレシヴ・ロック研究サイト『KENの生悟り』管理人。コンテンツの一つである『月の裏側』では、世界で一番詳細な天野月子研究が読めます。

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