−2010年
映画 TOP20− by
Sweeperさん 1位 マチェーテ (1位以外は順位なし) 今年もBEST10に絞り切れず、BEST20というずるいことをしてしまう。 1位 マチェーテ インビクタス 負けざる者たち ラブリーボーン ハートロッカー オーケストラ 第9地区 告白 インセプション 正義の行方ICE 彼女が消えた浜辺 シャッターアイランド 縞模様のパジャマの少年 やさしい嘘と贈り物 キックアス キャタピラー マイレージ・マイライフ (500)日のサマー 人生万歳 板尾創路の脱獄王 かいじゅうたちのいるところ (received
'11.1.19) Sweeperさんのプロフィール...故・ウクレレ前田さんのブログ『裏声喫茶』の常連さん。10年続けて『なんでもTOP10』に参加いただき、こっちのほうでもすっかり常連さん。どうもありがとう!
インビクタス 負けざる者たち
ラブリーボーン
ハートロッカー
オーケストラ
第9地区
告白
インセプション
正義の行方ICE
彼女が消えた浜辺
シャッターアイランド
縞模様のパジャマの少年
やさしい嘘と贈り物
キックアス
キャタピラー
マイレージ・マイライフ
(500)日のサマー
人生万歳
板尾創路の脱獄王
かいじゅうたちのいるところ
BEST1位というのも実は厳しいのですが、感動作でも何でもない「マチェーテ」のもろB級映画ぶりにあっぱれでした。これを敢えて1位に押したい。
ロバート・ロドリゲス&イーサン・マニキス監督作品
ダニー・トレホ主演(恐らく初主演)のインチキ映画予告が本当の映画になってしまった。
冒頭から復讐を誓うきっかけの衝撃的なシーンを持ってきてさすが18歳以下はNGという映画である。まあ、18歳以下に全て良くない、過激な暴力、麻薬、下品なエロティズム、腐敗した政治などなど。腐敗したテキサス州の議員にデニーロ、メキシコの麻薬王にセガール、ジェシカ・アルバ、ミッシェル・ロドリゲスのセクシーな助っ人、国境自警団のドン・ジョンソンらがアドレナリン全開な映画のパーツとして出演、そしてあくまでも主演はマチェーテなのですね。この下らなさ、暴力全開、そしてコテコテな展開。超B級映画としては申し分ない。でも決してメキシコからの不法移民/労働者は嘘の出来ごとじゃないしそれをエンターテインメントとして持ち上げるのは興味深い。ギターがギンギンなハードロックの演奏者の一人でもあるのが監督でもあるロバート・ロドリゲス。セガールの不死身伝説は果たしてこの映画で途絶えるのか?それは映画の後半に待っています!(続編でセガール出てきたらどうしよう?)
映画のエンドで続編を匂わせるからね?
クリント・イーストウッド監督作品
今までここ10年ほど特に痛いほどの暴力と心の痛みの映画を作ってきたクリント・イーストウッドが30年間痛みに耐えたネルソン・マンデラ、そして南アフリカラグビーチームがワールドカップ開催国でありながら期待されないチームを鼓舞していく話。許しと寛容をもってスポーツを利用しつつ国民の心を一つするスポーツの高揚感、映画はその高揚感を恥ずかしがらずに正面から取り上げて湧きあがる躍動を映画という形に替えて南アフリカという日本からアメリカから遠い国の話であっても同じ心を持ち感動を共有し合えるそんな映画でした。Happy
Endingが好きでない人でも過去(のかつてあった暴力と圧力)との決別して未来に行こうとするこの映画のすがすがしさはそんなアンチHappy
Endingな見方を吹き飛ばしてくれる。映画は30年間ネルソン・マンデラを閉じ込めた刑務所やスラムや一般市民を細かく描いて南アフリカという国の現在のありかたをニュースでは伝えきれない姿を見せてくれる。
14歳で死んだ女の子が語り部になって過去を振り返る。
ピーター・ジャクソン監督がこじんまりとした世界であるけど深淵な生と死の世界の狭間で語り続ける女の子を最後まで引っ張り続けてそれがこの映画の魅力になっている。安易な解決に走らずに静かに終わっていく短い人生のはかなさと家族の悲しみとその周囲の愛情が死後の世界に偏見を与えずにいるのは全うすぎるけどそれは間違えではない
今年のオスカーを独占した話題作、キャサリン・ビグロー監督作品
イラク、バグダッド ここで爆弾処理班に従事する人たちの話。
死亡率の高い仕事であるけど誰かがやらなくてはいけない仕事
こんな過酷で緊張する仕事があるのかというくらい厳しい仕事
バグダッド、ここはアメリカ兵にとっては地獄のようである、でも昔のバグダッドはこのようなところではなかったはず。いつ爆弾が爆発して死ぬかわからない地獄はそこに住み続けているバグダッド市民も同じであるわけである。気がついてみれば意に反して自爆爆弾をかついでいるかもしれないバグダッド市民。
映画はカリスマ的に爆弾を解除する男とそのグループのドキュメンタリー的な映像。
メンバー3人ともそれぞれ壊れていく自分を感じていく。それぞれ任務を果たしていく。
映画後半に少しだけアメリカのスーパーマーケットの中で買い物をするシーンがある。殺風景で人間味がなく物にあふれたスーパーマーケットで買い物するシーン。このコントラストが重要である。動と静、そして戦争と平和、戦争は海のはるかかなたの出来事。
映画としては「プラトーン」や「ブラックホーク・ダウン」のように現地の苦悩は描かれていない。それは観る前からわかっていたところなんだけど。それを抜きにしても伝わるものはある。そして、こう思う。こんな地獄に誰がした?
アフガニスタンでも同様である。もう地獄は要らない。バグダッドにもアメリカ軍も要らない。アメリカ軍がいる限り地獄の連鎖は止まらない。現在進行形の双方の地獄は続く。
私は音楽映画には弱い。フィクションであっても音楽の情熱が感じられるの映画は絶賛してしまう。この映画もある意味でコテコテで終わりがある程度予想が付いてしまうのだけど、ソ連邦時代の政治体制云々、ユダヤ人の云々、生活苦の云々など触れられてはいるけどそれは単なる小道具であって、いつも音楽をしたいと思う気持ちを捨てなかった主人公と主人公たちの気持ちがわかるので劇中での音楽(チャイコフスキー)が素晴らしく真に迫ってくるのである。フランス映画でありながらロシアから押しかけてくる人達を「浪花節」のようなこぶしを持った映画である。大粒な映画ではないけどこれ日本で当たってほしい映画です
監督デビュー作にてオスカー作品賞ノミネートという映画でSFという位置付けなのでこれは見ておこうと思った次第。これは好き嫌いがはっきり分かれる映画です。暴力的なシーンが多く出てくるし「戦闘シーン」も多い。暴力と差別と偏見がブラックユーモアになって出てくるがこれは必ずしも健全な笑いではない。
でも、南アフリカに難民でしかも甲殻類系の汚い猿のようなすばしっこさをもった何万もの宇宙人が大きな母船をヨハネスブルグにとどめて隔離した「第9地区」にスラムを形成するってまさにこの南アフリカが過去にやってきたことをSFという形で痛烈に非難している。そして「利権」のためにはギャングと大企業も同じことをするという今まさにイラクで発生していることと同じ、この映画を観てそういう愚かなことをしている我々を鏡に映して見て御覧というバランス感覚を養ってほしいというメッセージも込められていると思う。差別する愚かさ=差別されている側の怒りという視点にしっかり立って描かれている映画です。サイバーパンクな映像でありながら手持ちカメラ撮影やインタビュー挿入などいろんな手法を盛った映像で飽きさせることがない傑作です。
中島哲也監督作品
救いが無いほど重い。原作に忠実に映像化されているとのことです。
登場人物がみんなモンスターのように異様なキャラクターで理解が出来ない。こんな事が起きるわけない、と思いがちだけど、先日あの「秋葉原殺傷事件」の犯人の告白(公判での供述)の報道を聞いてネットに書き込みしてそこにある世界が真実のような描写があるのだけどまさしくそれがシンクロするところがあって、共通する心の闇の奥深さを感じてしまった。映画のセリフ、リズム、編集、そして全出演者の演技、どれも圧倒的な力でねじ伏せられてしまった。この映画のポイントはいくつもあって、先生の復讐、少年Aと少年Bの歪んだ心、集団いじめするクラス、学校や少年法の無力、モンスターペアレントの理解しがたいものの考え方、これらをコミック的に編集してドキュメンタリー風になるのを避けて映画として見せてしまった。噂を聞いて見に行ったけど間違えなしに凄い映画です、なーんてね。
クリストファー・ノーラン監督作品
ディカプリオが夢の中にはいって情報を盗み出すという仕事だけど今回はそれだけでなくてちょっときびしいぞということで応援をつける。依頼主がその夢の旅についてくる、その役が渡辺謙さんでこれが殆ど出ずっぱりなんですね、大活躍です。
夢の中でなくて潜在意識、もしくは事実を書き変えてしまうのだから怖いね、こんな事が出来たら。ロボット化やサイボーグ化ではなくて生身の人間の記憶や知識がCPUやメモリーチップのような機械なってハッキングするのが視点が違う。また夢をデザインしてしまう奇想天外な映像とアイデア。仕事中に絶えず出てくる個人的な情緒的な妄想。ラストシーンに使われた小道具がよく効いているいる、どこまでが現実なのか夢なのか?映画は「映画だって現実か?」「現実社会、現実逃避が現実になっていないか?」が回答になるのでしょうね。
ハリソン・フォードがジミで孤独なベテランの移民監査員を演じて、他の主役級の人達もそれぞれドラマを作っていて、いわゆる群像劇になっている。それぞれが絡んだり絡まなかったりしている。そういう映画、数年前の「クラッシュ」という映画にありましたね。この映画もその手法なんだすが、生真面目なのであまりその類似性については問われないことになるでしょう。監督が新人監督らしいけど映画の撮り方を良く知っている人だと思わせるところが随所にあってまだまだ若い監督なのでびっくりした次第。
イラン映画、アスガー・ファルハディ監督作品
なかなか伝わりにくい現代イランの日常を題材に若い女性の失踪というサスペンスという形で描いている。サスペンスといっても推理的だったり話が映像で前後にうごいたりするようなことも無く進行形でつまりリアリティを持って進んでいく。失踪して時間が経つにつれて3組の夫婦にそれぞれキャラクターがにじみ出てきてそのキャラクターが全て人間の業や嘘や取り繕い、希薄性すら描いてそのドラマを見せる映画になっている。カスピ海があんな色をしているのも興味深いし、テヘランに住む若い夫婦らの生活の感心などそこにいるような感覚でこの映画はあふれている。
そして失踪したカスピ海沿いの別荘はひたすら波の音が聞こえる。イランを描いていながら普遍性を持つテーマに圧倒されました。
マーティン・スコセッシ監督作品
シャッターアイランドなるところで失踪した女性を探すために乗り込む主人公。そこは凶悪犯を収容した病院で何かおかしい病院だった。という設定からサスペンスが高まりそのうち俺は誰?あなたは何者?な世界になっていく。論理的にはあり得るけど振り回されるうちにどうでもなれ、という気になってくる映画である。前後するけど、「インセプション」とかぶってくるような気がします。ディカプリオが出ずっぱりな映画でこの人の世界を共有出来なければ結構きついかもしれない、個人的には楽しめましたけど。
これ、英語の作品なんですよね。まあそれはそれとして。忌まわしいホロコーストを題材にしていますが、こんなに世間知らずな少年がいるのだろうか?という一種のファンタジーなのかもしれない。こんな少年はいなかっただろうけど、こういう純粋な気持ちを持っているべきということなのでしょう。ラストもファンタジーにならないところが現実にあったホロコーストを反映した現実なのでしょう。教育映画としてはいいかもしれないけど話がストレートすぎる、そして重い映画でした。
原題がLovely, Still
孤独な老人がクリスマス前に出会った同じくらいの年齢の女性に出会って胸ときめかしてこれはコメディか?と思ったらそうではなかった。
日本での邦題がおそらく邪魔しているのでしょうね、何となくそんなはずは無いなぁと思っていたらそれは。。。であった。まあよく見ていれば不自然な設定に何となく気が付くのだけどそう、見る側はマーティン・ランドウ演じる老人と同じ視点で途中までは気分が一緒なのですね。殊のほかエレン・バースティンがキュートでよかった。あたたかい気持ちにさせてくれる映画でした。
アメコミの映画化だけど、こんなマンガは知らないと思ったら最近のものらしい。
オタクな高校生がヒーローになりたいというだけで通販でユニホームを購入して正義の味方をしようとしたら災難に遇って。それ以来目覚めてしまう。でも能力が無いのはそのまま。でもひょんなことで有名になってしまう。ここまではコメディ。ここからがR-15の世界。でもオタクなところは残しつつ。。。という暴力満載な映画。やり過ぎ感もあり笑えないところもある。コメディなところと演出も狙っているところもあるだろうけどアクション映画のパロディをも狙っている。けどそれは鼻につく所は無い。
たのしめつつもう少しやり過ぎ感を抑えてもよかった気もする。ニコラス・ケイジはこんな映画でなにをやっているのだ?でも楽しそうだ。
アメリカの会社さんじゃなくて、訳すると「芋虫」
戦争中に手足なくして耳も聞こえない顔も火傷してまともに声も出せない。でも戦争から帰ってきた兵士なので「軍神さま」に祭り上げられてしまう。
そして待っていた妻には食欲と性欲を強要する。この「たら、れば」の設定は痛い。誰もがこのような体になれば人間というより、芋虫もしくは獣になってしまうのではないだろうか?そしてこの芋虫と化してしまった夫に降りかかるフラッシュバック、人間の業のしっぺ返しなのか、そのようなものを超越したかのような構想になっているようだ。確かに反戦映画ではある、でもこれはチャタレイ夫人の不徳とかと違う。ひたすら夫婦を追い続け心情をたっぷり吐き出させる。普遍性をもった物語でした。
ジェイソン・ライトマン監督作品 原題Up in the Air
冒頭のタイトルバックが先ず素晴らしい!と思ったら、特別に力入れて作ったようだ。
リストラ宣告人が国中を飛び回り直接言い渡す宣告、その為に移動が毎日だけど身軽にクールに生きる男、しかし後半は人間性を取り戻していく話。
最初は軽いコメディかと思ったら、なるほど人生について深く考えられた内容になっている。妹と結婚を躊躇する男に「楽しいときはいつも誰かといるだろ、一人のとき楽しいと思った時はあるかい、結婚を躊のは躇したときは一人だったか?一人でさみしいときに「副操縦士」が欲しくないか」と説得していらい男の心境に変化が出てくるのだ。勿論背景の企業合理化して人を解雇するというリアルな場面は言い渡す人間では理解出来ないところで、それ相応なタフな人間でないとやっていけない。
なかなかしんみりと来る映画でした。
おしゃれでありながら、どこか傷つきやすい、そんな男主人公とドライな女性。
リズムカルな編集とオリジナルな脚本、嫌みのない主人公たち。脇役の面白さ。わくわくするような演出など期待よりはるかにいい映画でここに出ている俳優たちは端役の人ですらけっして無駄になっていない舞台劇のようなキレを持っている。500日が500日なのかどうか前後しているのかどうか気にならないしラストの教訓のようなオチのようなエピソードも面白い、「偶然なんてものはない」というところで仕事の面接で会った女性を誘う場面はなんだか嬉しくなった。
ウッディアレン監督作品
主演がラリー・デヴィッドだけど、小言が多いやたら意味のないことを喋りまくるのはまさにウッディアレンの分身そのもの。ただウッディアレンと違って、ラリー・デヴィッドはややマッチョで、大声で4文字言葉も混ぜて喋りまくる。
舞台が久し振りにNYに戻ってきた映画ということで話題になっているけど何か悪い予感もする映画でもある。これを機にウッディアレンは映画を取らないのではないのだろうか?とか死んでしまうのでは?とかいろいろ考えてしまった。死ぬ前にせめて悪あがきを笑ってやってみようではないか、と提示している映画に思えてしまった。勿論映画は歪んで理解出来ない人間関係もあるにしても珍しくHAPPYENDで終わっているし。映画が終わってからのエンドロールの短いこと!シンプルな作りにして最小のスタッフでやる映画は本当に少なくなってしまいました。
板尾創路が監督、脚本、主演した映画。
100%面白いということではないけど、意外とシュールで楽しめた。
ラストがオチということでもなくその脱獄を繰り返すその目的がではなくその途中、この人なにを考えているのか?というのがこの映画の面白みでした。
こんな質の高い映画どんどん観たいです。
スパイク・ジョーンズ監督が絵本の世界にほれ込んで作ったファンタジー。
怪力で野暮ったい怪獣の世界に自閉症気味の男の子が入りこんでしまう。
大人も楽しめて子どもにもたまらない内容になっている。こんな映画子どものころに見たかったなぁ。ぬいぐるみのような風貌なんだけど目玉がリアルだったりジャンプすると軽々しく飛び上がるのがおかしい。楽しくてちょっぴり現実に戻りたくないような主人公の少年の気持ちに入りこんでしまった。