−2012年
映画 TOP10− by
Sweeperさん 1位 アイアン・スカイ (1位以外は順位なし) 1位以下は順不同ということです。 1位 アイアン・スカイ ・わたしたちの宣戦布告 ・ドライブ ・メランコリア ・私が生きる肌 ・マーガレット・サッチャー ・アルゴ ・アーチスト ・人生はビギナーズ ・最強のふたり (received
'13.1.20) Sweeperさんのプロフィール...故・ウクレレ前田さんのブログ『裏声喫茶』の常連さん。12年続けて『なんでもTOP10』に参加いただき、こっちのほうでもすっかり常連さん。どうもありがとう!
・わたしたちの宣戦布告
・ドライブ
・メランコリア
・私が生きる肌
・マーガレット・サッチャー
・アルゴ
・アーチスト
・人生はビギナーズ
・最強のふたり
1位はおバカ映画を選びました。
見逃した映画も多かったけど取りあえず自分が観て面白かったという所で選びました。
こんな映画あり得ないと思いつつ、妙に納得するオチだったりする強引さが映画には時として必要なのかもしれない。一方「アイアンスカイ」と違った意味であり得ない実話の「アルゴ」がこれまた面白かった。
ナチスが月に渡って月の裏(ダークサイド・オブ・ザ・ムーン)にナチスの施設が作られ、超アナログな機械を作っているというすさまじい内容。かなりブラックな映画が実現してしまうということ自体笑えてしまう。
でも、実際ナチスって円盤を戦争中に作っていたし、あういうアーリア人至上主義を唱えていたし教育も凄かったのは事実だし、まあそういう事実をパロディとして扱うというのがいい。
女性大統領がどうみてもサラ・ペイリンを連想させるし、ヒネリがあるセリフも効いている。
SFXも多用しているけど実写よりずっと安上がりしかし精巧な映像で、そこにワグナーがかかるのがコテコテ過ぎる。。。こんなくだらないバカ映画見たかったのですよ。
それぞれ主演の男女の経験をそのまま物語に盛り込む、生まれた男の子が脳に異常があるという困難に立ち向かう話。実生活でそうだった感覚がそのまま活かされているので俳優が演じているというよりどこかドキュメンタリーを見てる感じでした、手持ちカメラは恐らく35mmフィルムじゃできない撮影だっただろうし。実際に彼らの再現ドラマなわけだし。勿論ここでは入らなかったもっと苦しいシーン場面もあったはずなのだろうけどそこは映画、映画のリズムで編集もされているし深刻にならずに立ち向かっていきましょう、私たちなりに、というスタンスの提示がされている。私たちなりにといっても周りの家族親戚の援助もあるということも不可欠だし。
特撮もなくセットもなく人も死なない、そういう中でも立派にドラマとして映画として成立している見ごたえのある映画でした。
「ザ・ドライバー」とか「タクシードライバー」という70年代のドライバーを追う映画があった、そういう映画にテイストが似ているなとおもったら、やはりこの映画の監督は「リスペクトしつつ意識して作った」とのこと。そう、この映画はCGでごまかすような安直なシーンは無くある意味劇画風ですらある、クールな主人公、その純愛、ガツガツした脇役(ロン・パールマンやアルバート・ブルックスが70年代テイストを醸し出す粗雑で怖いキャラクターを演じている)という設定に加えて、ひたすら感情描写ではなく絵で見せる、場面を見せる、まさに映画ならではの演出で印象に残るシーンも多かった気がする。
何を考えているのか薄笑いしかしない主人公を演じるライアン・ゴスリング、この前「ブルー・ヴァレンタィン」では力演していたが今回の役はひたすら感情を見せないしかし仁義に厚い役という結構アメリカ人からすると難しい役柄なのだろうけどハマっていた気がする。監督がアメリカ人でなくてデンマーク人なのだそうだ、そういうクールな感覚がアメリカでは受けなくても他ではい受けるのかも知れない、カンヌ映画祭で監督賞という評価が其れなのかもしれない、日本でも内容的は受けそうなのだけど、地味に扱われてしまうのだろうね、きっと、見れば面白いのにね。
ラーズ・フォン・トリアー監督作品
またトラウマな映画を製作してくれました、この人はまともでない。
タイトルの「メランコリア」は架空の惑星の事だけど勿論、うつ病の状態を示す言葉でもある。トリアー監督もうつ病治療をしてその時のアイデアを大きくしてこの映画を製作したそうだ。冒頭のデジタルのスローモーションの映像が前作の「アンチクライスト」の冒頭のシーン同様素晴らしく美しいのだけどどちらも「死」の匂いが漂い息をのむ美しさと裏腹に冷えた感覚を覚える。絵画の引用があったりワグナーの音楽が繰り返し使われてその冒頭のシーンはそれ以降の物語の筋もしくはキーになる映像だったりするので覚えておくと分かりやすいのでしょう。ガリガリに痩せたシャルロット・ゲーンズブールと肉感的になったキルステン・ダンストが姉妹という設定がコントラストありありで面白すぎるしシャルロット・ランブリングがその母親という設定はもっとシュールなくらいハマっている。映画は意外な方向に進んでいくので中身は言いにくいが好き嫌いがはっきり分かれてしまうと思う、私自身好きではないけどこれは見逃せない映像表現であるのは間違えないことです。敢えて中身を言うと、大きな危機を迎えた時うつ病の人の方が大きく構える事が出来る、ということなのでしょうか?それとも姉妹が主役ですがこの二人に一人の二重人格的なモノを表現したかったのか、このあたりは好きなようにも取れそうである。惑星「メランコリア」は今の日本にとって見えない放射線の恐怖にも置き換えが可能かもしれない。
ペドロ・アルモドバル監督
やや常人の理解を超えた映画を見せてくれるアルモドバル、この映画も例外ではない。
途中からその逸脱した展開にあっけにとられる。
復讐なのか愛なのか?愛なのか復讐なのか?
またこんなことが実際に起こりうる事なのだろうか?
深く考えさせられることもある、この後どうなるのだろうって。
人間の性(さが)、ジェンダーって何なんだろう?って。似ていればいいのだろうか?女性であればだれでも良いのだろうか? アメリカ映画で探求しようがないそんあテーマをアルモドバルは平気で作ってしまう、巨匠と言われるようになってからも。アルベロト・イグレシアスの音楽、毎回表情のある音楽が素晴らしい。
メリル・ストリープが演じると聞いてしかもオスカーをもらう映画って何なんだろうとおもいつつ見る。
冒頭から結構重い、すでに認知病を患っている老けたマーガレットが既にいないはずの旦那に話しかけているというものだから。この旦那がずーと映画の中では出てきてはマーガレットのそばにいる。この辺は事実かどうかは知らないが、映画としては問題ないのだろう。少女の頃、若いころ、そして現役の頃のシーンが出てきては結局老けた姿のマーガレットに戻るという構成はなかなか酷かもしれない、老境に入ってからの回想という映画なのですね。
興味深いエピソードがフォークランド紛争のときのシーン。ここは結構時間も割いて描かれていたと思う、マーガレットがイギリスの意地を見せた所でしたね。観終わってサッチャーの映画という印象が強く、流石メリル・ストリープは素晴らしい女優なのですね。
イラン革命時のアメリカ大使館職員の人質救出になんとハリウッドを巻き込んでの架空の映画製作という名目でだ出させてしまうという嘘のようなホントな話。前半は半ばコメディのようなノリ、思いつきとしか言いようのないプロットなのだから。しかし他にまともで実現性が高いものがあるわけではなくだからと言ってこの架空の映画製作というのが笑えてしまうが本人達は大まじめなのだから。その架空映画がSF映画もどきでスターウォーズが世界的にヒットしたという元はあるにしても。後半はやや演出かかってはいるがけっこうドキドキするような演出編集で引き込まれてしまう話で結果としてはメデタシメデタシだったのでよかったけど、このほら話に乗った全ての人達の勇気は凄い、絶対失敗すると思う企画だし。映画としてはかなり面白いものになりました、企画勝ちですね。
ミシェル・アザナヴィシウス監督作品
フランス映画なのに白黒でサイレントムービー、しかし面白いのでアカデミー賞を取ってしまった映画。
ナルホドこれは面白い。話そのものはかなりベタな内容なのでそれほど深刻な話でもない。
サスペンスというわけでもない
ドタバタコメディでもない
フランス映画だということでも舞台がアメリカハリウッドなので字幕は英語
主演の男優さんがクラーク・ゲイブルを思わせる口髭なのがいい、やはり昔の俳優さんはこれでしょ、という顔つきでないといけない、このメイクと俳優さんで既に半分成功したものであとは脇役ですね、ジョン・グッドマンが如何にもという映画関係者(監督)を演じていて楽しそうである。
アクセントとして子犬を出しているのがいい、この犬は演技しているとは思えない、こういうマニュアルな雰囲気もいい。ノスタルジーを感じさせるというより昔の丁寧な映画作りをリスペクトしているそしてそういう映画を愛してやまない映画なんですね。淀川さんあたりがみたらこの映画をどう思うのだろうか?
75歳の父親に「告白する、私はゲイだ、生きたいように生きる」と言われてからその父の癌治療の介護もあり人生に疲れて自分自身のスタートが出来ない38歳の独身の男がフランス人女優に恋に落ちるけどなかなか気分が晴れないままでいる。最初はコメディかと思ったけどなかなか重いドラマでした。父亡き後の喪失感、自らの子ども時代、父の介護、そして現在の恋愛状況が交互して語られる映画は、人生、そんなにテーマをもって生きるほどのものなのか?という投げかけを父親の生き方を見て悩む姿が非常に等身大で普通に悩む姿だけどなかなか言葉として映像として具体化出来ないところをこの映画はやや癖はあるけど成功していると思う。父の連れの犬がチャーミングなので得した気分になれる。この映画はまた、主演の男女がいい男いい女(ユアン・マクレガー、メラニー・ロラン)なのでこれもその辺の普通の男女で無いから映像として成り立っているのかもしれない。
「ゲイ告白」父親役のクリストファー・プラマーはこの映画でオスカーを受賞、これは「サウンド・オブ・ミュージック」の大佐役から50年以上のキャリアに対しての功労賞的なものもあるのでしょうね。
TIFF2011年コンペティション参加作品
フランス映画、パリでスラムのような場所に住むモロッコ移民の若者とお金持ちで首から下が麻痺している男との友情物語。出だしがおもしろい、静かな夜を運転する黒人のドライバーと白人の男が同乗してそこから暴走し始める、なにが一体?というところから始まる冒頭はなかなか興味深いイントロになっている、EW&Fのセプテンバーっていうのはちょっと古いけどまあ許せる範囲だけど。粗暴で明け透けな大柄のモロッコ系の黒人が知的で物静かな不随の男とどうかかわっていくのか?というデコボコな取り合わせが文化とか階級的なモノとかそういうものを取りはらって人間として見つめる視点がいい。粗暴な男は粗暴な理由があり内省ではひどく繊細でもあるところを途中から気がつかされる。実話をもとにした話らしい、誰一人として暴力で死なないしそういうところが無い映画というのは本当に巧い。こういう映画がもっと流行ってほしい、人間の存在ってこういうものだよというまあ、ありがちとも言える話ではあるけど静かに訴えかけるいい映画でした。