−2013年
映画 TOP10− by
Sweeperさん 1位
そして父になる (1位以外は順位なし) 「ゼロ・グラビティ」の画期的な映画(3D)は本当にそれだけシンプルな事しても映画になりうるという映画の哲学にまで迫った映画だと思います。 1位 そして父になる ・世界でひとつのプレイブック ・母の身終い ・ゼロ・グラビティ ・テッド ・危険なプロットDans la
maison ・マッキー ・ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日 ・ルビー・スパークス ・ムーンライズ・キングダム (received
'14.1.21) Sweeperさんのプロフィール...故・ウクレレ前田さんのブログ『裏声喫茶』の常連さん。13年続けて『なんでもTOP10』に参加いただき、こっちのほうでもすっかり常連さん。どうもありがとう!
・世界でひとつのプレイブック
・母の身終い
・ゼロ・グラビティ
・テッド
・危険なプロットDans la maison
・マッキー
・ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日
・ルビー・スパークス
・ムーンライズ・キングダム
ただ、それ以上にドラマが充実していました、これを1位にしないでいられません。 1位は「そして、父になる」。
切実に訴える心と簡単な解決方法など存在しない困難さを映画はよくあそこまで提示できたものだと思います。。
是枝裕和監督作品
戦後の家族を描いた映画の中で「東京物語」と並んで語られるべき映画です。
6年前に取り違えられた子どもらはそれぞれの愛情ある家庭に育ちますが、突然病院から取り違えていましたという連絡が入る。
2つの家族は会ってその結論としては交換という選択を選ぶことにする。
こんな残酷な選択肢を取らなくてはいけないという場合、両親は苦しみ子どもは戸惑う。
親たちは、それまでの6年間は何だったの?
子どもたちは、お父さん、お母さんが僕を捨ててしまうの?
リリーお父さんが優しくて人間味あってそれに対して福山お父さんがエリートで合理的に解決できないか?と考える。
映画を見ていると(特に中盤までは)、リリーお父さんを応援したくなるけど、実は世のお父さんの多くはは福山お父さん的に悩むのではないのか? 尾野お母さんは血の繋がりが無い子どもに気がつかなかった事を後悔して真木お母さんは大らかに受け入れようとする。
ここには明確にすべき答えは無い。
そして結論は恐らくない。
でも救いはある。
親子であること、ということに救いがある。
今までそんなこと日常的に考えたことが無かった事をはっきりと認識することになる、親として子どもとして、そこに当然いるはずの子どもや親という存在を。 映画タイトルである「そして父になる」というのは、福山お父さんが大きく自覚するような意味合いでもあるのだろうけど、それだけではないのは映画を見れば分かることでもある。
「育ての時間より血の方が濃い」と周りは言う、そうだろうか?という空気が映画にはある、しかしそうでもないという空気も一方ではある。「実の子どもじゃないです」と知らずに成長してしまったらそれも子どもたちには残酷でもある。
この「取り違え」を契機に家族がより愛おしくなった、そこにこの映画の本心があるのではないでしょうか。
映画という作りものであるにもかかわらず、そのリアリティに大きく心が動かされてしまった。
原題は「Silver Linings Playbook」
妻の不倫が原因で躁うつになった男と夫の交通事故死から立ち直れない女とのリハビリもの。というと決して明るくない内容に聞こえるけど会話のやり取りの面白さが日常的で面白い。家族愛、純粋に思いやる気持ち、心の闇とどう立ち向かうべきか、など答えの無い所を模索するとはいえ「前向き」なキャラクターばかりなのか、一歩前に踏み出すことに不安はあるけどポンと背中を押されれば踏み出していけるそういうきっかけが大切という空気がこの映画の一貫したテーマなのでしょう。なるほどセラピーという見方も出来るけどそう思わないで心のなかのものを吐き出してみるというのはやはりそういう事なのかも知れない。途中から、あれ?これって昔見たジョン・ヒューズ監督映画の「恋しくて」の展開だよね、と思ったりもした。それはそのレールに従っての大人版としての会話やちょっと違ったエピソードなんかを楽しむという話ではある。
ギラギラしていない頼りない親父役のデ・ニーロがいいですね。
母は70歳で脳腫瘍を患い余命が短い、出所後の息子は荒々しくてそんな母親と衝突する。
母が選んだのは「尊厳死」
住んでいるフランスには無いけどスイスにはそれが合法的に出来るとのこと。
映画を見ている限り、息子が出来そこないな感じの人間に見える。
でも、母の選択に対して我々(がその立場になったら)も一体何が出来るのだろうか?という問いかけがされている。
そして母の立場になったら、どうなのだろうか? と。
答えの無い問いかけというのはいつも普通の人間に降りかかるものである。
「尊厳死」についての是非や必要性についてのテーマで無いという事です。
原題はゼロがついていない、日本では何故「ゼロ」を付けたのだろうか?軽い疑問が残る。
映画は3Dで見るのがお勧め。2Dでみたらまた違う印象になったことでしょうね。足がすくむような放り出されれそうな感覚が常に映画館で味わえる体験型映画なのかもしれない。話の内容はシンプルだし登場人物も2人だけ、そこがかえって現実的な恐怖だったり無重力な感覚をや孤独感を味わえる映画になるのだろう。これはもう映画というよりどこかの施設にアトラクション。それを味わいに映画館に足を運ぶ、そういう言い方が正しい鑑賞の仕方かもしれない。
テディベアのテッドが少年とドンドンと年齢を重ねていくけど、35歳になった主人公はどこか少年を残していてそれが現在の恋人には受け入れがたいという話。大人のファンタジーと言いたいところだけど、麻薬などのシーンがあったりとどうやらPG指定されているらしい。その毒が結構面白いのだけど、そのテッドのホンワカした表情と反比例しているそのギャップがコメディとなっているようです。
「宇宙人ポール」とシチュエーション的には同じかもしれない。
「フラッシュゴードン」というSF珍作をカルト崇拝化しているのが面白い、実際に主演の人を出してきてしまうのはちょっと反則かもしれない、そうい意味でもやや引用が多いのでそれが楽しいと思えるか嫌みに見えるかははっきり分かれてしまうでしょうね。
フランソワ・オゾン監督作品
高校で文学を教える教師が、文才あふれる生徒の書いた作品に変にインスパイアされて「もっと面白いように書け」と指導して現実とその少年が書いた「連載」が待ちどうしくなっていく様
その「連載」どんどんとエスカレートしていき少年/生徒として問題があると思った時点ですでに一線を越えた内容、しかしこれは果たして現実なのだろうか?単に書きもの?教師同様に見る側はその少年の「連載」に翻弄される。最後まで結末が見えないそしてその結末を見てもどうもしっくりこない、というかいい意味で考えさせられてしまう何とも不思議でところどころ笑える魅力的な映画でした。
恋人の為にマフィアのような男に殺された一途な男がその恋人を守るために復讐する!というあり得ない映画。再生したのが「ハエ」という設定がそもそも凝っている。微塵で非力な存在が復讐するためにあの手この手を使って、というのがこの映画の見せ場である。殆どその戦いが笑いがあったりやややり過ぎ感があったりのところもあるけど、昆虫系が駄目な人は見ない方がいいかもしれない。まあCGなのであまり生々しくはないけど。主人公が「ハエ」なのでお決まりの大人数の歌と踊りのシーンは無いけど、まあ少しはあるのでそれはしっかり定石は守っているともいえる。下らないなぁと思えるくらいがこの映画の正当な評価かもしれない、しかし「下らない」がここまで半端なくやり過ぎているので面白い。
アン・リー監督作品
CGを使った自然の映像が美しい、そしてタイトル通りトラと漂流する少年
物語的にはそれだけなのだけど流石映画のことを理解している監督ですね、殆ど説明的な事は無く映像で見せていく。
インドから日本の貨物船に乗ってフランス人コックがいたり漂流して辿りつくのがメキシコ、その後の彼が体験談を語るのがカナダ人、それを台湾出身の監督が作る、という世界的な広がりを持った映画というのが何よりも興味深い。
昔のウディ・アレンにもありそうな自分が夢で書いた文章に出てくる女性が本当に出てくるというトボケた映画です、そしてキュートな映画。これはスランプになった小説家の男性視点で物語が進んでいくしそれも書き換え可能な正確設定というのが軽さとその主演(とこの脚本担当)のゾーイ・カザン(エリア・カザンの孫!)の爽やかさというところがこの映画の魅力になっている。まあ途中からある程度話の筋が読めてくるのだけどそれでも話術や展開の早さ主演二人(ポール・ダノとゾーイ・カザン)の軽やかさそして脇にアネット・ベニング
アントニオ・バンデラスが「親」世代で出てくるのが面白い。監督が『リトル・ミス・サンシャイン』のジョナサン・デイトン/ヴァレリー・ファリスとのこと。可笑しくも人間の本質もとらえつつ最後はそうだよね、という納得でも強引さもないので不思議に惹かれる映画です。
原題 Moonrise
Kingdom ウェス・アンダーソン監督作品
有名どころが多く出ているけど主役は10代初めの男女二人とその仲間たち
ブルース・ウィリス、エドワード・ノートン、 ビル・マーレイ、
フランシス・マクドーマンド、
ティルダ・スウィントン、ハーヴェイ・カイテルなどなど。
デザイン絵画のような凝った構図の冒頭からやや違うぞというこの映画の独特なリズムに乗せられてしまう。男の子と女の子、それぞれ友達がいないので、ではいっそのこと友達になろう、という妙なテンポで乗せられてしまうそれに振り回されるのが有名どころの俳優たち、という何とも豪華なキャスティングなのだろう。アメリカの小さな島での1965年のボーイスカウトから「脱走」した男の子は何故脱走したのか?があっさり判明、実は駈け落ち!という面白さ。この映画が語る純真さという魔法にかかってしまった。