2013年なんでもTOP10

−2013年 音楽 TOP10−

by Sweeperさん

1位 Chants / Craig Taborn Trio
・Cruces / Anfre Beeuwsaert
・THE SIX SENSE / AI KUWABARA TRIO PROJECT
・Prism / Dave Holland
・Yes It Will / Rafiq Bhatia
・The road to Ithaca / Shai Maestro Trio
・Wed 21 / ファナ・モリーナ
・Trinity / fox capture plan
・Wenu Wenu(ウェヌ・ウェヌ) / オマール・スレイマン
・Journey to Journey / 狭間美帆

(1位以外は順位なし)

1位 Chants / Craig Taborn Trio
ECM録音による、若手注目株のPianist
なかなかこういう弾き方する人がいなかった、というよりこういう表現つまり現代音楽てきな音使いなのですが、こういうひとがJazzよりの人に居なかった言うべきか。とにかくECMレーベルの発見というぐらいこれをきっかけに売れていくんだろうな、という予感もします。BassもDrumsもこのPianoに寄り添うようでしっかりとサポート以上の音だしをしていてここのところよく聴くCDになっている。

・Cruces / Anfre Beeuwsaert
美しいピアノとバンドネオンとフルートと声のアンサンブルの1曲目
チェロに導かれる1曲目をモチーフに更に展開する2曲目
躍動感あふれる曲、これはライル・メイズの曲、ライル・メイズのどのアルバムに入っているのだろうか? それにしても音楽背景は垣間見られる選曲
リリシズム溢れるピアノがひたすら美しいその上にフルートが乗りチェロが加わり無駄に感じさせないアンサンブルをピアノとフルートで後ろに回る4曲目
ゆったりと流れる曲、しかし甘さとは無縁な純粋に音楽の美しさとダイナミズムを感じさせる

・THE SIX SENSE / AI KUWABARA TRIO PROJECT
桑原さんのピアノトリオ演奏
まだ20代なのらしいけど、この向かうべき姿勢がはっきりしているサウンドはかっこいいし何しろピアノがめちゃくちゃ上手い。
ピアノタッチも遠慮が無いというか大胆だしこういう硬い音は個人的には好みです。店先の視聴盤で聞いてこれはホンモノ出しだし好みな演奏でそく購入した次第。ベースもエレベで大正解だし、ドラムも細かいアクセントと変わりめくオリジナル曲に見事に反応して3人の化学反応がまったく見事なくらいです。全曲オリジナル曲で全部違うイメージで描かれた色合いを持った曲と演奏です。

・Prism / Dave Holland
Kevin Eunbanksのディストーションを効かせたギターが唸る、Craig Tabornのの歪んだエレピがエレクトリックマイルスを思わせる音色、Eric Harlandの現代的なロックテイストなドラミング、そして揺るがないビートを出し続ける御大Dave Hollandのベース。エレクトリックマイルスへのオマージュかどうかわからないけど、それにも聞こえる。とはいえ刺激的で前進的な音楽であることは間違えない。このアルバムの主役は主役を食ってしまっている奔放かつ大胆な叩き方をしているEric Harlandかもしれない。
Kevin Eunbanksがこんなプレイが出来るとは知らなかった、Craig Tabornのまた違った側面を聞けて、と言う意味でも聞きどころがあるアルバムです。

・Yes It Will / Rafiq Bhatia
インド系のギタリストエクスペリメンタル・ジャズ/ ポストロック/ビート・シーンの次世代を担う云々言われているようですが、そんな定義はさておいて。変拍子が冴えわたるあちこちに飛びまわるような編曲、PianoのVijay Iyerの素晴らしさがとても際立つそしてとてもユニークな曲の数々、全てが気に入りました。全然ギタリストのアルバムという感じがしないのもいいです。それぞれの曲もドラマチックだったりこの演奏を支えているBassのJacksonHillという人のビートがとても好みです。一般的には聞きやすい音楽とは言えないけど、Jazzの進化形の一つとしてこれは多く認識されてもいいと思います。

・The road to Ithaca / Shai Maestro Trio
イスラエル出身のピアニストで、1987年生まれ!まだ若い
ベースのアビシャイ・コーエンとの共演で磨かれていったそうだ。
このアルバムは殆どオリジナルで固められているのですが、曲やアレンジがユニークな曲が多くまたそのなかで繰り広げられるソロが熱ぽくクールに演奏されていてこの辺が日本でも知名度を上げているところなのでしょう。
ユダヤ音階の1曲目、フォークな感じの2曲目、繊細さとダイナミックさを兼ね備えた4曲目など聴きどころが多い。
アルバムジャケットのユニークさだけではない、音楽もまさにこういう内省的かつ力のこもった演奏がいい。

・Wed 21 / ファナ・モリーナ
アルゼンチン音響派というなんか分からないジャンルがあるようだけど(他知らないので)ビョークの世界に似ていると思うけどそれとはまた違う。タイトルは完成した日付である「11月21日水曜」に由来しているようで完成記録をそのままタイトルにしているということですね。アルバムデザインもまた凝っていて音楽をよく表している。生楽器(ギターのカッティングがかっこいい)・(ドラムなどの)各種打ち込みが有機的に混ざり合って音楽はスリリングな展開になっている。12月にはBlueNote東京(ここですか?という感もしますが)で1日公演したようだ。スペイン語でなでるような囁くような声で歌う声とややクールだけど攻撃的な曲調がマッチしてこの人が人気が高いのが分かるような気がします。

・Trinity / fox capture plan
日本人若手のPianoTrio、ドラムンベース風に高速変拍子をこなし、ロックの要素入れていわゆるFusionというような括りより新しいJAZZの要素入れたCLUB音楽ともいうべきか、ここまで突き抜けてくれるとあっぱれな気がします。e.s.t.が提示したJAZZのようでそうでないJAZZをここで見事に発展+展開させています。#2の突き抜けた演奏はこのユニットのアイコンになるかもしれないほどユニットの個性が上手くこの曲に収まっている。

・Wenu Wenu(ウェヌ・ウェヌ) / オマール・スレイマン
中東シリアのスーパースターだそうだ。こういうエスニックテクノダンス音楽は初めて聞くわけではないけど、徹底した音作りが潔いです。チープなシンセで旋律を作り存在感あるダミ声で歌う音楽はしびれますね。こういう音楽は中東では結婚式やパーティーで使われることが多いのだそうだ。変拍子があるわけでもなく頭打ちのビートが心地いいので両手を上げて体をゆすりながら踊り出したくなる音楽です。トム・ヨーク、ビョークが大絶賛しているようだ、何となく分かる気がします。

・Journey to Journey / 狭間美帆
新聞で絶賛しているレビューを読んで聴いてみました。これは凄い、まず演奏がうねっています、しかも全曲!
ジャズのビッグバンドが中核なのですが、それに加えて弦とヴィブラフォン、タテノリな変拍子チューバ、バリトンサックスが這うようにすると、ストリングスがリズミカルにパルスを出しメロディも奏でる。ヴィブラフォンが縦横無尽に響き渡り、ピアノが思いっきりスイングすればバッキングに徹するところもあり。聴いたことのないサウンド(誰誰風と思い描くことが出来ない)。これがデビュー作とは思えないほぼ完ぺきなアルバムです。

(received '14.1.21)

Sweeperさんのプロフィール...故・ウクレレ前田さんのブログ『裏声喫茶』の常連さん。13年続けて『なんでもTOP10』に参加いただき、こっちのほうでもすっかり常連さん。どうもありがとう!

 

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