2013年なんでもTOP10

−2013年 ミステリー TOP10 −

by ヒロくん(師匠)

(1) 緒川 怜『冤罪死刑』
(2) 青崎有吾『水族館の殺人』
(3) 福澤徹三『灰色の犬』
(4) 中山七里『追憶の夜想曲』
(5) 薬丸 岳『友罪』
(6) 雫井脩介『検察側の罪人』
(7) 真保裕一『正義を振りかざす君へ』
(8) 周木 律『眼球堂の殺人〜The Book〜』
(9) 秋吉理香子『暗黒女子』
(10) 石持浅海『カード・ウォッチャー』
(次点) 新野剛志『美しい家』

 2013年に出版された新作ミステリーのTOP10です。

(1) 少女誘拐殺人の冤罪事件を扱ったミステリー。ひとつの狙いだけのために、有機合成で一つヒドロキシ基を付けるだけのために何十もの工程を経るようなにまどろっこしいことをやってます。ここまでやるかぁ〜〜〜?(苦笑) 被害者の父親が、大手ファミリーレストランチェーンが手放した店舗を「居抜き」で利用し、急成長を遂げたレストランチェーンの社長で「街道沿いの禿げ鷹」という異名を取るなどどっかで聞いたような設定、山梨県警が舞台でありつつ、富山県警の不祥事(富山連続婦女暴行冤罪事件)を思わせる展開など、ニヤリとさせられるところも(苦笑)。ただ、残念なのは、単行本発売から1年も経たないうちに(TVドラマ化されるという理由で)文庫化されたのが...。くそォォォ〜!!!。

(2) デビュー作が『体育館の殺人』で、続く2作目(本作)のタイトルが『水族館の殺人』と知った時点で大いに笑わせてもらった。この時点でTOP10入りさせることを心のなかで決めた(爆笑〜!!!)。デビュー作同様、ロジックで犯人を絞り込んで行く展開は、お見事! 田中寛崇によるカヴァーイラストの女子高生もなまめかしくてgood! 3作目は『博物館の殺人』でしょうか? それとも『美術館の殺人』?(苦笑)

(3) 親子ともども絶対的な窮地に追い込まれたところで大逆転..ってところはあまりにも出来過ぎなんだろうけど、ドキドキハラハラさせられました。楽なほうに、楽なほうに、と流されて行くうちにどんどん堕ちて行く息子のどうしようもなさも、今の日本社会の現実なのでしょうか。

(4) 悪辣弁護士・御子柴礼司シリーズの第2弾。御子柴がいったい何を企んでいるのか途中で分かっちゃったけど、その展開のあまり趣味の悪さにニヤリ(苦笑)。しかし、正体が明らかになっちゃった後、シリーズ第3弾とかは出るんでしょうか?

(5) 『酒鬼薔薇』が今どこでどうしてるのか?...について、彼と同じぐらい重い業を背負った人物を設定することで読み手に深く考えさせるお話。元・AV女優というのも、過去を消すのは大変なんですね...。

(6) クリスティーの『検察側の証人』、小泉喜美子の『弁護側の証人』へのオマージュのタイトルを持つこの作品、若き有望な検察官の一生を潰してまで罪人を裁こうとする執念にも怖いですが...『Nシステム』網のほうがもっとヤバいですね(苦笑)。

(7) 「黒幕」の正体にビックリさせられます。船戸与一の『龍神町龍神十三番地』みたいッス。舞台となる長野県の「棚尾」のモデルは長野県上田市? 

(8) 毀誉褒貶が激しく、よくも悪くも今年のミステリー界の話題をさらった新人・周木 律のデビュー作。天才数学者・善知鳥 神の正体にビックリ!です。メイン・トリックもアホらしくて笑った。

(9) 誰しも自分の都合のイイように現実をねじ曲げて解釈し記述する...という人間誰しもが持つ暗部を抉った怪作。

(10) サラリーマンなら誰しもこの作品に喝采を叫ぶのではないでしょうか。もっとやれぇ〜! 労基!!!(爆笑〜!!!)

(次点) 『イエスの方舟』事件をモティーフにしたと思われる作品で、集団生活してた世代の次の世代(子供たち)がオトナになったらどーゆーことが起こりうるかを考えてみた異色作(だと思います)。不思議な読後感が残る。

 選外を羅列するのは反則なんだろうけど、佐々木 譲『代官山コールドケース』、伊坂幸太郎『死神の浮力』、奥田英朗『沈黙の町で』、福澤徹三『死に金』、深水黎一郎『美人薄命』、百田尚樹『夢を売る男』、深木章子『螺旋の底』、白土 勉『死の鳥』、中山七里『切り裂きジャックの告白』、石持浅海の碓氷優佳シリーズ第4弾『わたしたちが少女と呼ばれていた頃』も面白かったッス。

('14.5.3)

ヒロくん(師匠)のプロフィール...2014年はフル・マラソン4時間以内での完走を目標に掲げる市民ランナー。

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