−2014年
Movie TOP10− by
Sweeperさん 1位
her/世界でひとつの彼女 (1位と次点以外は順位なし) いい映画っていうのはかなり見逃がしていると思う。2014年に公開された映画の中で見れた映画を評価していくしかない、そんな中で「her/世界でひとつの彼女」がとても映画的で昔の映画のようでSFでもある、不思議な魅力を持った映画でこの2014年何を見た?と思いだすたびにこの映画が思い出せれてきそうなそういう重みも軽さもあります。 1位
her/世界でひとつの彼女 ・ある過去の行方 ・ザ・イースト ・LIFE! ライフ ・アメリカン・ハッスル ・あなたを抱きしめる日まで ・ゴーン・ガール ・ブルー・ジャスミン ・ワールズ・エンド
酔っぱらいが世界を救う! ・渇き。 次点
オール・ユー・ニード・イズ・キル (received
'15.1.24) Sweeperさんのプロフィール...故・ウクレレ前田さんのブログ『裏声喫茶』の常連さん。14年続けて『なんでもTOP10』に参加いただき、こっちのほうでもすっかり常連さん。どうもありがとう!
・ある過去の行方
・ザ・イースト
・LIFE! ライフ
・アメリカン・ハッスル
・あなたを抱きしめる日まで
・ゴーン・ガール
・ブルー・ジャスミン
・ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!
・渇き。
次点 オール・ユー・ニード・イズ・キル
1位にしなかったけどリメイクの「LIFE! ライフ」は映画らしい醍醐味とユーモアと興奮をもった素晴らしい映画でした、ベン・スティラーすごいですね。
ウッディ・アレンが「インテリア」で見せた絶望を「ブルー・ジャスミン」でややシニカルにしかしずっしりと重いものに再現させている。前々作や前作で見せた人間を掘り下げたドラマをとらえたアスガー・ファルハディ監督の「ある過去の行方」ではかすかな希望を持つことの意義を教えてくれます。
1位以下は順不同ということで。
スパイク・ジョーンズ監督作品
Jフェニックスがどこかスーパーマリオのキャラに似ているのは気のせいだろうか?
コンピュータのオペレーティングシステムの声(OS1とかいうシステムが男性にしますか?女性にしますか?で選択できるので男性なら興味本位で女性を選んでみるよね)が、ハスキーで感情がありしかも学習機能があり、よく気が付く、そんな「声」に恋してしまう危ない映画です。Jフェニックスがいつも演じる役とは違って純粋で傷つきやすく繊細な役どころと近未来の手紙代筆業とその事務所の付近のテクノロジーが進んだ未来的なキレイな(そしてゴミ一つ落ちていないクリーンな)空間が独特な世界観を見せている。こんな世界実在しない、と言い切れないところまで日常世界は来ている、人工知能だってあともう少しのテクノロジー(商業化するかどうかは直近の課題なのだろう)。現代人(未来人も同様)の孤独、愛すること、物事の価値観、個性を認めるという事、POPな映像と裏腹にそこは随分と哲学的な双極の価値観を選択しなければならないのかもしれない。人工知能という自ら進化することを認める機能を持たせるとそのテクノロジーの進化に人間が追いついていけるのか、この極めてオリジナルで独創的な物語に魅了されてしまった。
アスガー・ファルハディ監督作品
「彼女が消えた浜辺」ではミステリーのような結婚前の男女らのコミュニケーション不在を、「別離」では家族問題を。そしてこの作品でも国際結婚とその離婚の顛末を描く。フランス人とイラン人の元夫婦の過去とは?という部分を探っていくサスペンスなのかと思いきやこれまたそうでもない、という何か一貫した流れがこの映画監督の作るものはあります。次の作品も期待が高まります。さてこの映画に込めたものとはもっと奥深いところにあったのですね。キーワードは「匂いへの感覚/記憶、そして涙」
ベレニス・ベジョが「アーチスト」で見せた演技よりいいものを見せている。
環境テロ、グリーンピースもしくはシーシェパードが想起される団体の行動を止めてそれをFBIに報告してお金を売る会社というのが存在するのだろうか?現実はそういう会社は表面には出てこないかもしれないけどあるのでしょうね。
環境テロリストのすることはどこか稚拙な発想もあるけどだと言って騙して環境破壊する大企業はどうなのか?
どちらが正義なのか?
もう映画は白黒をつける時代は終わっている。
主人公の選択肢は?その白とも黒ともいえないものを選択するのか?
ブリット・マーリングは主演ながら脚本と製作も兼ねていて将来性のある美人女優とのことです。かなり考えさせられる、映画の流れとこの映画をみなさん見終わったあとどう思うのか聞いて回りたい、とても面白い映画でした。
原題: The Secret Life of Walter Mitty
監督と主演はベン・スティラー
LIFE編集部に勤務する主人公(ベン・スティラー)の地味で平凡な人生を送る冴えない男が時々途方も無いほどのアクション映画並みに活躍する自分の姿を夢想する、というのがそれまでだったが、LIFE誌廃刊というきっかけで実際に行動を起こしていく。そのきっかけが片思いを実際の形にしたいという願望だったりLIFE誌廃刊で忘れかけていた誌の方針標語だったりする。
世界を見よう
危険にも立ち向かえ
壁の裏側を覗こう
もっと近付こう
お互いを知ろう
そして感じよう
それが人生の目的だから
これを実践するかのように、主人公は世界を見ることになる。
その間経験したことが彼を大きく変えていく。
確かにLIFE誌は無くなったのかもしれない。この標語もそのうち忘れ去られるかもしれない。それでも日常が大きく自分を押しつぶしそうになった時にこんな映画があったなぁ、そうだ、立ち上がって見方を変えてみようという気持ちがそこで芽生えればこの映画の意義を再確認するのかもしれない。大がかりなファンタジーコメディではあるけどすごくパーソナルに訴えかけてくる映画です。
小道具、細かいエピソードも結構効いてくる。片想いの同僚役がクリステン・ウィグというコメディ女優としては最適な人、冒険者写真家役をショーン・ペンが演じてこれもぴったりはまる、そして彼が使うカメラがフィルムカメラ
NIKON
F3。母親役にはシャーリー・マクレーンというこれは意外な配役。神経質そうで細かすぎる役が初めから分かるので最後の方で心配された部分がここでは安心して見られる伏線もある。
映画を見ることはそもそも空想にふけることでもある、この映画はそれもいいよ、と肩をポンと叩いてくれる映画なのかもしれない。
デヴィッド・O・ラッセル監督作品
場所と時代はアメリカの70年代。そしてどこかバブリーな雰囲気。しかしそれは虚飾でしかないうわべだけの世界。主人公は詐欺師たち。
そしてこれが実話であるという事の面白さがフィクションを超えた意外な展開がいい。実話はもっとえげつなく退屈でおぞましいのかもしれないけどそこは映画の編集の良さという事なのだろう。Cベイルが今度は瘠せていた体を肥満体に改造して主演するという(デニーロ並みに)この人も伝説になる俳優になるのだろうなと思わせる。騙している人達が騙されてそして最後にはまた騙す、というどこまで信じていいのか?という面白みがサスペンスでもある。サスペンスと言えばカジノがらみでマフィアの大物が出てくるシーン、ここはちょっとしたサプライズ、このシーンは流石に怖かったゾクっときましたよ。オスカーは無冠でしたがこの映画の面白さはそんなものでは測れない。
スティーブン・フリアーズ監督作品
出演している、ジャーナリスト役のスティーヴ・クーガンが脚本も手がけている、実際にあった話とのこと。50年前に10代だった主人公の主婦が子どもを産むが修道院はその子を勝手に養子に出してしまう。その子の50回目の誕生日に現在の娘に打ち明けることで子どもを探す旅が始まる。映画はその足跡を追うどこかミステリーかかったところもあるがそのうちあっさりと足跡が判明してしまう。物語はそこでは終わらず母は考える「自分の事を思ってくれていたのだろうか?」更に旅が続き結局旅は出発点に戻ってきてしまう。許す事、寛容である事、譲れない事、伝えたい事、伝わらない事、そんな事が最後にはぐるぐると回り主役のジュディ・デンチが演ずる主人公の人生の意味を考えてしまった。
デヴィッド・フィンチャー監督作品
衝撃的な映画です。唖然としてしまいました。
サスペンスかと思いきやサイコパスなスリラーに変貌します。
主演のベン・アフレックが木偶の坊な男、妻が失踪しているのにその捜索記者会見で笑った顔を見せてしまうそんな役を実生活で見せたままのこれほどの適役はないとみんなに推されて見事に演じている。失踪してしまう妻役がロザムンド・パイク、この今まで目立たなかった女優さんが毒を発散している。途中からの展開はちょっと言えないけどあっけにとられてしまう。
不穏な空気を音楽で的確に表している、トレント・レズナー&アッティカス・ロスはざらついた心象風景的な不安な気持ちをあおり安らげることを拒む映画にマッチした音作りでした、これはこれですごいことです。
主演のベン・アフレックの役が最後には実生活に本当にダブってしまう、変なマジックに取りつかれたままですごく気持ち的には心につかえたままである。
ウッディ・アレン監督作品
残酷な映画です、セレブが落ちていく壊れていく様。コメディ色は殆ど無い、笑いがあってもかなり痛いそれも皮肉交じり多め。この人しか演じられないでしょうというキャスティング、ケイト・ブランシェットが演じる。
元セレブが落ちていくのが痛快という見方と、痛すぎて直視できないという見方、その中間という見方。
映画館で見た限り、「元セレブが落ちていくのが痛快」な笑い声/反応があった。人それぞれな反応のなのですね。ウッディ・アレンはどちらにつく、ということもなく、傍観者としてとらえて、むしろケイト・ブランシェットのややオーバーすぎる演技を楽しんでいたのかもしれない。とはいえ手放しで笑えるコメディではない、むしろ笑えないコメディです。
エドガー・ライト監督作品
サイモン・ペグ脚本も脚本に参加しているらしい。20年ぶりに故郷に来て果たせなかった事をする、12件のバーをはしごしてビールを飲むという企画を立てる。これは女性には理解/共感されにくいだろうけど男性はこういう事に妙にこだわりを持つ、そんな事を何となく共感しました。
「ショーン・オブ・ザ・デッド」と「ホット・ファズ
-俺たちスーパーポリスメン!-」を合わせてみましたという作風でした、その意味では新味はない。そもそも前2作ともパロディだったりオマージュだったのでそれはあんまり目くじら立てて見るものでもなく楽しめればいいのかな。とも思える娯楽映画でもあります。最初はビールを飲もうかという同窓会的なノリから途中から「SFボディスナッチャー」的な要素が入り込んできて大がかりになる。それを遣り過ぎと思うかそれも楽しんでしまえと思えるのかそれによってこの映画の鑑賞態度が変わってくるのでしょう。「世界の終わり」というタイトルはそういうSF的な要素もあるけど12店目のバーの最後のバーの名前でもある。
中島哲也監督作品
野獣のような役所広司、漫画キャラクターのように軽い妻夫木聡、一般人のようなふりをする中谷美紀、脇役だけどここでも強烈な印象を残す二階堂ふみ、そして野獣の娘は天使か悪魔か?の小松菜奈。結構美味しいところを持って行ってしまうオダギリジョー。。。
演技者がアンサンブルのようにののしりあい叫びあい殴りあう。めまぐるしいジェットコースターのような編集はここでも健在でぼんやりと見ることが許されない濃密な時間を過ごすことになる。内容的にはかなりスプラッターな内容だと思うけどそういう表現は抑えられていると思う、これが韓国映画だったら容赦なく血が飛び肉片がはねるような表現だろうけどそこはスマート?な編集でそのドギツイ場面をやり過ごしているのだと思う。ここで描かれているのは復讐でもないし愛情でもない、ひたすら感情に赴くままに突き進む野獣的なサガと人間は何処まで性悪になれるのかという、まさに理性の反対側を突き進んでしまう父親と娘のコントラストなのかもしれない。これまた問題作を作りましたね。
ダグ・リーマン監督作品
Tクルーズ主演で「オブリビヨン」がSFであったのにどうしてまた近い内容のものを選ぶのか?という疑問があった。この話の内容を読んだらきっとTクルーズはそのゲーム感覚的な話に取りつかれてしまったのでしょう。そう、ゲームで途中で死んでしまったら最初に戻ってリセット出来る。この話もSTART、FIGHT、GAMEOVERの連続でその間にコツを習得していく、毎日が連続するという話は珍しくもないし、何かをやり遂げるために「何回も死んではリセットする」という「ミッション:8ミニッツ」(Jジレンホール主演)に似ているというかかなり影響があるのかもしれない。まあこの映画は全くそれという訳ではないもののTクルーズがよく動いているので強引にそのTクルーズのマッチョな世界に引き込まれていきます(当初は軍のリクルート広報マンという肩書が何とも現代的です)。異星人のキャラクターが最近思うのですが鋭い触覚をもったタコかイカのような奴というのが多いのですが恐らくこういう宇宙人がどこかにモデルでいるのでしょうね。世界はこの映画のように本当に壊れてしまうのだろうか? 一般の人も普通に兵士として駆り出されてしまうこの映画は妙なリアリティがありました。