−2014年
に聴いた新譜 TOP12− by
Toneさん 1位 CODAMA
Through "A Codama runs through it" (4位以下は順位無し) 2014年は旧譜もいろいろ良いものを聴きましたが、面倒なので新譜に限ってリストアップします。新譜はどうしても嫁さんが買ってくるものを聴くので若干チョイスが偏りますが。ざっとiTunesを眺めて、目についたものを。なにか忘れてたらすみません。旧譜に関してはいろいろと手を広げて聴いた年でしたが、新譜に関しては前から追っているお気に入りのバンドを順当にフォローした感じです。 1位 CODAMA Through "A
Codama runs through it" 2位 +/-{plus/minus}
"Jumping The Tracks" 3位 Vandenberg's
Moonkings "MoonKings" 以下順位なし ・Switchfoot "Fading
West" ・Demon Hunter
"Extremist" ・Imogen Heap "Sparks" ・Judas Priest "Redeemer
of Souls" ・Tesla "Simplicity" ・Chaotic Resemblance "Get
The Hell Out" ・War of Ages "Supreme
Chaos" ・Winger "Better Days
Comin'" ・Michael Sweet "I'm Not
Your Suicide" (received
'15.2.23) Toneさんのプロフィール...mari
Tones
(伊万里音色)というバンドでマイペースに活動しております。
2位 +/-{plus/minus} "Jumping The Tracks"
3位 Vandenberg's Moonkings "MoonKings"
・Switchfoot "Fading West"
・Demon Hunter "Extremist"
・Imogen Heap "Sparks"
・Judas Priest "Redeemer of Souls"
・Tesla "Simplicity"
・Chaotic Resemblance "Get The Hell Out"
・War of Ages "Supreme Chaos"
・Winger "Better Days Comin'"
・Michael Sweet "I'm Not Your Suicide"
90年代に活躍したJ-Popのシンガーソングライター、熊谷幸子さんのユニットCODAMA
Throughの正式デビュー作品というべきEP。6曲入りのハーフアルバムではありますが、2014年にもっとも心に響いたという意味ではやはりこれがトップかなあ。熊谷さんの優れた作曲技法と、力強いメッセージ性が合わさって、あるいは世界のどこにあるよりも今いちばん強靭な音を紡いでいるかもしれません。メッセージ性の強い「けもの」は鳥肌ものでした。
大好きなニューヨークのインディーバンドの、実に2008年以来、5年半ぶりとなる新譜。その間、未発表曲のコンピレーションアルバムを出したり、震災のベネフィットアルバムに楽曲を提供してはいたが、そこから数えても3年は待たされたので、待ちくたびれた、待ちに待った新譜だ。個人的には本当に現代ロックのいちばん先端を鳴らしていた彼らの、その次の音がどんなものなのか本当に楽しみにしていた。けれども、音が届いてみれば、5年もの間に、家庭を持ち、生活が変わってしまった彼らの音は、少しばかりなまぬるいものだった。結果、このアルバムは僕が欲していたものとは少し違い、待ち続けた彼らの新譜も、「その先」が聴きたいという僕の渇きを完全に癒してくれることはなかった。けれども、そこに見えるあたたかくも荒涼とした景色は、先端を走り続けた彼らだけにしか見えないものだ。そして、やはり心に染みる曲がいくつもあり、結果的にはたくさん聴いた。現代という時代を生きるインディーズミュージシャンとして、このアルバムの音と風景に、考えさせられることはいくつもあり、僕にはそれで十分だとも言える。個人的には"Running
The Distance"が非常に泣けた。
ヴィンテージ系のレスポールサウンドでハードロックを鳴らすことに関しては世界でも第一人者の一人であろう、エイドリアン・ヴァンデンバーグの復活作。
ソングライティング的には、特に奇をてらった所もなく、新しさも無く、ストレートなZeppelin系のハードロックだが、この「本物感」は凄い。伝統的なハードロックのお手本とも言うべきバンドサウンド、そして最高のギターサウンドと、表情豊かで無駄のないギタープレイは至高と言える。才能も経験も積んだ最高のミュージシャンによって生み出された、これがハードロックだというひとつの最高のサンプル。長く愛聴することができそうな一枚。
2000年代を代表する王道のアメリカンバンドのひとつであり、クリスチャンミュージックのマーケットでも根強い支持を持つスイッチフットの最新作。なんでも同名の映画のサウンドトラックとして作成したらしい。これはつまり、映画のサウンドトラックという枠の中で音楽を作ると、何もコンセプトを持たずに自由に作るよりもより機能性にフォーカスした音楽が作れることがあるが、それならば映画を自分たちで作って、そのサウンドトラックを自分たちで作ってしまえ、というノリのようだ。しかしそれは、誰もが真似できることではない。サウンドは非常にポップで、80年代的というのか、ピコピコ、かつ、キラキラしている。だがサーファーという背景を持ったバンドのカラーが強く表れた作品でもある。非常にさわやかで、直球のメッセージ性が素直に入ってくる。
シアトルを拠点とする、クリスチャン・メタルコアの重鎮の最新作。
2012年の前作"True
Defiance"が非常に良かっただけに、2年のインターバルを感じさせず、え、もう新譜?という印象を持った。そしてなんとなく予感していたのだけれど、非常にポップかつわかりやすくストレートな音楽性を強調した作品になっていた。悪くいえば安直、というか。なので最初は少し拒否感を覚えたが、強力な楽曲はいくつもあり、聞き込むと、なんだかんだDemon
Hunterらしさが伝わってくる。また歌詞にこめられらメッセージ性もいつも以上に強く、表面上をいくらストレートにしようとも薄まることのないこのバンドの表現の核を感じる作品だった。
現代UKの代表的なエレクトロ系歌姫であるImogen
Heapの最新作。
作風は期待通りで、21世紀の歌姫として間違いのない「進歩的な」サウンドと楽曲を提供している。クオリティも非常に高い。
だけれども、ところどころに挿入された(現地で録音したとおぼしき)中国っぽいサウンドとか、民族っぽい要素が、なんだかわざとらしい。そのあたりを自然にブレンドできずに、わざとらしく取って付けたようになってしまうのは、現代のポップミュージックの限界だろうか。いや、たぶん、というよりも、彼女は自分に期待されるものをよくわかっていて、それを演じて見せただけなのだろうな。
ヘヴィメタルの大御所の、あるいはいよいよラストアルバムになるかもしれない最新作。自分はプリーストは大好きなバンドだけれども、このベテランの新譜に、大きな期待は持っていなかった。きっと予定調和の中で作られた、安定はすれど退屈な型どおりのヘヴィメタルを聴かされるだろうと。
果たして届けられたのは確かに予定調和っぽい型どおりのヘヴィメタルだったが、その型の中において、クオリティが非常に高かった。もうこのバンドに新鮮な驚きを覚えることは無いだろうと思っていたのだが、ひとつでもふたつでも、このアルバムの中に驚きの要素があるだけで、自分としては期待以上の作品だった。実質的にはK.K.Downingの後任であるRichie
Faulknerの色が強く出ている作品だと思うのだが、若き血の導入はどうやら大成功という結果になったようだ。正直細かいところにいろいろと不満はあるのだけれど、この大ベテランの、この年齢、この時点で、これだけの作品を作ってくるというのは、間違いなく大ホームランだと思う。
1980年代のヘヴィメタル黄金時代を駆け抜けたバンドの中でも、なんだか足に地の着いた音楽を奏でていたTeslaの最新作。
僕はTeslaは最初の3枚のアルバムしか聴いていないけれど、時代背景の中で、変に流行を追うでもなく、また変にレトロ趣味に走るでもなく、自然にハードにロックンロールするその音楽性、良い意味で「普通のアメリカのロックバンド」みたいな彼らの佇まいは素晴らしいと思っていた。そして実際その楽曲のクオリティの高さ、ストレートなようで柔軟性に富んだレベルの高い音楽性は、あるいはGuns
n'
Rosesが成し遂げられなかったものを彼らは実現したのではないかと思わせるほどだ。
そんなこんなで、新譜を聴かされたのだけれど、正直なところ、その、若い頃のかつての輝きと、勢いと、派手ではないけれど素晴らしい宝石のような才能、その期待値からすると、どうにも落胆を隠せない内容だった。彼らほどの実力とキャリアがあれば、年を経て、もっともっとロックンロールの高みを極めていてもおかしくはない。けれども、現実にこのアルバムで鳴っている音は、なんだか順当に歳をとって、進化するというよりは、順当に劣化したサウンドだった。なぜだろう。誰もが歳をとり老いていくという当たり前のことを示しているだけだろうか。あるいは人は次から次へと、新たな次元への扉を開いていかなければ後は落ちていくだけだとでも言うのだろうか。ちょっと理由を考えてみたくなった。
オクラホマ出身の、若きヘアメタルバンドにして、クリスチャンバンド、Chaotic
Resemblance。かのStryperのOz
Foxをプロデューサーとして制作された新作。
こうした80年代っぽいファッションでやっている若いバンドの中でも、彼らはよくやっている方だと思う。クリスチャンメタルの重鎮をプロデューサーに迎え、大きなフェスティバルにも出演を重ねて、着実に知名度を上げている。サウンドは、いかにも順当に元気の良い現代のヘアメタルといった感じだが、そこにそれ以上の特別な何かがあるかと聞かれると難しいところだ。けれども現代のシーンにおいてそういうところはもはやそれほど重要でないことも確か。僕がやっているバンドとも、やっていることとしてはそれほど遠くない。ぜひ彼らと会ってみたいし、そのうちいつか道が交わる機会もあるだろうと思っている。
ペンシルバニア出身のクリスチャンメタルコアバンドの最新作。
もともと、どストレートな男のメタルコアを展開していたバンドだけれど、こういったストレートなメタルコアがともすれば時代遅れになってきた感のある現代においても、その本質は変わらないようだ。その時々で、流行のサウンドを取り入れてはいるのだけれど、どうつくろっても、やっぱり男のゴリゴリ・メタルコア。むしろそこはやはり好感が持てる。ぶっちゃけこの新譜も、あんまり聴いてないが、そうこうしてるうちに、このタイミングで、まさかの来日決定のニュース。応援に行くかね。
80年代に、その華麗なルックスと、それ以上に華麗で洗練された音楽性で一世を風靡したWinger。ルックス先行のバンドと思われがちだが、ミュージシャンとしては職人気質で、その実力はまぎれも無く一流。なのだけれども、僕はなぜか、ライヴを見るたびに、このバンドが、洗練されたサウンドを得意とはすれど、決して本質的にロックバンド足り得ないことを実感してしまい、ライヴを見るたびに興味が失せていく。結果、このバンドに対する僕の認識は、「ルックス先行と思われがちだけれども、実はミュージシャンとしても実力は一流、とはいってもやっぱり最後は結局ルックスとイメージとポップサウンド」という感じになってしまった。
3作目以降、サウンドの深みと複雑さを増していったWingerだが、21世紀に入り、ヘヴィメタルが往年の年齢層の高いファンをターゲットにするようになり、かつてのポップなイメージを振り払うかのように前作2009年の"Karma"では、ヘヴィかつストレートなサウンドに徹した。今作は、その路線を受け継ぎつつも、幾分はかつてのポップで華やかなテイストも取り戻している。だが、結局中途半端な作品のように僕には思える。煮え切らない矛盾した要素をいろいろと抱えた人なのだと思う、Kip
Wingerという人は。本質的にポップ職人であり、またクラシックの作曲家であるかもしれないが、根っからのロッカーという人ではないのかもしれない。
2013年にリリースしたStryperの会心作であり実質的な復活作とも言える"No
More Hell To
Pay"が好評を得て、2014年には自伝のリリース、Stryperのライヴアルバム、ライヴDVD、ソロアルバムのリリース、そして2015年1月にはジョージ・リンチとのプロジェクトのアルバムをリリースと、精力的なんて言葉では間に合わないくらい忙しく活動しているMichale
Sweetの、ソロアルバム。実際、この人のソングライティング能力って、今のStryperのようなアウトレットよりも、むしろこのソロアルバムのような形の方が効果的に発揮されるような気がしている。驚きこそ無いものの、普通に好盤。あんまし聴いてないけれども。Stryperの次回作では、期待を越えたものを作ってくれることを楽しみにしたい。