Vielleicht Das Nachste Mal

 とあるサイトで「『イデオロギー』って言うな。『アイデオロジー』って言え」っていう話題が出ていた(笑)。
 そういう意見が出るのは解るんだけど、哲学用語、医学用語、山岳用語(笑)はドイツ語の影響が強いからねぇ(笑)。そんなことを言ったら、『エネルギー』じゃなく『イナジー』、『ゼミナール』じゃなくって『セミナー』(これは変わりつつある)、『ウィルス』じゃなくって『ヴィールス』(正確な英語読みだと「ヴァイラス」)、『ビタミン』じゃなくて『ヴァイタミン』って読め...というのと同じだと思う(笑)。『スペルマ』じゃなくて『スパーム』...下品でスミマセン...。
 最近、山岳用語もだいぶ英語化が進んできた。昔は「登山口から5時間のアルバイトで頂上に着く」っていう言い方したんだけど、最近はめったに聞かないし、使われない(笑)。古い登山ガイドブックにのみ見かける記述です(笑)。日本語化した「アルバイト」って、副業、学生の内職という意味に固定されてますけど、ドイツ語の「arbeit」って「work」と同じ意味だからね(笑)。5時間の重労働の末に頂上に付く...実感沸く記述だと思うけど(笑)。
 『シュラーフザック』も『スリーピングバッグ』に、『ザイル』も『ロープ』に、『コッヘル』(食器)も『クッカー』に...登山用語の独語もどんどん英語にとって替わられてます。英語の増殖力、ブラックバス並なものだからドイツ語の登山用語、どんどん駆除されてる(苦笑)。
 私が信州大学の松本ワンダーフォーゲル部に入った時、女子部員のことを『メッチェン』って呼んでた。これも「少女」を意味する独語(madchen...『a』の上にウムラウト有り)から来てた。英語における「maiden」です(笑)。この『メッチェン』って呼び方は全国どこの大学の山岳サークルでも通用してた立派なギョーカイ用語です(笑)。この『メッチェン』って呼び方には私は抵抗なかったんだけど、さすがに食事のことを『エッセン』(essen)って呼ぶ感覚はついていけなかった。だから3ヶ月で松本ワンダーフォーゲル部を逃げ出したのかも(笑)。箸袋のことを「エッセン袋」って呼ぶなぁ〜!!!
 ところでドイツ語っていうと、私の働いてる化学ギョーカイ用語にも影響著しいんだよね。専門外のひとには何のことやら?という話で恐縮ですけど、有機化合物の光学異性体の構造区別する際、『
R-体』、『S-体』って分けるんですよ。この『R-体』と『S-体』の語源はもちろんドイツ語で、レヒツ(rechts : 右)とジニスター(sinister : 左)。ただし、これらの言葉には正義(rechts)と邪悪(sinister)っていう意味もある。お蔭で私はベルセバの曲を「イフ・ユーア・フィーリング・ジニスター」ってつい読んじゃいます(苦笑)。
 今の会社に入社した時に驚いたのが、ベンゼンのことを『ベンゾール』、トルエンを『トルオール』、キシレンを『キシロール』ってドイツ語で呼んでたこと。流石に今ではもう使わなくなったけど、いまだにこんな用語使ってるのか!!!ってビックリしました。それでもナトリウムやカリウム、ゲルマニウムとかドイツ語由来の化学用語はいまだに健在で、滅びる気配はありませんけど(笑)。
 この話題、まだまだネタが尽きないと思うけど、それこそ「Vielleicht Das Nachste Mal」ってことで(笑)。

(註)この文章は、とあるサイトの掲示板に私が書き込みした文章を加筆/訂正したものです。

('01.12.1)

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