何故、オアシスのニュー・アルバムはダメなのか
前作『ビィ・ヒア・ナウ』から2年半、待ちに待ったオアシスのニュー・アルバム『スタンディング・オン・ザ・ショルダー・オブ・ジャイアンツ』がリリースされた。2年半も待ったのだからファンの期待は大きかったようで、レコード店では飛ぶように売れているらしい。私の行きつけのレコード店の店員さんの話によれば今までの作品のなかでも、売れるスピードが早いそうだ。だからこの新作はこれまでオアシスがリリースした作品のなかで一番のデキかというと、ハナシはそう単純なものでない。あくまで私個人の意見だが、この作品はオアシスが出したアルバムのなかで一番デキが悪いと思っている。発売当初は誉められたものの、イギリスで『モーニング・グローリー』以下のセールスに留まった途端フクロ叩きに遭った『ビィ・ヒア・ナウ』は勿論のこと、シングルB面曲の寄せ集めである『マスタープラン』よりも劣っていると思う。それまでのアルバムと比べていったいどこが劣っているのか私なりの意見を言おう。
OASIS--Standing On The Shoulder Of Giants |
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(国内盤 : EPIC ESCA-8118) |
まず、そもそもオアシスの魅力とはいったい何か? いっしょに合唱したくなるメロディの親しみやすさ? それとも、ギャラガー兄弟のキャラクター? どちらもアリだろうが、私にとってオアシスの魅力とは、聴いていて気分が高揚するところにある。少なくとも『モーニング・グローリー』までのアルバムの曲はどの曲も聴くと気分が高揚したし、『ビィ・ヒア・ナウ』の曲も『マスタープラン』の曲もそういう曲があった。ところが、今回のアルバムでは聴いて気分が高揚するのは“Where
Did It All Go Wrong”と“Sunday Morning
Call”のノエルがリード・ヴォーカルをとる2曲と日本盤ボーナスの“Let's
All Make Believe”だけ。“I Can See A
Liar”も良いが、曲が短すぎ気分が高揚しきらない。他の曲は先行シングルの“Go
Let It Out”も含めユル過ぎてハナシになんない。
新作のなかで気分が良くなるのがノエルのヴォーカルの曲だけ...というところに、『オアシスの声』とされるリアムのヴォーカルに以前ほどの威力が無くなったのでは...と疑念を抱かざるを得ない。子供が生まれたりしてプライヴェートで幸せを満喫し、失業保険で暮らしながらクソ面白くない毎日を送っていた時代とは180度違う生活を送ってるんだから、そこんところが影響しているのか?
で、『今まで出したアルバムのなかで、一番デキが悪い』からといって、このアルバムが駄作か?というと、さにあらず。ノエルの歌う2曲は聴いてて気持ちいいワケだし。ただ『オアシス』と『モーニング・グローリー』の2枚が『10点満点で10点』つくとしたら、今回のアルバムは『8点』というだけのハナシで、決して悪いアルバムではないよ。ただ「オアシスにしてみれば...」というだけのことなのさ。
(2000.3.13)