レディオヘッドは『UKロックのメタリカ』である?

 '97年の傑作『OKコンピューター』から3年のブランクの後、去年の秋にようやく4枚目にあたるアルバム『キッドA』をリリースしたレディオヘッド。3rdと4thの間が3年開いたから、次のアルバムまでまた2〜3年は待たされるハズだ...とファンの誰もが思ったハズ。ところが、わずか8ヶ月という短いインターバルで5th『アムニージアック』がこの5月にリリースされた。ファンなら誰もが知ってるとおり、『キッドA』と『アムニージアック』は同じ時期に楽曲が練られ、レコーディングもされたもので、双児のアルバムともいえる関係にある。

RADIOHEAD--Kid A

(2000年、日本盤 : 東芝EMI TOCP-65777)
1. Everything In Its Right Place 2. Kid A
3. The National Anthem 4. How To Disappear Completely
5. Treefingers 6. Optimistic 7. In Limbo
8. Idioteque 9. Morning Bell
10. Motion Picture Soundtruck

RADIOHEAD--Amnesiac

(2001年、日本盤 : 東芝EMI TOCP-65800)
1. Packt Like Sardines In A Crushed Tin Box
2. Pyramid Song  3. Pulk/Pull Revolving Doors
4. You And Whose Army? 5. I Might Be Wrong
6. Knives Out 7. Morning Bell/Amnesiac
8. Dollars And Cents 9. Hunting Bears
10. Like Spinning Plates 11. Life In A Glasshouse

 3年の沈黙を破って『キッドA』をリリースした頃は、革新的!と絶賛する声がある一方で、こんな感情のない音楽は聴いていられない!という非難めいた声も上がった。2000年を代表する傑作であると同時に、賛否両論を巻き起こした問題作でもあったワケだ。その『キッドA』から8ヶ月、レディオヘッドはレコーディングした音の残りを収めた『アムニージアック』をリリース。バンドという形態を必要としない『キッドA』の音に比べ、バンド的な音が復活してる...という評判の『アムニージアック』、いまのところ『キッドA』リリース時ほど賛否両論を巻き起こす問題作(笑)にはなってないようだ。というのは、もうみんなレディオヘッドが『キッドA』的な音を出してくるっておおよその見当がついてたし、実際に『アムニージアック』を聴いてみたら、予想の範囲内の音だったから(笑)。
 で、今回レディオヘッドが取った行動というか作戦というか戦略...レコーディングした曲の半分を先に出し、世間の反応を見極めながら残り半分をリリースする...どこかで見たことある作戦だなァ〜...。おまけに、先に出したほうが問題作として扱われ、ファンの間でも賛否両論が噴出。後から出したほうは、ファンももう免疫出来てたおかげでそんなに非難めいた声が上がらなかったことも一緒(笑)。おまけに、「少し昔に戻った」と評価されるとこまで似てる(笑)。そう、メタリカの『LOAD』と『RELOAD』だ!!!

METALLICA--Load

(1996年、日本盤 : ソニー SRCS-8000)
1. Ain't My Bitch 2. 2 × 4 3. The House Jack Built
4. Until It Sleeps 5. King Nothing 6. Hero Of The Day
7. Bleeding Me 8. Cure 9. Poor Twisted Me
10. Wasting My Hate 11. Mama Said 12. Thorn Within
13. Ronnie 14. The Outlaw Torn

METALLICA--Reload

(1997年、日本盤 : ソニー SRCS-8512)
1. Fuel 2. The Memory Remains 3. Devil's Dance
4. The Unforgiven II 5. Better Than You 6. Slither
7. Carpe Diem Baby 8. Bad Seed
9. Where The Wild Things Are 10. Prince Charming
11. Low Man's Lyric 12. Attitude 13. Fixxxer

 1991年に『'90年代一番売れたロック・アルバム』とされる傑作『メタリカ』(5th ; 通称、ブラック・アルバム)をリリースしたメタリカは、5年のブランクの後、1996年夏にようやく6枚目にあたるアルバム『LOAD』をリリースした。5thと6thの間が5年開いたから、次のアルバムまでまた4〜5年は待たされるハズだ...とファンの誰もが思っていたところ、翌年秋には7th『RELOAD』がリリースされた。この2枚も同じ時期に楽曲が練られたもので、双児のアルバムともいえる関係。本来はダブル・アルバムとしてリリースされるハズが、ツアー開始までレコーディングが間に合わなかったため、すでにレコーディングが済んでいたものを先に『LOAD』としてリリース。ツアーが終わった後、残りをレコーディングし直して『RELOAD』としてリリースされた経緯がある。
 で、この状況がレディオヘッドの『キッドA』『アムニージアック』ととても似てるの(笑)。メタリカは『LOAD』で脱・メタルを謀り、メタル界からは裏切り者呼ばわりされるほど(笑)賛否評論(ま、非のほうが強かった?...笑)が渦巻いた。その一方、一般ロック・フィールドではちゃんと評価されたケド(笑)。『キッドA』で脱・ギターロックを謀ったレディオヘッドと状況が似てる(笑)。メタリカは『RELOAD』では「メタル的な部分が戻って来た。『LOAD』よりもこっちがイイな」と言う評価を受けた。『アムニージアック』でバンド・フォーマット的な楽曲が増えたと評価されるレディオヘッドと一緒(笑)。
 そもそもその前のアルバムからして、メタリカとレディオヘッドは一緒ぢゃないか!(笑) 『メタリカ』(通称、ブラック・アルバム)でメタルからハミ出したメタリカ、『OKコンピューター』でUKギターロックの枠からハミ出したレディオヘッド。
 レディオヘッドは『UKロックのメタリカ』である...この仮説が正しいとすれば、レディオヘッドの今後は『RELOAD』以降のメタリカを見て占うことが出来るかもしれません(笑)。
 『RELOAD』以降のメタリカは、'98年にカヴァーソングばかりを集めた『ガレージ・インク』をリリース。'99年にはオーケストラとの共演ライヴ盤『S&M〜シンフォニー&メタリカ』を発表してます。そして'01年、ベーシスト(ジェイソン・ニューステッド)が辞めました...。 そしてまだ、『RELOAD』の次の作品を出せないでいます。もしかしたら、レディオヘッドも、これからカヴァーソング集を出し、オーケストラとじゃあなくて、オウテカ(笑)と共演盤を出し、コリン・グリーンウッドが辞めたりして、なかなか次の作品が提示できない???...かもしれません(笑)。さて、どうなることやら...。

(2001.6.16)

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