1993年へタイム・スリップ???
ザ・キルズ

 姉弟デュオ?(笑)のホワイト・ストライプスへの返答として?、音楽メディアの注目を集めてる話題の男女2人組がザ・キルズ。デビュー・アルバム『キープ・オン・ユア・ミーン・サイド』をリリースし、来日公演も早々に行なったばかりである。

THE KILLS--Keep On Your Mean Side

(国内盤 : キング KICP-928)
1. Superstition 2. Cat Claw 3. Pull A U 4. Kissy Kissy
5. Fried My Little Brains 6. Gipsy Death & You 7. Hand
8. Hitched 9. Black Rooster 10. Wait
11. Fuck The People 12. Monkey 23

 米・フロリダ出身の女性ヴォーカリストのヴィヴィと、英国人の男性ギタリストのホテルによる2人組で、ストロークス〜ホワイト・ストライプス以降のガレージ・ロックなサウンドを鳴らしてる。
 これだけ話題になってるので、試しに私も聴いてみた。ネット上を徘徊してると、「ザ・キルズのサウンドは、エラスティカに似ている」というレヴューを見付けたんだけど、実際に聴いてみたところ、事実、そのとおりだった(笑)。1曲目の“Superstition”と2曲目の“Cat Claw”は、確かにエラスティカの1st『エラスティカ』に似た雰囲気がある(笑)。1回だけ聴いた感触だけで言うと、私のなかでも「ザ・キルズ≒エラスティカ」だった。
 だけど、聴く回数を重ねていくうちに、パティ・スミスっぽく聴こえるところも発見した。
ヴィヴィのヴァーカルがパティ・スミスっぽく耳に響いてきたからだ。“Black Rooster”あたりが、特にパティ・スミスっぽい。
 あと、“Fuck The People”あたりは、クリッシー・ハインド(プリテンダーズ)っぽいと思った。曲がプリテンダーズの“Brass In Pocket”(邦題“恋のブラス・イン・ポケット”)っぽいからかな?(苦笑)
 さらに聴き込んでいくと、ザ・キルズの音は、P・J・ハーヴェイに変わった(笑)。ちょうど10年前の1993年に、新しい時代の女性シンガーとしてシーンの話題を独り占めにしてたポ−リ−・ジ−ン・ハーヴェイに。

P J HARVEY--Rid Of Me

(国内盤 : ユニバーサル PHCR-1714)
1. Rid Of Me 2. Missed 3. Legs 4. Rub 'Til It Bleeds
5. Hook 6. Man-Sized Sextet 7. Highway 61 Revisited
8. 50ft Queenie 9. Yuri-G 10. Man-Size 11. Dry
12. Me-Jane 13. Snake 14. Ecstasy

 P・J・ハーヴェイの『リッド・オブ・ミー』は、女性のドロドロした情念を露にした非常にナマナマしくもいかがわしいサウンドで、1993年当時に私はP・J・ハーヴェイのこのナマナマしいサウンドを「使用済みタンポン」と評していたものだ(苦笑)。ザ・キルズのサウンドには、10年前のP・J・ハーヴェイほどの危なさやいかがわしさは無いが、ナマナマしい耳触りがとっても似てる!
 このザ・キルズのアルバム『キープ・オン・ユア・ミーン・サイド』を聴いていると、P・J・ハーヴェイの『リッド・オブ・ミー』を浴びるほど聴いていた1993年の梅雨時を思い出し、気分がすっかり1993年にタイム・スリップしてしまう。
 1993年の夏といえば、記録的な冷夏でコメが大凶作。コメ泥棒が現れるなど、異常な年だった。仮に、今年の夏が冷夏になったとしても、私は驚かない(笑)。

(2003.6.3)

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