カーディガンズのベスト盤について考える
スウェディッシュ・ポップのトップ格バンドであるカーディガンズのベスト盤が今年2月にリリースされた。
1990年代半ばに『渋谷系』ともて囃され、絶大な人気を誇った彼女たち。ここ数年は日本のおける状況は地味だけど、時たま『SUMMER
SONIC』に出演するなと根強い人気はまだ維持してる。彼女たちの音楽をこれから聴きたいと思う新しい音楽ファンも居るだろう(日本盤の解説で妹沢奈美さんが書いてるように、マニック・ストリート・プリーチャーズの『センド・アウェイ・ウィズ・タイガース』収録の“Your
Love Alone Is Not
Enough”にニーナが参加してることをキッカケにしてこのベスト盤を買おうと思ったひとってホントに居るの?...苦笑)。
そこで、このベスト盤の中身を検証してみたいと思う。
The Best Of |
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(国内盤 : ユニバーサル
UICY-1399) |
この他に、初回限定盤としてBサイド曲やレア・トラックを収録したボーナス・ディスク<Disc
2>付の2枚組(UICY-90791/2)がリリースされている。 |
曲順は彼らの足取りをデビュー時から順に並べたもので、初心者には彼らの歴史を知るにはとても分かりやすい編成となっている。が、1st『エマーデイル』から3曲、日本で爆発的なセールスを記録した2nd『ライフ』からはたった2曲しか選ばれていない。“Lovefool”のヒットで世界的な人気を得た3rd『ファースト・ムーン・オン・ザ・ムーン』からの3曲は妥当としても、日本での人気の陰りがみえてきた4th『グラン・トゥーリスモ』から4曲、長期のバンド休止を経てリリースされた5th『ロング・ゴーン・ビフォー・デイライト』から4曲、現時点での最新作の6th『スーパー・エクストラ・グラヴィティ』から3曲がそれぞれ収録されている(残り3曲は、トム・ジョーンズのアルバムに入ってた“Burning
Down The House”と映画『普通じゃない』提供の“War”、新曲の“Bonus
Track”)。つまり、日本での人気が頂点に達してた頃の曲が少なく、日本での彼女たちの存在が地味になってきた頃の曲の収録が多い...という、日本人の感覚からするとかなり「???」な内容になっている。
ま、彼女たちにしてみれば、日本での人気が無くなってきても、ヨーロッパ方面じゃあ磐石の人気を誇ってるし、特に、地元・スウェーデンでの人気がいまだ凄いものがあるらしいので、日本だけを相手に商売してるワケじゃないんだろうけど、もし、これからカーディンガンズの音楽を聴きはじめようとするひとが居たとしたら、私はこのアルバムは薦めません。やっぱ『ライフ』と『エマーデイル』を先に聴いてナンボでしょう。このアルバムは、「昔は熱心にカーディガンズを聴いてたけど、21世紀に入ってからの彼女たちの音楽は聴いたことがない」という『かつてファンだったひとたち』向けだと、私は思っとります。
ただ、個人的には「名曲」だと思ってた“Higher”が収録されていて、これだけはとっても嬉しかったです。彼女たちもこの曲は自信作だったのね〜♪
なお、このベスト盤に収録されてる“Bonus
Track”は、『コロンブスの卵』的な瞬間芸ですなぁ〜(笑)。「これまで誰もやらなかったから、僕たちがやるよ」みたいな(苦笑)。
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The Cardigans Discography
Emmerdale |
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(国内盤 : ユニバーサル
UICY-3260) |
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Life |
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(国内盤 : ユニバーサル
UICY-6590) |
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First Band On The Moon |
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(国内盤 : ユニバーサル
UICY-6591) |
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Gran Turismo |
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(国内盤 : ユニバーサル
UICO-1042) |
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Long Gone Before Daylight |
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(国内盤 : ユニバーサル
UICO-1042) |
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Super Extra Gravity |
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(国内盤 : ユニバーサル
UICO-1091) |
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註・この記事は、2007年9月の「Poetry Of The Month」に連動した特集として2007.9.27に「Discography」の大部分のみを完成させていたものの諸事情により未完成のまま放置されていた記事を、大幅加筆して2008.12.28に掲載したものである。
(2008.12.28)