『青春18きっぷ』を使って、富山からどこか日帰り登山が出来ないものか?と常々考えているが、冬休みは論外のこと、積雪のため春休みでも『青春18きっぷ』で富山からの日帰り登山はキビしいものがある。去年の同じ時期に武生の日野山へ『青春18きっぷ』で日帰り登山しに行ったが(王子保駅下車)、雪がほとんど消えていて、福井県方面はこの時期大丈夫との確証を得た。今回はさらに南の敦賀の野坂岳。当然、雪なんかありはしないだろうと思っていた。が...。
JR利用で野坂岳へ登ろうとする場合、敦賀で美浜線に乗り換えて粟野駅で下車する。富山から普通列車の乗り継ぎで行く場合、朝一番の上り普通列車を使って敦賀へ向かうと、連絡する小浜線列車が快速列車のため粟野に停車しないので、その次の小浜線普通列車に合わせて敦賀に着くように富山を7:33に出発することになる。ちょっと不便だ。
さらに、この小浜線、線路の保守点検のため、4月2日(日)には私が乗ろうと思ってる列車が運休になるという。当初、4月1日と2日、どちらが天気のよい日に出掛けようと考えていたのがこれで4月1日しか選択の余地が無くなってしまった...。おまけに登山を終えてから帰りの列車のことを考えると、粟野駅を17:02発の列車を捕まえると富山着が21:10、次の粟野駅18:32発の列車だと富山着が23:40。列車一本逃しただけで帰りが2時間半も遅れる。こりゃ何がなんでも粟野発17:02を捕まえなきゃ...。栗野着が11:50だから、与えられた登山の持ち時間は5時間。『青春18きっぷ』での日帰り登山だからかようのごとく制約が多いのは仕方ないが、上り3時間、下り2時間...で楽勝!と思っていた。敦賀駅につくまでは...。
小浜線乗り換えのため、敦賀駅のホームに降りた私の目に飛び込んできたのは、雪で真っ白な山体をした野坂岳。こりゃ相当に残雪がある。よっぽど山行中止しようかと思ったが、せっかくだから行けるとこまで行ってみよう...と予定どおり小浜線の列車に乗り込み、粟野駅で下車。粟野駅から線路の下をくぐり、敦賀市立少年自然の家へ向かう。少年自然の家へは粟野駅からの1本道しかなく、この線路の下をくぐるところは低くて狭く、バスみたいな大きな車は通行不能間違いなし。少年自然の家で林間学校やる小学生たちは粟野駅から歩かせられるんだろうな...と思いつつ歩くとその少年自然の家の前をとおり、立派なバンガロー村を過ぎて、野坂岳登山道入口に着いた。残雪があることが解っているので、万が一のことを考えて証拠を残す意味合いで登山口備え付けの登山者ノートに名前と時間を記帳。この登山者ノートを見る限りこの日登山者は他に居ないようだったが...。登山道入口から車道を離れ、登山道に。いきなり急傾斜。すぐにテレビ塔への分岐が現われ、ここから沢沿いの道を雪解け水の流れの音を聴きながら進む。一旦、右岸から左岸に渡った後、沢の流れを見ながら進むと老カップルのハイカーが下ってくる。この御老人2人に挨拶すると、「雪があるんでお地蔵さんのところで引き返して来た」とのこと。やっぱり相当雪があるようだ。やがて左岸から右岸に沢を渡りかえすところに着く。フォークリフト用のパレットを真ッ二つに切って作ったベンチが置かれ、そこに『頂上まで1時間50分』と書かれていた。ここから先、登山道は雪で埋り、先行者の足跡をトレースしての登山。ベンチから10分くらいのところで雪から顔を出した石の上に腰を降ろし休憩。あまりに雪が多く、スパッツの準備もないので、濡れたりドロまみれにならないようにズボンの裾を折り曲げる。あまり濡れたり泥まみれになると帰りの列車に乗車拒否されちゃうからさ(笑)。
次第に沢を離れ、テレビ塔がある尾根上に乗る。途中、『気ーつけて登ってみねの』という地元の方言(?)で書かれた札が木の枝からぶら下がってる。すれ違った下りの登山者から、頂上に20人くらいひとが居ることなどを聞いた(みんな登山者ノートに記帳していない...笑)。その登山者、私の足元を見て「スパッツ無いの?」と訊いてきた。登山道には30〜50
cm
ほどの積雪があったから彼がそう思うのも至極当然なことだけど、「雪があるとは思わなかったので...」とは言えず、ただ苦笑するのみしかなかった私。
登山コースは尾根を直登するのではなく、微妙に尾根を外していた。尾根どおしのルートのは『高圧危険』との札が立っている。中途半端なところに立っている『一ノ岳』の標識を見るとすぐに地形図上の・748m南の鞍部に出る。ここから野坂岳へもう一息だ。途中男女混成の4〜5人ほどの登山パーティとすれ違う。この時女の登山者がズボッと深く片足が雪にハマり「抜けなくなった〜!」と騒いで(ハシャいで?)いた。
二ノ岳を過ぎ、最後の小ピーク・三ノ岳を超えると、野坂岳の頂上が間近に見える。最後の登りを登り切ると、宿泊してみたいくらい立派な『休憩のための』避難小屋があり、その奥のだだっ広い草地の野坂岳頂上に14:14、到着。敦賀市制50周年記念市民登山の時に設置されたという展望案内図が置かれている。ここまで正味の歩きで2時間10分。雪さえなければ2時間以内に来れた...そう思うほど余裕があった。
1等三角点のある野坂岳頂上の草地のみ雪が溶けていて、絶好の休憩スポットになっていた。1等三角点のある頂上だけに展望がもの凄く優れていて、白山から荒島岳、能郷白山、伊吹山までの両白山系(越美山地)の山やまがすべて見え、足元から見下ろせば敦賀市街がら敦賀湾、西を見遣れば若狭湾に三方五湖、ずーっと奥の丹後半島まで360度の大展望。この日は雲ひとつない快晴で『大当り』の日だったとはいえ、ここまで展望に優れた山はちょっと記憶に無い。この大パノラマを満喫しながらインスタントラーメンを作って食べ、14:54、頂上を離れた。この展望をずっと見ていたかったけど、帰りの電車の時間の関係上そうはいかないのが残念。ホントに避難小屋でいちど1泊してみたいッス(『休憩のための』避難小屋だからダメだけど)。
下りは来た道を忠実に戻る。途中、中年女性がハマった『遭難現場』(笑)をとおる。無事脱出したのか、もう居なかった(笑)。雪の上を滑るように下るからかアッという間に下山出来る。ただし、下が柔らかいためヒザにかなりの負担が係ったように感じた。頂上から例の『頂上まで1時間50分』と書かれたベンチのところまで50分ほどで着く。この時初めて気付いたが、このベンチのところにお地蔵さんがあるじゃないか!!! 先ほど遭った『雪のため登山を断念した老カップル』はこんな下(登山道入口よりすぐ)のところで登山断念してたのか?...とちょっと驚いた...。このお地蔵さん、少年自然の家の案内板によると『とちの木地蔵』と呼ぶようだ。
思ったより早く下山出来たのでせっかくだからテレビ塔に行ってみて、ここで休憩。山に登らない『一般市民のみなさん』はこのテレビ塔から眺望でも喜ぶのだろうが(ここまで少年自然の家とは別ルートの車道がある)、野坂岳のあの大展望を見たばかりの身にすれば全くの迫力不足! テレビ塔から元の分岐に戻り、登山道入口の登山者ノートに無事下山した旨を記した後、少年自然の家の前をとおって粟野駅に16:47着。予定通り粟野駅17:02発の列車を捕まえることが出来た。
【行動記録】2000年4月1日(土) 日帰り
粟野駅1150─少年自然の家1219─登山道入口1219─とちの木地蔵1244─1257//1307─
─一ノ岳1330─1414野坂岳頂上1454─一ノ岳1526─とちの木地蔵1549─1604テレビ塔
テレビ塔1614─少年自然の家1630─1647粟野駅
【1:25,000地形図】敦賀